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第四話 出来損ないの巫女
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早朝、新宮の本殿。
石楠花が座卓に向かって、熱心に写本をしている。
賊の襲撃事件の影響で、御殿は清掃と改装作業の為に、一時的に閉鎖されていた。
石楠花の私室および寝室も、仮御殿として本殿の中に移され、彼女はそこで術の勉強をしていた。
「朝から精が出ますこと」
侍女頭の早川が、朝食の準備のために膳を配置する。他の侍女たちも、せわしなく作業に取り掛かる。
「ただ見ているよりも、模写するほうが理解は深まるからな」
ここ数日、石楠花は虎丸から受け取った術書を、熱心に描き写している。
巫女にとって術式とは、数学の公式のようなものである。まず暗記ありき。それから自分に合った記号を組み入れて、術を発動させる。
暗記するうえで一番効率が良いのが、写本なのである。
「姫様、あまり根つめてはいけませんよ。昨日も随分遅くまで、やっていたそうじゃないですか」
早川が彼女の顔を覗きこむ。石楠花の目の下には、薄らとクマが出来ていた。
「今晩は、農富族の方との食事会がありますから、あまり無理はしないでくださいね」
「わかってる」
石楠花は正直焦っていた。
虎丸から受け取った術書の術が、どれひとつとして発動できないのだ。
どの術式も、何を目的としたものであるかは理解できた。しかし、いざ自分の記号を組み込んで発動しようとすると、出来ないのだ。
これは自分の理解が足りないのか、それとも巫女としての能力が足りないのか。
『石楠花、俺と一緒に神無に行こう。俺がお前のことを、ずっと守ってやる』
虎丸の言葉を思い出す。
石楠花は賊に襲われた夜、虎丸から告白された。
◆◆◆◆
「私が……神無に? そんな、急に……」
動揺する石楠花に、彼は真剣な眼差しでこう告げた。
「俺は月光院に、『水無月の巫女を、神無に連れて来い』と命令されている。俺が水無月に来た本当の理由は、お前を神無に連れ帰ることなんだ」
石楠花は少し落胆した。
てっきり、二人で神無に駆け落ちしようと言われたのかと思った。
恥ずかしさで耳まで赤くなる。
「お前の気持ちを確かめてからって思ったけど、気が変わった。こんなところに居たら、遅かれ早かれ、お前は賊に誘拐されるか、殺される。神無に来てくれれば、俺が守ってやれる」
虎丸の腕の中で、石楠花は返事を渋った。
水無月を捨てて神無に行くなど、考えられない。
しかし神無に行けば、何故受け取った術式が発動できないか、分かるかもしれない。
新しい術が出来るようになれば、水無月はもっと豊かになる。神無で修業して水無月に戻るということも、考えてもいいかもしれない。
「少し、考えさせて欲しい」
彼女の返事を聞いて、虎丸は不満そうだった。しかし、すぐにいつもの穏やかな笑顔に戻った。
「分かったよ。お前にとっては大きな決断だからな。待っててやるさ。でも、なるべく早くしてくれよな。また賊が来たら、次も守ってやれる保証はできない」
◆◆◆◆
「石楠花が倒れた?!」
武道場で新米警護兵に稽古をつけていた虎丸は、早川の報告を聞いて、手にしていた竹刀を落としそうになった。
襲撃事件により警護兵に多くの欠員が出たため、早速新しい兵士が配属されていた。虎丸は事件での功績が認められ、総監の望月から兵士の武術指導を頼まれている。
早川と共に武道場を出て、事の詳細をきく虎丸。
「医者には見せたのか? 容体はどうなんだ?」
