童話のようにはならなくて

runa69

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言わぬが花

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「こちらの薬はいわば自白剤です。飲めばあら不思議、心に隠していた思いが口から溢れてしまいます」



―さぁどうぞ、王子陛下。



一瞬、いや大分迷った。



その迷いがルルにも伝わったのか一つ小さく息を吐いた後、瓶の栓をきゅぽんと小気味のいい音をたてながら開け。



「おっ、おい!」



その中身を一気に自分へぶちまけた。



「質問してください、王子殿下。今まで話したことに偽りはないかと」



「…ルル・ヘイミナス。今まで話した事に偽りはないか。私を裏切ろうとしていないか」



自白剤の副作用なのか。



ルル・ヘイミナスの白かった頬はリンゴのように赤く染まり、僅かだか息も荒い。



それでも真っ直ぐな眼差しは変わらず、ゆっくりと質疑したことについて答えるべく口を開いた。



「弓のこと、ソピア・ヒューバートの事、シャラノワールの涙の事。今話したことに一切の偽りは虚偽はないです。ただ、一つだけ話していないことがあります」



「何だ?」



「王子殿下のこと…」



「俺のことを?」



「最初はこのまま放置してもいいかな、面倒だしと思っていました 」



「そ、そうなのか」



「あと」



「まだあるのか」



「さっき飲ませた薬には…」



もしかして毒でも入っていたのか。



「花を主食として食べるファイフラワーモスの睾丸を磨り潰していれてました。ごめんなさい」


ファイフラワーモスとは、頭に一輪の花を咲かせた牛のような生物のこと。



その後アレスが慌てて立ち上がり、胃まで洗い流す勢いで水を飲んだことは言うまでもない。
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