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中学生編
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三田くんルートバッドエンド。
通称寝返りエンド。
別名クズ野郎エンド。
三田くんのバッドエンドは、かなりタチが悪いことで定評があった。
最後までバッドエンドにいくのか、ベストエンドにいくのかがまったく読めないのだ。分岐ギリギリまで、彼は主人公に愛を囁く。そしてバッドエンドの分岐に入った途端、豹変するのだ。
『俺なんかを信じてたの?馬鹿じゃない?』
との台詞とともに主人公を突き飛ばし、九条沙也加に寄り添ってキスするのだ。
画面に映し出されるスチルがまた、すごい。
それまでの、甘い表情をかなぐり捨てた酷薄な表情。
いきなり奈落の底に落とされるような衝撃。
この裏切られ感が半端ないと、彼のバッドエンドで怒り狂ってクズ野郎と叫んだ乙女は少なくないと思う。
三田くんは、九条沙也加が注文して飲まなかったアイスコーヒーにガムシロップを入れると、乱暴にかきまぜた。
「コーヒーは苦いから好きじゃないんだよねえ。さやちゃんコーラ頼んでくれたらよかったのに。」
私は黙って三田くんを見ていた。
いろいろとゲーム内容を思いだしていたら、いつの間にか険しい顔で彼を見ていたらしい。
三田くんは、スチルそっくりの酷薄な表情で私を馬鹿にしたように見た。
「………なに?こんな人だと思わなかった~とか、裏切り者とか思ってる?残念だったね。」
彼はコーヒーをストローで乱暴にかき混ぜると、ぐいっと飲んでひどく顔をしかめた。
じゃあ飲まなかったらいいのに、と思いつつ、私は首を傾げた。
前世の私が頭の中でこのクズ野郎が!と叫んでいる。
だけど、『私』はほんとにそうなのかなあと、少し悩んでるみたい。
私は三田くんの誤解を解くために。傾げた首を戻しつつ、彼をまっすぐに見た。
「裏切り者だとは思ってないですよ?」
「…………へ?」
三田くんは、ストローを机の上にポトリと落とした。
コースターにコーヒーのしみが広がっていく。
「私、ストーカーの人に襲われかけた時、ほんとに怖かったんです。今も手が震えるくらい。でも、あなたがあの時不安だった私の話を聞いてくれて、お兄ちゃんに連絡してくれたから、友達に助けられて、私は無事でした。それはほんとに感謝してます。まあ、私が危険な状態だった時に九条さんとあなたが一緒にいたのは事実みたいですし。そこはなんだか腹が立ちますけど。こんな人だと思わなかったと思えるほど私はあなたをよく知りませんし。残念もなにもないですよ。それより、このケーキの代金やっぱり半額でも払った方がいいですかね?頼んだのは彼女なんですが、頂くのは私なんですよねえ。どう思います?」
「………ええと……ごめん。俺の想定外の方向に話が進んでるみたいで……ケーキの代金はいいんじゃないかな。きっと、さやちゃんも受け取らない。」
今度は三田くんが頭を抱えてしまった。
店員さんが持ち帰り用に詰めてくれたケーキを席まで持ってきてくれたのをきっかけに、私は席から立ち上がった。
「とりあえずこから出ます?お兄ちゃんもそろそろ来ますよね。」
「…………タマちゃんは来ない。」
「………え?」
三田くんは、俯いたまま、ボソボソと言葉を続けた。
「タマちゃん達は、さやちゃんのクラスの女子が足止めしてる。俺があんたを怒らせて一人で帰らせる予定なんだ。そんで女に囲まれてる一条達をあんたに見せて、幻滅させるつもりらしい。」
「それはまた……。」
私は頭を抱えた。
今日の、映画鑑賞にそんな予定が組み込まれていたとは。
それにしても。
やっぱり円卓ルートなのかなあ。
三田くんてば九条沙也加の企みを私に教えてくれたし。
お兄ちゃんを守ってくれたらうれしいんだけどな。
でも、クマ太郎の、クレーンゲームはあきらめた方がいいかなあ。
楽しみにしていただけに、少しがっかりしてしまったが、あきらめて帰ることにした。
「では、私帰りますね。」
私はカフェをでて、店の出口に向かって歩きだした。
大量のケーキが地味に重い。
店を出る時、頭を抱えたまま座り込んで動かない三田くんの横顔がちらりと見えた。
エレベーターで一階までおりていると、女の子にかこまれた蓮琉くんとお兄ちゃんがいた。
「おお。ほんとに囲まれてますねえ……。」
私は心の中で合掌した。
ごめん。助けるのは無理です。
店をでて、駅への道を歩いていると、どんどんケーキが重さを増してくるような気がして、反対の手にもちかえた。
これって地味にイジメなのかな。
どうなのかな?