「今は意識もあって、落ち着いています。ですが、ここのところ夜通しで、術の稽古をしているようなのです。虎丸殿からも、節制するように言ってくれませんか」
弱り切った様子の早川の肩を、虎丸がポンポンと軽く叩く。
「わかった。今すぐ会いに行こう。いいか?」
「はい。ご案内します」
◆◆◆◆
本殿の仮御殿に入ると、中には数人の侍女や職員が、右往左往していた。虎丸が中に入ると、職員たちは気さくに挨拶をし、女性たちは熱い視線を送ってくる。
「あの事件以来、すっかり人気者になりましたねぇ」
早川が冷やかすと、虎丸は照れくさそうに笑った。
「新宮の奴らは、みんな親切でいい奴ばかりだ。最初はどうかと思ったけど、今は結構、気に入ってる」
「それはようございました」
寝室に二人が到着すると、石楠花は今にも寝床から起き上がろうとしていた。侍女の制止も聞かず、羽織に袖を通そうとしている。
「姫様。暫く安静と言われたのを、忘れたんですか?」
彼女の声を聞いて、飛びあがる石楠花。慌てて布団の中に潜る。
「虎丸殿が、お見舞いに来てくださいましたからね。ちゃんと寝ていてください」
早川は侍女に席を外すように促し、自身も部屋の外に出る。
「では、虎丸殿。宜しくお願いします」
早川は含んだ様子で襖を閉じた。
「お前。徹夜で術の稽古やってるって、本当か?」
布団から顔を出そうとしない石楠花。虎丸は眉間に皺を寄せた。
「……ちゃんと寝ている」
「だったら、なんで倒れたんだよ」
「ちょっとふらついただけだ。早川は大袈裟なんだ」
布団の中に籠ったまま喋る。
「お前なぁ。ようやく新宮に、俺の居場所が出来たっていうのに、お前が邪魔してどうするんだよ。俺の持ってきた術書のせいで、お前が倒れたってなったら、元の木阿弥だろうが」
虎丸の言葉を聞いて、黙ったままムクリと起き上がる石楠花。枕元に隠してあった術書を取り出す。
「お前、寝床にまで持ってきて……」
呆れかえる虎丸に向けて、彼女は術書を差し出した。
「貴方に、お返しします」
改まった口調の石楠花。彼女の顔色はひどく悪かったが、その目は真剣だった。
虎丸は動揺を隠せない。
「ど、どうしたんだよ。急に」
「私はこの術書に描かれた術を、使えません。これは月光院様が、私以外の誰かに向けて描かれたものなのでしょう。貴方は私を、神無に連れて行くと言ってくれました。ですが、貴方の探している水無月の巫女は、私ではありません。残念ですが、人違いです」
呆然とする虎丸の膝の上に、彼女は術書を置いた。
目を伏せ、少し溜息をつき、彼から視線を逸らす。
「何言ってんだよ。お前以外に、水無月の巫女なんているわけねぇだろ」
石楠花に近づこうとすると、彼女は背を向けた。
「私も、努力はした。寝る間も惜しんで、必死にやった。でも、無理だった。ひとつも、ひとつも私には、出来なかった。私は気づいてしまった。この術書が、私に向けたものではないことに……」
彼女が口惜しそうに唇を噛んでいるのが、虎丸には容易に想像できた。プライドの高い彼女にとって、このような発言をすることが、いかに辛いか。
「虎丸、神無に帰りなさい。これ以上ここに居ても、お前には何も伝えられない」
石楠花ははっきりと意思を伝えたが、少し気まずそうに付け加える。
「ひとつだけ許してもらえるなら、その……術式を模写したものは、私の方で貰って良いだろうか。この先、いつか、出来るようになるかも、知れないし。その、無理だとはわかっている。でも、いつかは……」
虎丸は術書を手に取ると、彼女に突き返した。
「お前、本当は諦めてねぇんだろ。だったら、気が済むまでちゃんとやれよ」
神妙な面持ちの石楠花。虎丸は彼女の手を取り、無理矢理術書を掴ませる。
