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しおりを挟む選んだお酒はマツダイラ酒造の顔ともいっていい、「ショウグン」という酒。
マツダイラ酒造の名前を全国区に広めた稀代の銘酒である。
しかも今回は、それの純米大吟醸ときた。
希少で高値な純米大吟醸だが、生産者特権で今ここには何本もある。
コップいっぱいに注いだショウグンをおすすめの飲み方である冷やでいただいていく。
お供となる料理は、高級料亭カネヒラの特製宴会料理。
一見ケーラルの一般的な大皿料理が並んでいるのだが、その一つ一つに匠の技が隠されていて、普通とは隔絶した洗練された料理となっている。
その大皿からいくつかつまみを拾ってきて、準備完了。
郷に入ってはと、何とか覚えた(という設定)箸を使って照りってりの煮物を、一口ぱくり。
いい感じに味の染みた芋がホクホクでねっとりしてて最高に旨い。
そして間髪いれずにショウグンをクイッと呷る。
イーモス山脈から下りてくる清流にケーラルの地の滋味が加わった水と、ケーラル原産のハレヒマレ七号というブランド米から造られるショウグンは、すっきりとした甘さと芳醇な香りが特徴。それでいて透き通った水のように飲み口がいい。
これならいくらでもいけちゃいそう。ヤバい。
煮物との相性も抜群で、素朴な味の煮物がショウグンと出会うことで旨味が何倍にも増していく。
これはもうキングダム建国間違いなし!
『旨いな、アオイ』
『アイ!』
ちなみに水の精霊であるアオイも、みんなには姿が見えないが、今回の酒宴を楽しんでいる。
まぁある意味では、主賓と言ってもいい存在なので、色んなものが少しずつ減っていても多めにみてほしい。
そんな感じで味わいながらまったりと飲んでいると、
「サイトさん、飲んでますか~?」
なんか、酔っぱらいがやってきた!
ギルド受付嬢のミクリさんである。
顔を赤らめ、今日はだいぶ酔っぱらってるみたいだな。
てゆーか、さっきからちらちら横目で見てたけど、この人高い酒から順にガバガバ空けてたな。
なんちゅー下品な飲み方。
前のときは、ちょっとした飲みだったから、こういう片鱗は全然見せなかったし。
「ちょっと飲み過ぎじゃないですか、ミクリさん」
「そんなことないですよー」
酔っぱらいはみんなそう言う。
仕方ない。
「はい、これ飲んでください」
「何ですか、これ? いただきま~す」
男性から渡された飲み物を警戒もせずに飲み干す地方在住一般独身女性。
うーん、ヤバい。
「美味しいですね、これ。どこに置いてあるやつですか?」
「いや、これは自前の酔いざまし水です」
水魔法の応用である。
「えぇ、もったいない」
飲兵衛はこういうこというんだよなぁ。
「お酒はちょうどいい量で飲みましょうよ」
「でも、ショウグンの大吟醸にヨコズナ、ヤマシロの30年ものまであるんですよ? ギルド職員の安月給じゃもう一生飲めないかもしれないので……」
確かに気持ちは解る。前世の地酒飲み放題フェアで、元をとるためにめっちゃ飲んだときの気持ちがよみがえる。
だがその後に残るのは、キツい二日酔いとたいして味がわかんなかったという後悔だけ。
「じゃあなおのことさら、チェイサー挟んで、チビチビやりなさいな。雑に飲んだらせっかくのお酒がかわいそうだよ」
「は~い」
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