ぼんやり歩いていると、私はいきなり後ろから腕をつかまれた。
ストーカーにつかまれた時の記憶がよみがえってきて体が震えてくる。
私は叫び声をあげようとしたが、体が萎縮してしまって声がだせない。
だんだん息が苦しくなってきて、私はそのまま意識を失った。
通称寝返りエンド。
別名クズ野郎エンド。
三田くんのバッドエンドは、かなりタチが悪いことで定評があった。
最後までバッドエンドにいくのか、ベストエンドにいくのかがまったく読めないのだ。分岐ギリギリまで、彼は主人公に愛を囁く。そしてバッドエンドの分岐に入った途端、豹変するのだ。
『俺なんかを信じてたの?馬鹿じゃない?』
との台詞とともに主人公を突き飛ばし、九条沙也加に寄り添ってキスするのだ。
画面に映し出されるスチルがまた、すごい。
それまでの、甘い表情をかなぐり捨てた酷薄な表情。
いきなり奈落の底に落とされるような衝撃。
この裏切られ感が半端ないと、彼のバッドエンドで怒り狂ってクズ野郎と叫んだ乙女は少なくないと思う。
三田くんは、九条沙也加が注文して飲まなかったアイスコーヒーにガムシロップを入れると、乱暴にかきまぜた。
「コーヒーは苦いから好きじゃないんだよねえ。さやちゃんコーラ頼んでくれたらよかったのに。」
私は黙って三田くんを見ていた。
いろいろとゲーム内容を思いだしていたら、いつの間にか険しい顔で彼を見ていたらしい。
三田くんは、スチルそっくりの酷薄な表情で私を馬鹿にしたように見た。
「………なに?こんな人だと思わなかった~とか、裏切り者とか思ってる?残念だったね。」
彼はコーヒーをストローで乱暴にかき混ぜると、ぐいっと飲んでひどく顔をしかめた。
じゃあ飲まなかったらいいのに、と思いつつ、私は首を傾げた。
前世の私が頭の中でこのクズ野郎が!と叫んでいる。
だけど、『私』はほんとにそうなのかなあと、少し悩んでるみたい。
私は三田くんの誤解を解くために。傾げた首を戻しつつ、彼をまっすぐに見た。
「裏切り者だとは思ってないですよ?」
「…………へ?」
三田くんは、ストローを机の上にポトリと落とした。
コースターにコーヒーのしみが広がっていく。
「私、ストーカーの人に襲われかけた時、ほんとに怖かったんです。今も手が震えるくらい。でも、あなたがあの時不安だった私の話を聞いてくれて、お兄ちゃんに連絡してくれたから、友達に助けられて、私は無事でした。それはほんとに感謝してます。まあ、私が危険な状態だった時に九条さんとあなたが一緒にいたのは事実みたいですし。そこはなんだか腹が立ちますけど。こんな人だと思わなかったと思えるほど私はあなたをよく知りませんし。残念もなにもないですよ。それより、このケーキの代金やっぱり半額でも払った方がいいですかね?頼んだのは彼女なんですが、頂くのは私なんですよねえ。どう思います?」
「………ええと……ごめん。俺の想定外の方向に話が進んでるみたいで……ケーキの代金はいいんじゃないかな。きっと、さやちゃんも受け取らない。」
今度は三田くんが頭を抱えてしまった。
店員さんが持ち帰り用に詰めてくれたケーキを席まで持ってきてくれたのをきっかけに、私は席から立ち上がった。
「とりあえずこから出ます?お兄ちゃんもそろそろ来ますよね。」
「…………タマちゃんは来ない。」
「………え?」
三田くんは、俯いたまま、ボソボソと言葉を続けた。
「タマちゃん達は、さやちゃんのクラスの女子が足止めしてる。俺があんたを怒らせて一人で帰らせる予定なんだ。そんで女に囲まれてる一条達をあんたに見せて、幻滅させるつもりらしい。」
「それはまた……。」
私は頭を抱えた。
今日の、映画鑑賞にそんな予定が組み込まれていたとは。
それにしても。
やっぱり円卓ルートなのかなあ。
三田くんてば九条沙也加の企みを私に教えてくれたし。
お兄ちゃんを守ってくれたらうれしいんだけどな。
でも、クマ太郎の、クレーンゲームはあきらめた方がいいかなあ。
楽しみにしていただけに、少しがっかりしてしまったが、あきらめて帰ることにした。
「では、私帰りますね。」
私はカフェをでて、店の出口に向かって歩きだした。
大量のケーキが地味に重い。
店を出る時、頭を抱えたまま座り込んで動かない三田くんの横顔がちらりと見えた。
エレベーターで一階までおりていると、女の子にかこまれた蓮琉くんとお兄ちゃんがいた。
「おお。ほんとに囲まれてますねえ……。」
私は心の中で合掌した。
ごめん。助けるのは無理です。
店をでて、駅への道を歩いていると、どんどんケーキが重さを増してくるような気がして、反対の手にもちかえた。
これって地味にイジメなのかな。
どうなのかな?
ぼんやり歩いていると、私はいきなり後ろから腕をつかまれた。
ストーカーにつかまれた時の記憶がよみがえってきて体が震えてくる。
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だんだん息が苦しくなってきて、私はそのまま意識を失った。
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