「石楠花。いつもの強気のお前は、どこ行ったんだよ。しっかりしろよ」
「……」
「大丈夫だって。乗りかかった船だ。俺も最後まで付き合ってやるよ」
「……」
「俺は巫女じゃねぇから術はできねぇ。でも、月光院のそばに居たから、術の知識はそれなりにある。俺にも役に立てることはあるだろ、きっと」
「……」
「聞いてるのかよ!」
虎丸がヒョイと彼女の鼻をつまむ。ヒャッと声を上げて顔を赤くする。
「俺を雇えよ、石楠花。新宮で俺を、お前の用心棒として雇え。そしたら俺も、堂々とお前を守ってやれる」
「そんなことしたら、お前は神無に……」
「戻らねぇよ。手ぶらでなんか戻れるか」
石楠花の胸の中が熱くなる。
虎丸。どうしてそこまでしてくれるの。
私は出来損ないの巫女なのに。もしかしたら、術なんか永遠に、出来ないかも知れないのに。
虎丸が首の後ろをボリボリと掻く。
「実はさ、俺。月光院とこ、辞めるつもりだったんだ。お前を神無に連れていくのが、最期の仕事だったんだ」
「え……なんで?」
今度は彼の方が、気まずそうにボソボソと呟く。
「もう人を斬るの、嫌なんだ。剣客のくせに、情けねぇけど……」
あの時の虎丸の剣裁きを見れば、わかる。彼がこれまで、どれほどの人間を斬ってきたか。
「この間の時も、本当は嫌だったの?」
「まぁな。でも後悔はしてない。あそこで逃げたら、男じゃない」
石楠花は言葉を失った。
私のせいだ。私のせいで、虎丸は人殺しをした。異国にまで来て、彼に人殺しをさせてしまった。
「石楠花、俺に悪かったとか思ってんだろ。それは違うからな。惚れた女を守るのが、男ってもんだろ」
金縛りにあったように固まる石楠花。
「ごめん……変なこと言って」
虎丸が慌てて目を逸らす。
「と、とにかく、暫くは術の稽古は無しだ。ゆっくり寝てろ。話は、それからだ」
虎丸はあたふたと部屋を出ていった。
石楠花が座卓に向かって、熱心に写本をしている。
賊の襲撃事件の影響で、御殿は清掃と改装作業の為に、一時的に閉鎖されていた。
石楠花の私室および寝室も、仮御殿として本殿の中に移され、彼女はそこで術の勉強をしていた。
「朝から精が出ますこと」
侍女頭の早川が、朝食の準備のために膳を配置する。他の侍女たちも、せわしなく作業に取り掛かる。
「ただ見ているよりも、模写するほうが理解は深まるからな」
ここ数日、石楠花は虎丸から受け取った術書を、熱心に描き写している。
巫女にとって術式とは、数学の公式のようなものである。まず暗記ありき。それから自分に合った記号を組み入れて、術を発動させる。
暗記するうえで一番効率が良いのが、写本なのである。
「姫様、あまり根つめてはいけませんよ。昨日も随分遅くまで、やっていたそうじゃないですか」
早川が彼女の顔を覗きこむ。石楠花の目の下には、薄らとクマが出来ていた。
「今晩は、農富族の方との食事会がありますから、あまり無理はしないでくださいね」
「わかってる」
石楠花は正直焦っていた。
虎丸から受け取った術書の術が、どれひとつとして発動できないのだ。
どの術式も、何を目的としたものであるかは理解できた。しかし、いざ自分の記号を組み込んで発動しようとすると、出来ないのだ。
これは自分の理解が足りないのか、それとも巫女としての能力が足りないのか。
『石楠花、俺と一緒に神無に行こう。俺がお前のことを、ずっと守ってやる』
虎丸の言葉を思い出す。
石楠花は賊に襲われた夜、虎丸から告白された。
◆◆◆◆
「私が……神無に? そんな、急に……」
動揺する石楠花に、彼は真剣な眼差しでこう告げた。
