元社畜系女子が人生フルベッドで運命ガチャを回してみたら~美女の人生は一度でいい。~

いづか あい

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第1章 人生、終わった

第9ガチャ 双子の秘密

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「ふぁあ…」

しまった、大口開けてあくびしちゃった。

「こら、お嬢様。…お口が開いてますよ」
「あ、ごめんなさい…」
「休憩中ですから…まあ、構いませんけれど」

今日は、ジェンナ先生の授業の二日目である。

(天気が良くて気持ちいいなあ)

さんさんと降り注ぐ太陽を全身に浴びて、私は大きく伸びをする。窓の外を見た瞬間、…絶句した。
窓の向こうのすぐそばの木の上では、フォーレが座ってこちらに向けて手を振った。
しょうがないので、一度ため息をつき窓をそっと開ける。

「危なくないの?フォーレ」
「別に」
「ケディは?」
「下にいるよ」
「ふうん…」

指をさす方向を見ると…ケディは木陰に座りながら本を読んでいる。
さて…この双子、何日か一緒に過ごしてみて、わかったことがある。

フォーレは本を読むのが好きで、ケディは身体を動かす方が好き。
2人とも、綺麗な金髪を後ろで束ねているのだけど…フォーレは割ときっちりしているのが好きで、ケディはあまり気にしないタイプのよう。
で、目の前の木の上でどや顔しているのは…髪がぼさぼさでやんちゃなフォーレ…つまり。

(こっちの役は、確証がないけど、今日は…ケディの方ね)

この二人、毎日性別と服装を微妙が違うのだけど、子供のいたずらか、それとも、何か理由があるのか。
そこはよくわからない。

「ケディがずっと本を読んでいるの、めずらしいね」
「え…?そうだっけ。ねえ、勉強はいつ終わるの?」

ちらりと後ろを見ると…あ、ジェンナ先生がため息をついている。

「…今日はここまでにしましょうか」
「お、やったね。じゃあ、北にあるあそこの塔に行きたい!」
「塔…?」

フォーレが指さしたのは…北の棟にある古い塔。

(大丈夫かなあ…)

「あっちは危ないよ」
「行くのは別にいいだろ?中に入らなければいいんだし」
「中にって…まあ、見るだけなら…?ちょっと待ってて」
「ここから入っちゃダメか?」
「ダメ!…レディの部屋に勝手に入るなんて、さいてー」
「サイテーって…ちぇ。しょうがないな。おい、どけろケディ」
「!」

すると、ケディはそのままサルみたいな俊敏な動きで、二階まである樹から飛び降りた。
シュタッと綺麗に着地すると、ドヤ顔でこっちを見てくる。

(へえ…すごい)
「全く…お嬢様。真似してはいけませんよ」
「しないわ。…それより先生。ベラドンナって、どんな植物なの?」
「!…何処でそれを」
「この間言ってたでしょ?…私の机に合ったメッセージ」
「……お嬢様は大変賢くていらっしゃいますが…」
「そんなに言えないくらい危ないの?」
「…それは」

ベラドンナ…名前だけは聞いたことがある。
私がまだ律葉だった時、好きだったゲームで毒薬として使われていた。
この反応を見る限り、こちらも同じみたい。

(あとは…どんな作用があって、どうやって摂取するかなんだけど)

それとも…先生に相談する?

「あの…」
「準備まだか?」
「…こら、そんなに音大きくしたら、また怒られるよ」

(ったく…)

「お嬢様」
「?…なあに、先生」
「…あまり、危ないことはなさらないでくださいね。困ったことがあったら、大人の力を頼ってください」
「うん。わかった」

とても真剣な表情だった。
なんだか、申し訳なくなってしまう。

(…でも、急がないと)

私はちら、と鏡の方を見る。
とても怖い表情で、どこかを見ているリアーナの姿。
このまま放っておけば、何か起こりそうな…そんな悪い予感がする。

「…ねえ、君はいつも難しい顔をしてるね」
「え?」

私と並んで歩いていたケディが、突然そう言いだした。

「そ そうかな?」
「うん。何か全部わかっているみたいな、不思議な顔してる」

(そんな風に見られていたとは)

所で…この子はどうしてこう私と距離をとるんだろう?今もほら、私と並んで歩いているけど、体一つ分位の一定の距離を保っている。


「…ねえ、いつもはくっついてくるのに、今日はどうしたの?」
「えっ」
「あなた、フォーレの方でしょ。…それで、あっちがケディ」
「!!」

あれ、目を丸くして驚いている。
…バレないと思ったの?

「…気づいてたんだ」
「うん。…だって、今日のケディは、らしくないっていうか…大人しい?」
「……あいつがはしゃぎすぎなだけだよ。おい、ケディック」
「!え?あ やべ、振り返ちゃった」

(…隠す気あるの?この子たち)

「…ちょっとこっち来て、二人とも」

私はそう言って、二人の腕を掴んでずるずる歩き出す。
半開きのドアに入り込み、あることに気が付く。

(…いつもは鍵がかかっているのに)

この部屋、母が亡くなった寝室だ。

「ねえ…私の事、だまそうとしてたでしょ」
「だます…って?」と、フォーレ…基、ケディ。
「バカ、リッハシャルは僕たちの事、怒ってるんだってば」
「そうよ!…なにか、理由はあるならしょうがないけど…怒ってるの、わたし!」
「ご ごめん」

