母の全てを送るまで

くろすけ

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私はババっ子でした

昔の記憶を辿ると1番鮮明に残っている記憶は、七五三のお祝いの時に千歳飴をばあばに足で折られて泣き叫んでいる私でした。

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小さな頃の記憶はあまりないのだが、我が家は一般的な跡継ぎをしなくて良い次男のサラリーマン(父)、そして一人っ子の専業主婦(母)の元に私は生まれた。

父方の方には既に孫がいたが、母方の方からすれば初孫で、極々平凡な家庭に生まれた可愛い可愛い女の子が私であった。

父は仕事の付き合いなりで私の記憶があるうちにはほぼ家に居なく、趣味が釣りな事もあり私は父の事を釣り人だと思っていた。
母は一人娘な事もあり、祖父母とは別居していたが、心配してか母方の祖父母がちょくちょく訪れており、母や母方の祖父母と過ごす時間が増えて行った。

母は色々と教育熱心な人で、少しでもチョコを食べようならすぐに歯ブラシを持って追いかけてくる怖い人だったので、親子で同じ団地の所に遊びに行っても、「これ、食べて良い?」と確認しながら恐々口にしていた。

しかし家に帰れば「どうして他所で確認しながらオヤツを食べるの!私が何もあげてないみたいで恥ずかしいじゃない!!」と怒られ、歯茎から血が出るまで歯磨きをさせられる日々であった。

そんな中、私の事を初孫として眼に入れても痛くないほど溺愛してくれていた祖父母に、私も徐々に心を開き、祖父母滞在の時はもう本当に自由に心おきなく楽しく過ごした。
祖父母が帰った後に母に叱られるのは目に見えていたが、何をしても許して貰える、そういう存在が当時無かったのだ。
理不尽な事や八つ当たりで、私がブチギレても優しい顔で「あはは!」と笑いながら「ごめんね」って言う優しい優しい大好きな祖父母だった。

そんな時に事件が起きた。

女の子のお祝いは3歳か7歳でどちらかは覚えていないが、弟が生まれてくる前なので3歳だったと思う。

お祝いで写真館で写真を撮ってもらい、当時ある意味お菓子制限、糖質制限をかけられていた私にとっては、頂いた自分の身長と変わらない大きな千歳飴はとってもとっても大事な宝物であった。
祖父母もお祝いに駆けつけてくれ、私は嬉しい!楽しい!ハッピー!の極限の喜びであった。

まさか家に帰り、あのような悲劇が待っているとは知らずに…。

写真を終え、祖父母と共に家に帰った私は宝物の千歳飴を大事に大事に床に置いた。
何故床に置いたのか、私もわからないのだがここなら踏まれない床だとでも思ったのだろうか…?
その場所は部屋と部屋との段差のある所だった。

案の定、「さぁ、皆で食べましょー!!」とお祝いの料理を持ってきてくれた祖母の足元にクリーンヒットし、私の宝物がバキバキバキバキっっっと音を立てたのは想像に難くないだろう。。。

私はお祝いの写真でせっかく化粧して貰った顔をぐしゃぐしゃにしながら
「ばあばのバカー!!!」
と言って泣きじゃくった。
母は
「どうせ折って食べる物なんだから折れて当たり前よ!それにそんなに大事な物なら此処に置くんじゃない!!」
と言い、当時の私は更にヒートアップ。
祖母はオロオロと
「ごめんね、ごめんね」
と言う何ともカオスな状態になった。

祖父は記憶にないので多分暴れん坊将軍の再放送か、ニュースを見ていたんだと思う。

後日、バキバキになった千歳飴を更に切られたおやつを食べながら、千歳飴を一本丸々と食べる私の夢はガラガラガラッと崩れさってしまったし、そもそもこんなに小さく割って食べる物ならあんなに泣きじゃくる必要も無かったのかな…と3歳ながら反省した。


祖母は今月にショートステイ先でピンピンコロリで亡くなったのだが、生前家に滞在時、当時の話をすると苦虫を噛み潰したような笑顔で色々お話してくれたのを懐かしく思う。
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