「俺は月光院に、『水無月の巫女を、神無に連れて来い』と命令されている。俺が水無月に来た本当の理由は、お前を神無に連れ帰ることなんだ」
石楠花は少し落胆した。
てっきり、二人で神無に駆け落ちしようと言われたのかと思った。
恥ずかしさで耳まで赤くなる。
「お前の気持ちを確かめてからって思ったけど、気が変わった。こんなところに居たら、遅かれ早かれ、お前は賊に誘拐されるか、殺される。神無に来てくれれば、俺が守ってやれる」
虎丸の腕の中で、石楠花は返事を渋った。
水無月を捨てて神無に行くなど、考えられない。
しかし神無に行けば、何故受け取った術式が発動できないか、分かるかもしれない。
新しい術が出来るようになれば、水無月はもっと豊かになる。神無で修業して水無月に戻るということも、考えてもいいかもしれない。
「少し、考えさせて欲しい」
彼女の返事を聞いて、虎丸は不満そうだった。しかし、すぐにいつもの穏やかな笑顔に戻った。
「分かったよ。お前にとっては大きな決断だからな。待っててやるさ。でも、なるべく早くしてくれよな。また賊が来たら、次も守ってやれる保証はできない」
◆◆◆◆
「石楠花が倒れた?!」
武道場で新米警護兵に稽古をつけていた虎丸は、早川の報告を聞いて、手にしていた竹刀を落としそうになった。
襲撃事件により警護兵に多くの欠員が出たため、早速新しい兵士が配属されていた。虎丸は事件での功績が認められ、総監の望月から兵士の武術指導を頼まれている。
早川と共に武道場を出て、事の詳細をきく虎丸。
「医者には見せたのか? 容体はどうなんだ?」
「今は意識もあって、落ち着いています。ですが、ここのところ夜通しで、術の稽古をしているようなのです。虎丸殿からも、節制するように言ってくれませんか」
弱り切った様子の早川の肩を、虎丸がポンポンと軽く叩く。
「わかった。今すぐ会いに行こう。いいか?」
「はい。ご案内します」
◆◆◆◆
本殿の仮御殿に入ると、中には数人の侍女や職員が、右往左往していた。虎丸が中に入ると、職員たちは気さくに挨拶をし、女性たちは熱い視線を送ってくる。
「あの事件以来、すっかり人気者になりましたねぇ」
早川が冷やかすと、虎丸は照れくさそうに笑った。
「新宮の奴らは、みんな親切でいい奴ばかりだ。最初はどうかと思ったけど、今は結構、気に入ってる」
「それはようございました」
寝室に二人が到着すると、石楠花は今にも寝床から起き上がろうとしていた。侍女の制止も聞かず、羽織に袖を通そうとしている。
「姫様。暫く安静と言われたのを、忘れたんですか?」
彼女の声を聞いて、飛びあがる石楠花。慌てて布団の中に潜る。
「虎丸殿が、お見舞いに来てくださいましたからね。ちゃんと寝ていてください」
早川は侍女に席を外すように促し、自身も部屋の外に出る。
「では、虎丸殿。宜しくお願いします」
早川は含んだ様子で襖を閉じた。
「お前。徹夜で術の稽古やってるって、本当か?」
布団から顔を出そうとしない石楠花。虎丸は眉間に皺を寄せた。
「……ちゃんと寝ている」
「だったら、なんで倒れたんだよ」
「ちょっとふらついただけだ。早川は大袈裟なんだ」
布団の中に籠ったまま喋る。
「お前なぁ。ようやく新宮に、俺の居場所が出来たっていうのに、お前が邪魔してどうするんだよ。俺の持ってきた術書のせいで、お前が倒れたってなったら、元の木阿弥だろうが」
虎丸の言葉を聞いて、黙ったままムクリと起き上がる石楠花。枕元に隠してあった術書を取り出す。
「お前、寝床にまで持ってきて……」
呆れかえる虎丸に向けて、彼女は術書を差し出した。
「貴方に、お返しします」
改まった口調の石楠花。彼女の顔色はひどく悪かったが、その目は真剣だった。
虎丸は動揺を隠せない。
「ど、どうしたんだよ。急に」
「私はこの術書に描かれた術を、使えません。これは月光院様が、私以外の誰かに向けて描かれたものなのでしょう。貴方は私を、神無に連れて行くと言ってくれました。ですが、貴方の探している水無月の巫女は、私ではありません。残念ですが、人違いです」
呆然とする虎丸の膝の上に、彼女は術書を置いた。
目を伏せ、少し溜息をつき、彼から視線を逸らす。
「何言ってんだよ。お前以外に、水無月の巫女なんているわけねぇだろ」
石楠花に近づこうとすると、彼女は背を向けた。
「私も、努力はした。寝る間も惜しんで、必死にやった。でも、無理だった。ひとつも、ひとつも私には、出来なかった。私は気づいてしまった。この術書が、私に向けたものではないことに……」
彼女が口惜しそうに唇を噛んでいるのが、虎丸には容易に想像できた。プライドの高い彼女にとって、このような発言をすることが、いかに辛いか。
「虎丸、神無に帰りなさい。これ以上ここに居ても、お前には何も伝えられない」
石楠花ははっきりと意思を伝えたが、少し気まずそうに付け加える。
「ひとつだけ許してもらえるなら、その……術式を模写したものは、私の方で貰って良いだろうか。この先、いつか、出来るようになるかも、知れないし。その、無理だとはわかっている。でも、いつかは……」
虎丸は術書を手に取ると、彼女に突き返した。
「お前、本当は諦めてねぇんだろ。だったら、気が済むまでちゃんとやれよ」
神妙な面持ちの石楠花。虎丸は彼女の手を取り、無理矢理術書を掴ませる。
「石楠花。いつもの強気のお前は、どこ行ったんだよ。しっかりしろよ」
「……」
「大丈夫だって。乗りかかった船だ。俺も最後まで付き合ってやるよ」
「……」
「俺は巫女じゃねぇから術はできねぇ。でも、月光院のそばに居たから、術の知識はそれなりにある。俺にも役に立てることはあるだろ、きっと」
「……」
「聞いてるのかよ!」
虎丸がヒョイと彼女の鼻をつまむ。ヒャッと声を上げて顔を赤くする。
「俺を雇えよ、石楠花。新宮で俺を、お前の用心棒として雇え。そしたら俺も、堂々とお前を守ってやれる」
「そんなことしたら、お前は神無に……」
「戻らねぇよ。手ぶらでなんか戻れるか」
石楠花の胸の中が熱くなる。
虎丸。どうしてそこまでしてくれるの。
私は出来損ないの巫女なのに。もしかしたら、術なんか永遠に、出来ないかも知れないのに。
虎丸が首の後ろをボリボリと掻く。
「実はさ、俺。月光院とこ、辞めるつもりだったんだ。お前を神無に連れていくのが、最期の仕事だったんだ」
「え……なんで?」
今度は彼の方が、気まずそうにボソボソと呟く。
「もう人を斬るの、嫌なんだ。剣客のくせに、情けねぇけど……」
あの時の虎丸の剣裁きを見れば、わかる。彼がこれまで、どれほどの人間を斬ってきたか。
「この間の時も、本当は嫌だったの?」
「まぁな。でも後悔はしてない。あそこで逃げたら、男じゃない」
石楠花は言葉を失った。
私のせいだ。私のせいで、虎丸は人殺しをした。異国にまで来て、彼に人殺しをさせてしまった。
「石楠花、俺に悪かったとか思ってんだろ。それは違うからな。惚れた女を守るのが、男ってもんだろ」
金縛りにあったように固まる石楠花。
「ごめん……変なこと言って」
虎丸が慌てて目を逸らす。
「と、とにかく、暫くは術の稽古は無しだ。ゆっくり寝てろ。話は、それからだ」
虎丸はあたふたと部屋を出ていった。
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