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第二話 役立たず冒険者、村で笑われる
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鉄屑の剣で足を痛めた俺は、半泣きで草原をさまよい、ようやく人里を見つけた。木の柵に囲まれた小さな村。文明の匂いがするだけで涙が出そうになる。
「おーい! 助けてくれー!」
門の前で叫ぶと、警備役らしきおっちゃんが現れた。
「見ねぇ顔だな。旅人か?」
「え、ええ、まあ……そんな感じです」
説明が面倒でごまかす俺。おっちゃんの視線が俺の“鉄屑剣”に落ちた。
「……それ、武器のつもりか?」
「……はい」
「ははは! そりゃ棒にもならねぇな!」
門番の爆笑に、近くの子供たちも集まってきた。
「お兄ちゃん、それ剣なの?」
「曲がった鉄のゴミだ!」
ああ……転生初日から公開処刑。俺のプライドはズタボロだ。
⸻
村に入った俺に声をかけてきたのは、小柄な少年だった。腰に革のエプロン、手に金槌。鍛冶見習いだろう。
「その棒、お前が作ったのか?」
「いや……棒っていうか剣なんだけど。作ったっていうより、スキルで出したんだ」
「スキル?」
少年が首をかしげる。ここで黙っても怪しまれるだけだ。仕方ない、ちょっと説明してみるか。
「……俺のスキルは、言葉にしたものを手から生み出せるんだ。剣って言えば剣が出るし、盾って言えば盾が出る」
「……でも、それがこれ?」
少年が鉄屑剣を指差す。痛いところを突かれて返事に詰まる。
「そ、そうなんだよ。言った通りに出るはずなんだけど、出来上がりはこんな感じで……」
「ふーん。なら“言い方”が悪いんじゃねぇか? 鉄って言うより、“丈夫な剣”とか“軽くて持ちやすい剣”とか、特徴をはっきりさせた方がいいだろ」
なるほど。確かに“軽くて持ちやすい”は記事でもよく使ったフレーズだ。俺の本職――ライターとしての経験が、ここで活かせるのか?
⸻
そこへ、茶髪のポニーテールの少女がやってきた。背中には大きな荷物袋。行商人のようだ。
「素材屋の私から見ても、その子の言う通りね。鉄の種類とか専門的なことより、“錆びない”“光沢がある”みたいに特徴を伝えた方が分かりやすいわ」
「なるほど……特徴を言葉で指定すればいいのか」
少女はニコッと笑った。救われるような笑みだった。
そして鉄屑剣は誰も見ていないところでそっと捨てた。
⸻
その夜、宿屋の裏で特訓開始。
「“鉄の棒”じゃなくて……“丈夫で真っ直ぐな棒”!」
――ボフン!
手のひらから現れたのは、さっきよりはるかにマシな鉄棒。歪みが少なく、握った感触も悪くない。
「おおっ! 進歩してる!」
さらに挑戦。
「“軽くて持ちやすい剣”!」
――ボフン!
現れたのは短めの剣。まだ粗いが、片手で振れるくらい軽い。
「やっと剣らしくなった……!」
笑われ、役立たずと呼ばれた俺だが――ライターとして磨いた言葉の力が、この世界で武器になる。
鉄屑から始まる異世界生活。俺は必ず“言葉の鍛冶師”として成り上がってみせる。
「おーい! 助けてくれー!」
門の前で叫ぶと、警備役らしきおっちゃんが現れた。
「見ねぇ顔だな。旅人か?」
「え、ええ、まあ……そんな感じです」
説明が面倒でごまかす俺。おっちゃんの視線が俺の“鉄屑剣”に落ちた。
「……それ、武器のつもりか?」
「……はい」
「ははは! そりゃ棒にもならねぇな!」
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「お兄ちゃん、それ剣なの?」
「曲がった鉄のゴミだ!」
ああ……転生初日から公開処刑。俺のプライドはズタボロだ。
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「その棒、お前が作ったのか?」
「いや……棒っていうか剣なんだけど。作ったっていうより、スキルで出したんだ」
「スキル?」
少年が首をかしげる。ここで黙っても怪しまれるだけだ。仕方ない、ちょっと説明してみるか。
「……俺のスキルは、言葉にしたものを手から生み出せるんだ。剣って言えば剣が出るし、盾って言えば盾が出る」
「……でも、それがこれ?」
少年が鉄屑剣を指差す。痛いところを突かれて返事に詰まる。
「そ、そうなんだよ。言った通りに出るはずなんだけど、出来上がりはこんな感じで……」
「ふーん。なら“言い方”が悪いんじゃねぇか? 鉄って言うより、“丈夫な剣”とか“軽くて持ちやすい剣”とか、特徴をはっきりさせた方がいいだろ」
なるほど。確かに“軽くて持ちやすい”は記事でもよく使ったフレーズだ。俺の本職――ライターとしての経験が、ここで活かせるのか?
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そこへ、茶髪のポニーテールの少女がやってきた。背中には大きな荷物袋。行商人のようだ。
「素材屋の私から見ても、その子の言う通りね。鉄の種類とか専門的なことより、“錆びない”“光沢がある”みたいに特徴を伝えた方が分かりやすいわ」
「なるほど……特徴を言葉で指定すればいいのか」
少女はニコッと笑った。救われるような笑みだった。
そして鉄屑剣は誰も見ていないところでそっと捨てた。
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その夜、宿屋の裏で特訓開始。
「“鉄の棒”じゃなくて……“丈夫で真っ直ぐな棒”!」
――ボフン!
手のひらから現れたのは、さっきよりはるかにマシな鉄棒。歪みが少なく、握った感触も悪くない。
「おおっ! 進歩してる!」
さらに挑戦。
「“軽くて持ちやすい剣”!」
――ボフン!
現れたのは短めの剣。まだ粗いが、片手で振れるくらい軽い。
「やっと剣らしくなった……!」
笑われ、役立たずと呼ばれた俺だが――ライターとして磨いた言葉の力が、この世界で武器になる。
鉄屑から始まる異世界生活。俺は必ず“言葉の鍛冶師”として成り上がってみせる。
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