フォーレが頭を下げると、一度きょろきょろした後、ケディも頭を下げた。

「…ごめん、その…ちょっとからかったっていうか、えっと」
「ケディは黙って!…ちゃんと、説明するよ」
「…いいよ」

私はそう言うと、腰に当てていた手を下ろし、寝台の上に座り込む。

(ん…?寝台…あ、ここ。お母さまが亡くなった)

なんだかゾッと寒気がして、寝台から飛び降りる。

「?大丈夫…?」
「う、うん、それより、続けて」
「はあ。わかったよ…改めて、僕はフォーレ・エイデン。双子の弟の方。で」
「ぼくはケディック・エイデン。兄の方だ」
「…フォーレの方がお兄ちゃんだと思ってた」

そう言うと、二人は同時に首を振る。

「ソレ…いつも言われる」
「そんなにぼく…落ち着かないかなぁ」

(…うーん、女装するなら、もうちょっとお淑やかにしなさいよね)

「どっちも男の子でしょ?なんで女の子のかっこうしてるの?」
「まあ、その方が…ちゃんとぼくらをみてくれるから、かな」
「…?」
「君のとこは一人しかいないから…気にならないだろうけど、男の兄弟ってのは、色々面倒くさいんだ」
「めんどうくさい…?」

あ、そうか。継承問題…この世界は、血筋が近い方が優先となる。
リッハシャルも、前世では弟が生れてきた途端、周囲の対応が一変していた。

「僕は先だから、フォーレが後だから…それだけで、これからの人生が変わる」
「どっちも男の格好していたら…みんな聞くんだ。どちらが兄ですか…ってね」

2人の言葉は、子供らしからぬ響きを感じた。

(スペアと、そうじゃない方…そう言う考え方?)

「…だったら、私に隠すひつようないじゃない」

なんだか、胸が苦しくなる。
けれど、そんな私の言葉を、二人は笑った。

「ちょっと…!」

「…もしかして、まだ聞いてないの?」
「何を?」
「僕とケディ…どちらかが、リッハシャルと婚約するって話」
「……は?」

何?何だって?!まだ五歳なのに…っ

「け。けけけけっこん?!」
「そう。で、選ばれなかった方が、エイデン家を継ぐんだって」
「……」

あまりにもあっけらかんと、簡単に…ケディはそう言った。
つまりは、…そう言うことになるんだろう。なるほど、そうすれば二人は幸せに、うちも安泰、みんなハッピー?

「ふざけんな…」
「え?」

私は腰に手を当て、ぐっと、人差し指を前に突き出した。

「じゃあ、フォーレもケディも!!どっちも選ばない!」
「ええ?!!」と、ケディは素頓狂な声をあげ
「あははは!そりゃ面白い!!」フォーレはお腹を抱えて笑い出した。

「ちなみに、理由は?」

くすくす笑いながら尋ねるフォーレに、私は腕を組んでそっぽを向く。

「どっちか選んでも、片方は絶対嫌な思いをするじゃない!そんなのやーよ!!」
「えぇ~…で、でも」
「なによ!人のせいにして、自分の未来が決まって…それでなんとも思わないの?!かっこわるぅ!!」
「な?!」
「アハハ…っ面白いね、それ!」

ふぉ、フォーレは何が楽しいのかしら?ここは笑うところじゃないでしょ…全く。

「…ほんとはさ、君が僕たちの秘密を知って、どういう顔をするか興味があったんだ」
「いい顔なんてするわけじゃないじゃない!」
「それもそうだ…でも、まあおおむね満足かなあ、僕は」
「ふんだ!なーにが満足!よ!!」

つまりは試されたっていうことになるのかもしれない。
そうか…だから、お父様は私に「フォーレとケディはどんな印象だ?」って聞いたのね。

「…はあ、なんだよ~。気が抜けたよ、ぼく…ん?」

へろへろとケディが床に座り込むと、机の下を見て変な顔をした。

「どうかしたの?」
「…この机」
「机…?」

この寝室は、あまり広くはない。
現代で言う…ビジネスホテルのシングルルーム、みたいな。簡素なベッドと、木造のチェアーとデスクがあるだけ。
ふと、ここで違和感を感じた。
ロザベーリのいじめがあったと仮定して…どうして、こんな隅の部屋にリアーナは押し込まれていたのだろう。


(誰も止めなかった…?だって、お父様はリアーナを愛していた。愛する人の病を治したいなら、もっといい部屋にベッドを置くじゃない?)

それとも…≪≪人目につかない場所にいなければならない理由≫≫でもあるんだろうか。

思考にふけっていると、がたがたと何かを動かす音が聞こえた。
そして、再び机の下からケディが顔を出すと…その手には、不思議な模様の入った箱を持っていた。

「なあ、こんなの見つけた」
「…箱?」
「これ、見たことあるな…なんだっけ」
「どれ?」

フォーレがそれを手に取る。
けど、すぐに怪訝そうな顔をした。

「…?蓋が明かない。鍵穴もないのに…もしかして、組み立て式かなあ」
「組み立て式…?」
「そう。…うちの親戚に旅行好きの爺様がいるんだけど、砂漠に行ったときのお土産にもこんなのあった」
「砂漠…」
「ええと、キア…キーン?」
「もしかして…キアルーンじゃない?!!」
「あ!それ!」

キアルーンは…お母さまの故郷だって言っていた。
なら、もしかして…この中に何か。

「見つけた…!かもしれない…!」

何か大事なものが仕舞っているような、そんな予感がした。



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