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魔女が欲しいもの2
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何かあれば、自らの息子を王に押し上げようとする野心家。
かと思えば、庶民の票を得るため無償で病を治癒する聖母のような一面。
そしてそれらを霞ませるアレスを見る目はとても冷たく、日頃から王宮内では警戒の対象だった。
「正直この女には恨みしかないんですよね」
「なぜだ?君はこの方と関わった事が…」
「ありますよ。だったその女、私の師匠の妹で、師匠を殺して涙を奪った殺人者ですもの」
ルルの人差し指がすっと移動し、ソピアの首筋に向かう。
「この大ぶりの一粒石。王子殿下も見覚えがあるでしょう?」
「あぁ、この宝石はどんな時でもつけているからな」
「これ魔法を使う者の至宝で、シャラノワールの涙って言うんですよ」
女神シャラノワールの涙は、自らを天界に引き戻そうとする軍勢とたった一人で戦おうとした王子の姿を見てシャラノワールが流したもの。
天界の軍勢はその涙の美しさをみて、王子に抱く愛が本物だと見抜き、二人が誓うのを認めた。
そして王子は、流された涙の美しさをみてもう1度シャラノワールに恋をした。
「正直うん百年も前の話なので真偽はどうか分かりませんが、そういった経緯もあってシャラノワールの涙には浄化の魔力が宿っているんです」
―死者を生者にしたり、手の施しようがない病を癒したり。
「…覚えがあるでしょう?アレス王子殿下なら」
「おかしいと思っていたんだ。ソピアの医療術は医療を超えている。そして医療をしている姿を誰にもみせない」
「見せられませんよ。だってこの方はシャラノワールの涙の正当な持ち主ではありませんし、使っているのを見られたら…」
「見られたら?」
「天界から雨ではなく槍が降ってきて肉体が千々に吹き飛ばされるでしょうね。ご愁傷様です」
現に恐ろしい事を事もなさげに言ったルルは、再び何でもボックスとしている戸棚から小瓶に入った液体を出してきた。
液体は何を使ったのだか分からないが怪しげな緑色をしていて、おどろおどろしいの一言に尽きる。
かと思えば、庶民の票を得るため無償で病を治癒する聖母のような一面。
そしてそれらを霞ませるアレスを見る目はとても冷たく、日頃から王宮内では警戒の対象だった。
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「なぜだ?君はこの方と関わった事が…」
「ありますよ。だったその女、私の師匠の妹で、師匠を殺して涙を奪った殺人者ですもの」
ルルの人差し指がすっと移動し、ソピアの首筋に向かう。
「この大ぶりの一粒石。王子殿下も見覚えがあるでしょう?」
「あぁ、この宝石はどんな時でもつけているからな」
「これ魔法を使う者の至宝で、シャラノワールの涙って言うんですよ」
女神シャラノワールの涙は、自らを天界に引き戻そうとする軍勢とたった一人で戦おうとした王子の姿を見てシャラノワールが流したもの。
天界の軍勢はその涙の美しさをみて、王子に抱く愛が本物だと見抜き、二人が誓うのを認めた。
そして王子は、流された涙の美しさをみてもう1度シャラノワールに恋をした。
「正直うん百年も前の話なので真偽はどうか分かりませんが、そういった経緯もあってシャラノワールの涙には浄化の魔力が宿っているんです」
―死者を生者にしたり、手の施しようがない病を癒したり。
「…覚えがあるでしょう?アレス王子殿下なら」
「おかしいと思っていたんだ。ソピアの医療術は医療を超えている。そして医療をしている姿を誰にもみせない」
「見せられませんよ。だってこの方はシャラノワールの涙の正当な持ち主ではありませんし、使っているのを見られたら…」
「見られたら?」
「天界から雨ではなく槍が降ってきて肉体が千々に吹き飛ばされるでしょうね。ご愁傷様です」
現に恐ろしい事を事もなさげに言ったルルは、再び何でもボックスとしている戸棚から小瓶に入った液体を出してきた。
液体は何を使ったのだか分からないが怪しげな緑色をしていて、おどろおどろしいの一言に尽きる。
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