まったり異世界観光 ~観光チートで異世界を楽しみつくす~

にしん

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「サイトさんはあれだけの魔法使うし、やっぱり魔力がすごく多いんですか?」

休憩がてら雑談を続けていると、魔法に感心があるナツメがそう聞いてくる。
魔法は基本的に、生活に必須な魔法は教育機関で教わることになっているが、それ以上を学ぶ場合は、家庭教師とか民間の私塾に入って学ぶ。
これは貴族の場合もそれほど事情は変わらない。ただ貴族の場合は、教える人材も優秀でかかる費用の桁が変わるというぐらいだ。
基本的に魔法というのは、魔力の動かし方といった基本的な部分以外は、それぞれの才能や想像力に委ねられる部分が多くて、画一的な指導法というものが、あってないような状況である。
だから高度な魔法を教える学校みたいなものは、存在しないのだ。
ナツメは魔法を地元の私塾で学んだらしく、ギルドでもマジックユーザーとしての登録もしてある。
実力的には、若手冒険者の魔法使いとしてはそこそこ優秀なんじゃないってぐらいのレベルだ。

「う~ん。多い方ではあるけど、とびぬけて多いってわけじゃないかな。昔中央魔導院に仕事で出向したことあるけど、俺以上の魔力持ちがゴロゴロいたよ」

俺はあくまで魔法寄りのオールラウンドプレイヤーであって、他にも色々つまみ食いをしているから、魔法一筋のスペシャリストたちには、魔法では及ばないのだ。
話に出てきた中央魔導院とは、世の高名な魔法使いが集まって作った魔法の研究機関のこと。変人の巣窟である。
そしてこの魔導院はあくまで研究機関であって、教育期間ではない。所属する高名な魔導師と師弟関係を結び、学びを得たりするということはあるけど、基本的には魔法の研究や技術向上を目指して切磋琢磨するところである。
入るには、厳しい試験を突破しなければならない。
俺はあまり魅力を感じなかったので、入らなかった。

「俺の場合は、魔力効率で勝負している感じかな」
「効率、ですか?」
「例えば、さっき獲物をここまで【浮遊】で運んできたでしょ?」
「はい」

牝鹿を運んだアレである。

「これ単純に【浮遊】を使うと魔力バカ食いするよね」
「はい、あの時はここで魔力使いきるのかななんて、思っちゃってました」

【浮遊】の魔力消費は基本的に、

《対象の重さ×持ち上げた高さ×時間》

の分だけ魔力がかかる。
後、対象の魔力抵抗力とかも一応影響あるけど、基本浮遊は物を運ぶときに使うものだからこれは、あまり意識しないでいい。

「あの時は、鹿をほんの数ミリだけ持ち上げて、その後にその鹿が持ち上がってる空間を持ち上げて移動させたわけだ」
「?」

わからないという顔をしているので、解説。
時空魔法の基礎の基礎として、

「空間の把握」ーその空間がどういうものか認識し、自分の手の内におさめる。ー

というものがある。

そういう概念を理解したうえで、空間に変化を加え操るというのが、時空魔法である。
この概念を利用して、鹿が宙に浮いている空間そのものを固定し、それを【浮遊】させて動かしたという訳だ。空間に重さもないので、消費魔力もほとんど無しである。

「なるほど、あれは魔法の重ねがけなんですね」
「そう、それでも普通にやるよりもずっと省エネなんだよ」

俺の説明を聞いて理解したナツメが、嬉しそうに声を上げる。

「はえー」
「すっご」

一方、残りの2人。

「これ本当にスゴいことやってるのに、絶対わかってないでしょ」

一応話だけ聞いてた魔法そこまでじゃない2人が、なんとなくわかった体で相槌をうつのをツッコむナツメ。

「まぁけっこうニッチな話ではあるから……」
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