45 / 96
44
しおりを挟む「サイトさんじゃないですか!?」
突然の再会に驚きの声を上げる女性冒険者。
「どうも。この間ぶりだね」
そう、ミクリさんに連れられてきたのは、行きの馬車で同乗したマリーとそのパーティーメンバー2人だ。
「あれ、お知り合いですか?」
ミクリさんが俺たちのリアクションを見て、不思議そうに聞く。
「ええ。王都からマゴットまでの馬車で乗り合わせまして」
「サイトさんの魔法にはだいぶお世話になったんですよ」
このパーティのリーダーで、剣士のマリー。実家が接客業のためか、人当たりも良く人間性も評価できる。
「クッキーおいしかったよー。ありがとね」
パーティメンバーの1人、ショートカットの元気っ娘斥候カリン。人懐っこいネコみたいな子。
「そう言えば、ケーラルで湯治をするとおっしゃってましたね」
おしとやかな黒髪ロングの回復術士ナツメ。勉強熱心で道中で魔法の意見交換などもした。
ケーラルが地元とは聞いていたけど、こんなにすぐに再会するとは思わなかった。
「マゴットに着いてすぐ、馴染みの商人から商隊の護衛依頼が急遽入って、休む間もなくこっちにですよ」
「あらまぁ」
「それでおとといこっち着いて。せっかく地元戻ったし、ちょっと休もうと思ったら、怖い地元の先輩に呼び出されて、働かされそうになっているとこです」
そう言って泣いたふりをするマリー。
「ちょっと!! 人聞き悪いわよ」
マリーの言葉を必死で否定するミクリさん。
いつもと違って言葉遣いも崩れているし、本当に近しい関係なのだろう。
「でも、じじつ」
「ですわね」
「――あなたたち、ちょっと黙りましょうか」
「「「はい」」」
悲しいことに、どんなに外で成長したところで地元の力関係ってのは絶対なのだ。
「お互いに知り合いなら、話は早いですね。今回の依頼、どうでしょうか?」
軽く再会の雑談をした後、ミクリさんが両者を見回して問う。
「俺は大丈夫ですよ。接した期間こそ長くないですが、冒険者としての実力もちゃんとあって、人格面もみんな真面目でいい子ですし」
「こちらとしても、今回の提案は元々メリットしかなかった上に、来てくれるのがちゃんとした人だったので、正直ラッキーって感じです。サイトさんの魔法の手際も見ていますし、前職の話も聞いてるので安心です」
俺とパーティを代表してマリーが答える。
別に100の信頼とは言わないが、お互いに変なことにはならないだろう程度の共通した認識を持っている。
冒険者をやっていると、この感覚はとても大事で、割と短い時間でもそういうとこはきちんと見る様になる。
彼女たちの仕事ぶりは、若いなりにもしっかりこなしてて、交流してても嫌なとこがなかったので、覚えていた。
「じゃあ決まりね。サイトさんの希望で契約とかはないので、今日はこのまま顔合わせで終わりです」
「解りました。あっ、サイトさん。この後明日の集合時間とか決めましょう」
「了解」
面倒なことはすっぽかしで、なぁなぁで話を詰めていく。休暇中の雑事なのでこの程度でいいのだ。
「そうそう。マリーたちは、この後リストにある用具や奉納品とかをもらってきてもらうからね」
「「「はいっ」」」
俺にとってはまさに物見遊山だが、彼女たちにとっては依頼料の発生する仕事。その分やることも多いが、これも経験だと思って頑張ってほしい。
0
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。
日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。
両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日――
「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」
女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。
目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。
作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。
けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。
――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。
誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。
そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。
ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。
癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる