母の全てを送るまで

くろすけ

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私はババっ子でした

母の変化

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母も弟も無事退院していいですよー!と病院から連絡があり、多分父が迎えに行ったんであろう。
私は祖父母と家で待機していたのを覚えている。

帰って来た母の腕の中にはそれはもう、大事そうに抱えた弟がおり、私はすぐにでも母に抱きつきたかったのに抱きつけないモヤモヤと、母の「◯ちゃんはお姉ちゃんになったんだから、これからは色々我慢しないとね⭐︎」の一言で、ああ、そうか…私は今後我慢をしながら生きて行かないといけないのね…と言う絶望感でいっぱいだった。
そんな私の気持ちは露知らずな父も祖父母も、今まで私だけが独り占めしてきたであろう愛情の眼差しを弟だけに向けていて、安直だが子供心にああ、そうかよ。正直誰も信用出来ねぇな。と思った。

それまでの私は母は除き家の中、祖父母をいいようにしてきたある意味王様だし、一気に平民に落とされた感覚だった。
今になって思うのだが、そりゃあ子宮癌の摘出と共に出産した、ある意味本当に命を賭しての出産だから父と祖父母の反応は当たり前の反応である。

ただ当時の私はまだ小さいからと何も教えてもらえず、何だか歯痒い気持ち、寧ろ自分が望んで母にお願いしたのに6歳も下の弟の事をライバル視してしまっていたのは否めない。
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