兄がBLゲームの主人公だったら…どうする?

なみなみ

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中学生編

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目が覚めると、そこは見た事のない場所で。

布団に寝かされている私の隣には何故か転がっている三田くんと、キラキラ笑顔のお兄ちゃんと、機嫌の悪そうな蓮琉くんと、その隣で楽しそうに煙草をふかしている桜木先生がいた。

これで四楓院先輩がいたら、攻略対象がコンプリートだね、お兄ちゃん。
寝ぼけた頭でそんなことを考えながら、私はゆっくりと起き上がった。
それにしても夢にポン太がでてきたような気がする。
ポン太は何故か泣いていた。
いっぱい抱きしめてキスしてあげたけど、元気になっているといいなあ。
夢の中のポン太を思いだしながら、私はお兄ちゃんに話しかけた。

「お兄ちゃんここどこ?」

「花奈!起きたのか。ここは桜木先生の家だってさ。」

「そうなんだ。どうして、私…………っ?」

その時、様々な記憶がフラッシュバックした。

文化祭。映画。九条沙也加。ケーキ。
……そしてストーカー。
腕をつかまれた恐怖がよみがえり、私は再び息が苦しくなってきたのを感じて、思わず体を抱きしめた。

でも、それはすぐに霧散した。

「花奈。大丈夫。いま、花奈を抱きしめてるのは誰?」

蓮琉くんが抱きしめてくれていた。
頬にキスを落とすと、そのまま、唇にも軽くふれてくる。

「いま、花奈にふれてるのは?」

「……蓮琉くん。」

「おい、斎藤。あれは誰だ。」
「一条蓮琉ですよ。先生担任じゃないですか。」
「いや別人だろう。俺はあんな甘ったるい砂でも吐きそうな生徒を担任にもった覚えはない。斎藤、三田をつねってみろ。これが夢じゃないかわかるだろ?」
「いやですよ。そんなの。自分でやって下さい」
「痛いっ!桜ちゃん、マジでやる?ひどいよ!」

背後でこそこそ言ってるのを無視して、蓮琉くんは、そのまま私の頬をなでると、キスを深めようとした。

「蓮琉。そこまで!」

けど、お兄ちゃんに、止められた。
不満そうな蓮琉くんに、お兄ちゃんは呆れたようにため息をついた。

「花奈が正気にもどったら、絶対恥ずかしがるぞ。それに、キスした後の顔他の奴らに見せてもいいのか?」

「それもそうだな。花奈、続きはまた今度ね?」

もう一度触れるだけのキスすると、蓮琉くんは私を抱きしめ直した。
離す気はないらしい。

だんだん落ち着いてきた私は、ふと我に返った。

「あれ?蓮琉くん。」

「落ち着いた?花奈。今日のこと思い出せる?」

「うん。映画見て、その後カフェに行って。トイレに行ったら九条沙也加がいて、もう一回カフェに入ったんだよね。それで、三田くんがきて、私はお店をでて、それで歩いていたら誰かに腕をつかまれたの。あれ。そこから記憶がないや。」

蓮琉くんは、よくできました、とばかりに私のおでこにキスを落とした。
私は恥ずかしくなってきて、慌てて蓮琉くんを押し戻した。
よく考えたらみんなの前だよ?蓮琉くんに抱きしめられてキスされてるのってかなり恥ずかしいよね?

「は、蓮琉くん。これは恥ずかしいです。」

「そう?でもまだダメ。だって、花奈、環からの電話に出なかっただろう?これはそのお仕置きだからね。あきらめて?」

「ええ?そうなの?」

にっこり笑っている蓮琉くんにそれ以上声をかけれず、私は蓮琉くんの腕の中でもぞもぞと体を動かした。

桜木先生は、イラッとしたように、煙草を灰皿に押し付けると、いきなり立ち上がった。

「お前らもう帰れ!三田と一条は斎藤の妹連れて表に出ろ。斎藤、お前は少し残れ。」

追い立てられるように部屋を出されそうになったので、私は慌てて先生に頭を下げた。

「あのっ。ありがとうございました。」

先生はふっと笑うと私の頭にポンと手をおいた。

「いちおう、助けたのはそこの三田みたいだぞ。そいつにも礼を言っといてやれ。じゃあな。」

そう言って玄関のドアを閉めると、そこには私の手を握って離さない蓮琉くんと、所在なげにつっ立っている三田くんが残された。

三田くんは、私をじっと見下ろすと、がばっと頭を下げた。

「妹ちゃん。ほんとにごめんなさい。俺が、考えなしにさやちゃんに連絡したからっ!そんで、手を掴んだのは俺なんだ。驚かせてごめん。」

三田くんは頭を下げたまま動かない。
私は初めて見る彼のつむじをじっと見つめながら考えていた。

私がカフェをでる時は考え込んでるみたいだけど、あの後私を心配しておいかけてくれたんだ。
なんだかふんわりした気持ちになって、私は微笑んだ。
やっぱり円卓ルートの三田くんは、お兄ちゃんの味方なんだね。

「………えい。」

私は蓮琉くんにつながれた反対の手で三田くんのつむじを押した。
三田くんは何故か動かない。
私はそのままぐりぐりと、押すと、やっと手を離した。

「ごめんなさい。ぐりぐりしました。三田くんも助けてくれたので、これでおあいこですね?もう今までのことは水に流しましょう。はい、三田くんも顔をあげてください。……あれ?アザがありますね。」

恐る恐る顔をあげる三田くんの口元にアザがあるのを見つけた私はカバンの中から絆創膏を取り出すと、痛くないように気をつけながら患部にそっと貼った。
すると、ちょうどお兄ちゃんが桜木先生の部屋から出てくる所だった。

そのまま帰ることにした私達は、駅までの道をゆっくりと歩いていた。
前にはお兄ちゃんと蓮琉くん。なにか深刻そうに話している。

横を歩く三田くんは、たまに私をちらちら見ながら、黙って歩いていた。
私も特に話すこともないので、黙って歩く。
ふと気がつくと、三田くんが私の手をつないでいた。
外は既に薄暗くなっていて、電灯の明かりが手をつないだ私達二人の影を地面にうつしだしている。背の高い三田くんと私の影はまるで大人と子供みたいだった。何だかおかしくてクスクス笑っていると、三田くんが不思議そうに私の顔を伺ってきた。私は影を指さしながら、三田くんに教えてあげた。
三田くんは最初キョトンとした顔をしていたけど、何かを思い出したのか泣きそうな顔をした。

「妹ちゃんて、俺のあったかかった頃のことを思い出させるよね。」

意味がわからなくて首をかしげたけど、三田くんはそれ以上は口を開くことはなかった。

しばらくして私達の様子に気がついた蓮琉くんが乱入してくるまで、その不思議な雰囲気は続いた。
息をはくと、少し白い。
そろそろマフラーが欲しい時期になってきた。


ゲーム内で最後のイベントであるクリスマスまであと少し。
私は冬の星座にかわってきた空をゆっくり見上げていた。






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