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魔女が欲しいもの
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「あの紋章を見る限り王族ですよね?それもかなり高位の!何なら王子殿下くらいの!」
「あっ、あぁ…。自己紹介が遅れた。私の名はアレス・ヒューバート、一応第一嫡子だ」
「アレス王子殿下…やっぱり!」
ルルは最初は乗り気じゃなかったんですよね…などと言いながらも、何やらごそごそして棚を漁っている。
もしかしたら、いやそんなことはないだろうが…
自分はこのまま珍しい薬の材料にでもされるのではないか、そんな不安がアレスの胸をよぎった。
「王子殿下」
「な、なんだ…?」
「あなたが王位継承順位一位である事を見込んで、1つお願いがあるのです」
ルルがパッと見せてくれたのは、1枚の色褪せた写真。
「私、この方を呪い殺したいんです」
「呪い殺したい?この方をか?」
現に正気かとアレスはルルに訴えかけたが、何ともあっけなく「はい」という言葉で肯定されてしまった。
「それに王子殿下にも不利益なばかりな話じゃないですよ。この方を呪い殺すことは」
「何故だ?」
戸棚から取り出されたのは、黒く固まった血が先についた1本の弓。
その弓はアレスも非常に見覚えがあるものだった。
「この弓は王子殿下の脇腹に刺さっていたものです。そしてご丁寧にも弓矢には稀少な毒が塗られていた」
「そうだったのか…」
どおりで矢が刺さったとき、燃えるような熱を感じ、のたうち回るような頭痛に襲われた訳だ。
そんな毒が塗られていたのなら、今回薬に精通している彼女に助けられたことはまさに幸運と言えるだろう。
「実はこの稀少な毒。私みたいな魔女にしか調合できないんです。それもとびっきり博識で意地の悪い魔女しか」
「王宮の誰かが魔女に依頼したとでも言うのか?」
「違います。魔女は依頼されたんじゃなくて自主的に毒を作って、あなたを射ったのですよ」
白く細長い人差し指が、アレスの持っている写真をトントンと叩く。
「そして、その魔女というのがこの女です。あなたの弟君の母である、ソピア・ヒューバート」
…何故だろう。
もしかしたら自分は酷な性格をしているのかもしれないが、ソピアが魔女と聞いて心の重荷がとれたような気がした。
「あっ、あぁ…。自己紹介が遅れた。私の名はアレス・ヒューバート、一応第一嫡子だ」
「アレス王子殿下…やっぱり!」
ルルは最初は乗り気じゃなかったんですよね…などと言いながらも、何やらごそごそして棚を漁っている。
もしかしたら、いやそんなことはないだろうが…
自分はこのまま珍しい薬の材料にでもされるのではないか、そんな不安がアレスの胸をよぎった。
「王子殿下」
「な、なんだ…?」
「あなたが王位継承順位一位である事を見込んで、1つお願いがあるのです」
ルルがパッと見せてくれたのは、1枚の色褪せた写真。
「私、この方を呪い殺したいんです」
「呪い殺したい?この方をか?」
現に正気かとアレスはルルに訴えかけたが、何ともあっけなく「はい」という言葉で肯定されてしまった。
「それに王子殿下にも不利益なばかりな話じゃないですよ。この方を呪い殺すことは」
「何故だ?」
戸棚から取り出されたのは、黒く固まった血が先についた1本の弓。
その弓はアレスも非常に見覚えがあるものだった。
「この弓は王子殿下の脇腹に刺さっていたものです。そしてご丁寧にも弓矢には稀少な毒が塗られていた」
「そうだったのか…」
どおりで矢が刺さったとき、燃えるような熱を感じ、のたうち回るような頭痛に襲われた訳だ。
そんな毒が塗られていたのなら、今回薬に精通している彼女に助けられたことはまさに幸運と言えるだろう。
「実はこの稀少な毒。私みたいな魔女にしか調合できないんです。それもとびっきり博識で意地の悪い魔女しか」
「王宮の誰かが魔女に依頼したとでも言うのか?」
「違います。魔女は依頼されたんじゃなくて自主的に毒を作って、あなたを射ったのですよ」
白く細長い人差し指が、アレスの持っている写真をトントンと叩く。
「そして、その魔女というのがこの女です。あなたの弟君の母である、ソピア・ヒューバート」
…何故だろう。
もしかしたら自分は酷な性格をしているのかもしれないが、ソピアが魔女と聞いて心の重荷がとれたような気がした。
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