兄がBLゲームの主人公だったら…どうする?

なみなみ

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中学生編

9 環

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俺が学校から帰宅すると、珍しく母さんが仕事から早く帰ってきていた。
「ただいま。今日早かったんだな。あれ?花奈は?」
「先にお風呂に入ってるわよ?」
「ふ~ん。あ、美味い。」
「こら!つまみ食いしないの!」
食卓に置いてあったハンバーグを一つとって口に放り込んだ。美味い。手についたソースも綺麗になめとる。うむ。俺の好きなデミグラスソースだ。
俺が母さんの小言を聞き流してそのまま自分の部屋のある2階にあがろうとしたら、母さんがさらりと自然に。俺にとっては重大な話をしてきた。

「そういえば、あんたの体育祭、花奈は友達と行くみたいね。ふふっ。初めてじゃない?あんたでもなく、蓮琉くんでもない人とおでかけするのって。」
「へえ~……え?」
「ほら、今仲良しの彩子ちゃん。あと1人誰かも一緒に行くって言ってたけど、誰だったかしら。忘れちゃったわ。」

母さんの話を最後まで聞くことなく、俺は階段をかけあがり、自分の部屋へかけこむと、携帯を取り出した。

(これは、蓮琉にメールしとかないと、後でネチネチ言われるパターンだ。)

幼馴染の蓮琉は俺と花奈に対してとんでもなく過保護だ。
特に花奈に対しては守りたいという意識が強いらしく、花奈が、俺達以外のヤツとでかけることを嫌がるようになった。目の届かないところで危険な目にあうのが嫌だと言っているが、単にいきすぎた独占欲ではないかと俺は思っている。

だけど花奈ももう中学生だ。
もう手の中で守られる小学生ではない。
友達とでかけるくらい許してやれよと思うんだがな。まあ、オレももし花奈が男と2人で出かけるとか言ってきたら、阻止するけど。可愛い妹だし。 

「げ。」

蓮琉から案の定、反対メールがきた。俺は思わず頭をかきむしった。

「はあ?マジかよ。」

『彩子ちゃんと誰と行くのか確認してくれ。俺は基本的に反対。環からうまいこと言ってくれ。』

「ふざけんな。てめえが言え。」

『俺が言うより、環からの方が角がたたないだろ。頼む。』

俺は携帯の画面をしばらく睨みつけていたが、舌打ちをすると、立ち上がった。

花奈の部屋の前に行き、ドアをノックする。そして、花奈の返事を確認して、部屋に入った。
花奈はテスト前ということで勉強中だった。
こういう真面目なとこがまた可愛いんだよな。以前わからないとこがあるというので教えてやったら、微妙な顔をされて、それ以来は声がかからなくなった。どちらかというと、蓮琉に聞きにいっているようだ。何故だ解せん。

(しかし、どう話したものかな……)

俺は戸惑っていた。
花奈のベッドに横になり、ぼんやりと部屋の中を見渡す。よし。男の影はなさそうだ。

俺は勇気をだして、話しかけた。
そして、さり気なく体育祭についてふれてみた。

(……うん。俺の妹マジ天使)

花奈が俺たちの体育祭をほんとに楽しみにしてることが伝わってきて、なんだかくすぐったい。しかもそれと同時に友達とのおでかけへの期待もひしひしと伝わってくる。

(え?俺言うの?友達と一緒に行くなって。断れって?……イヤイヤイヤイヤ。無理でしょ。無理。花奈のこのキラキラした瞳が一気にくもるんだぞ?)

俺は速攻蓮琉にメールした。したら、すげえ勢いで返信が返ってきた。

『無理じゃねえよ。やれ』

いや、ほんと無理だって。何度かメールを繰り返していたが、俺はだんだん腹がたってきた。

(じゃあお前がやれ)

少し時間をおいて、返信が返ってきた。

『すぐ行く。』

俺はよし、と呟くとベッドに沈みこんだ。
あいつもこの状況を実際に目にすればいいんだよ。絶対言いだせねえと思うぞ?


待つのもほんの少しの時間。
蓮琉が花奈の部屋にやってきた。
ほれ。花奈の表情を見ろ。
言えるもんなら言ってみろ!

さすがのヤツも、花奈のキラキラした期待の瞳に強い態度にでることが出来ず、攻めあぐねているようだった。
さえない表情の蓮琉に、何を思ったか、花奈の表情がくもってきた。

(おい?蓮琉。花奈の様子がおかしいぞ?)
(た……環。どうしよう。どうしたらいい?)

蓮琉とアイコンタクトで会話はしているうちに、花奈が変に勘違いし始めた。

(お前が体育祭に来ることが恥ずかしいわけないだろ?おい、蓮琉!どうにかしろ!)

俺は蓮琉に目で訴えた。
そうしたら、花奈の言葉にテンパった蓮琉が、花奈を抱きしめた。

(ゴラあああああ!俺の妹に何してんだよ?)

後から蹴飛ばしてやろうかと思ったが、花奈の表情が落ち着いてきたので我慢した。

もう、友達と俺らの体育祭にきてもいいんじゃねえの?と思っているが、蓮琉はまだ諦めていないらしい。
待て。お前、何を言うつもりだ。やめろ、蓮琉!

せっかく明るくなった花奈の表情がまたくもるのではと俺は気が気じゃない。
蓮琉を止めようとした時、部屋にノックの音が響いた。
母さんだった。

俺は部屋に入ってきた母さんの表情をみて、悟った。

(あ。これバレてるわ。)

あきらめろ、蓮琉。
母さんは花奈の味方だ。

そろそろ気がつけよ。俺達説教コースだぞ。

俺と蓮琉が花奈に俺ら以外の友達と一緒に行くなと言いにきていたのを母さんは正確に理解しているらしい。

母さんに命令されてリビングに降りた俺は、すぐにお茶を入れて、テーブルに運んだ。そして、冷めていくお茶を前に、母から説教をくらうハメになった。蓮琉も真っ青になっている。
まあ正座じゃなかっただけマシか。

(あ。彩子ちゃんと他に誰と一緒に行くのか聞くの忘れてた。)







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