兄がBLゲームの主人公だったら…どうする?

なみなみ

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中学生編

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一晩明けた次の日。 
たっぷり睡眠をとった私はすっきりと目を覚ました。
「よし。蓮琉くんと仲直りするぞ!」

心に決めた私は、早めに準備をすませて蓮琉くんが家に来るのを待った。
だけど、その日いくら待っても蓮琉くんは来なかった。
お兄ちゃんは舌打ちをすると、小さな声で呟いた。
「あいつ、怖気づいたな……?」

次の日も、次の日も。また次の日も。
蓮琉くんは家に来なかった。
流石にここまできたら避けられてるってことがイヤでもわかる。
私は地の底まで落ち込んでいた。
もうダメなのかな。蓮琉くんと前みたいにお話できないのかな。

ため息をつく私に、お兄ちゃんを誘いにやってきた柴崎蓮が私の肩をたたいた。
「そんなに落ち込むなって。思いきってブサ犬から行ってみたら?それがイヤならもうほっとけよ。そんな意気地無し。それに、適度なキョリが2人の愛を育てるんだぞ?今までがべったり近すぎたんだよ。あんた達。」
「柴崎!お前花奈に変なこと吹き込むなよ?ていうか花奈に触るな!」
お兄ちゃんが柴崎蓮を乱暴に小突くと、柴崎蓮はわざとらしく私に倒れかかってきた。そして、少し先の電柱を見てニタリと笑った。
「………ああ?そういうこと。」
そして、さらにわざとらしく私に抱きついてきた。
「ブサ犬、けっこう抱き心地いいね。」

その時、私はずっと考え込んでいた。
今の状況は、もしかして私には好都合なのではないだろうか。
蓮琉くんから距離をとることによって、主人公の妹に刺されるという一つのバッドエンドから蓮琉くん達を守ることができる。

私は急に霧が晴れたように頭の中がクリアになるのを感じて笑顔になった。
蓮琉くん達を守れる!という思いで頭がいっぱいだった私は、お兄ちゃんと柴崎蓮が横で何か言っていることに気が付かなかった。

「斎藤。お前の妹、絶対変な方向に向かってるぞ?」
「……変な解決方法を、思いついたっぽいな。」
「しかもあそこの電柱の影から怨念みたいなの感じるんだけど。」
「ああ……。あいつも、素直になればいいのに。だんだんストーカーっぽくなってるな。」

(そっかあ。今の状況って、辛いけど長期的に見たら悪くないんだ。私はもう蓮琉くんと話せないかもしれないけど。所詮主人公の妹だし。蓮琉くんが死んじゃうよりはずっといい。)

私は俯いていた顔を思いきって上にあげた。

「うん。きっと、大丈夫!」

「いや。何が、大丈夫なわけ?なにひとりでナットクしちゃってるの?斎藤、キミの妹逆に大丈夫?」
「……とりあえず、見守ってみるか。柴崎お前はそろそろ花奈から離れろ。学校行くぞ。」
お兄ちゃんは私から柴崎蓮を引き離すと、自転車を押して歩きはじめた。
柴崎蓮も私から離れて、置いていた自転車に乗り込むと、そのまま自転車をスタートさせた。



その日、部活が終わって帰宅する途中。
私は男の人に呼び止められた。
 「あの、毎日この道を通ってますよね。」
私は無言で彼を見た。
一般的にはイケメンの部類に入ると思う。
近隣にある高校の制服を着ており、笑顔も爽やかだ。
彼は私を見つめると、にっこりと微笑んだ。

「いつも、この道を通る君をずっと見ていたんだ。可愛いいなって思って。もしよかったら、僕と付き合ってほしい……。」

「えっ………。」

解説します。
今の『え』は、そんな私なんかが?恥ずかしい。ではない。
何この人。人間違いじゃないの?それとも新手の詐欺?の『え』である。
こんないかにも彼女に困ってなさそうな人が、わざわざ道端の地味な中学生に話しかけるはずないし。驚きすぎた私は逆に無表情になっていたと思う。
「すみません。人違いだと思います。失礼します。」
ペコリとおじぎをした私は、そのまま歩き去ることにした。


次の日。
部活からの帰宅途中、その人はまたやってきた。
それにしてもこの人、彩子と別れて一人になったところを狙ってくるんだよね。
まるで私の行動を熟知してるみたいに。
私は少し怖くなって目の前の人を見た。
笑顔が別のものに見えてきて、私は体を震わせた。
その日も、やっぱり私はペコリとおじぎをしてそのまま去ることにした。
くるりと向きを変えて数歩進んだ私は、そのまま勢いよく走りだした。
怖くて後ろが振り向けない。

ひたすら走って家の灯りが見えた時、私はホッとして足をゆるめた。
どうしよう。
お兄ちゃんと蓮琉くんに相談……。あ、最近蓮琉くんとは話してないんだった。しかもお兄ちゃんは昨日の金曜日の夜から剣道部の合宿に参加しているので留守にしている。お兄ちゃんがいないので、当然柴崎蓮も家に来ない。
明日は学校が休みだから、ずっと家にいよう。明日の日曜日の夜にはお兄ちゃんも帰ってくるから、その時に話をきいてもらおう。

不安になった私は体操服の入っている袋をぎゅっと抱きしめた。
その時、自転車の音がした。
蓮琉くんが部活から帰ってきたところだった。
不安でしょうがない私は、思わず蓮琉くんに声をかけた。
「蓮琉くん、あのねっ………。」
彼は私に気がつくと、表情をこわばらせて、すっと視線をそらしてしまった。そのまま自宅に入っていく蓮琉くんを私は縋るような目で見送るしかなかった。
トボトボと家に入った私は、深いため息をついた。
「お兄ちゃん、早く帰ってこないかなあ。」










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