まったり異世界観光 ~観光チートで異世界を楽しみつくす~

にしん

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森を抜けてちょっと歩くと、大きな木とその周囲に踏み固められた土の地面のスペースがある。
そこから先は急勾配な山肌となっており、その先には頂上地点。
ここらは入山者がこの山で一晩過ごすための場所であり、野営できるようにかるく整地してあるのだ。
それに加え、ここには結界とまではいかないが、獣よけ、虫よけの陣張りがなされている。
陣張りとは、魔力を用いずに自然物の配置のみで、何となく人間の縄張りだと主張し、獣や虫などを遠ざける漁師たちの秘伝のテクニックみたいなやつ。
ちなみに俺は理論は聞いたけど、使えない。熟練の技術が必要なのだ。
ここの雰囲気は馬車の停留所と似たような感じで、簡易竈はないが、土が踏み固められており火をおこしても大丈夫なようになっている。少し離れたところには水場もあるし、秘密のお楽しみもある。
野営地としては最上級の場所といっていい。
とりあえず今夜は、そんな場所を野営地として使用できる。
コツコツとこの環境を整えた先人たちとケーラルの自然に感謝だ。

「今夜はここで野営します」
「やったー! 着いたー!」

俺の宣言に三人が喜びの声をあげる。

「こらこら、君たちの仕事はこれからでしょ?」

気持ちはわかるけど、もうゴールしたかの様な雰囲気に一応、釘をさす。
依頼を受けたからには、しっかりやらなくちゃ。

「そうでした」
「ホコラのおそうじだっけ?」
「あとお供え物の奉納もですわ」

清掃自体はそこまで特別なことはない。
触っちゃいけないやつとか入ってはいけない場所を教えるぐらいで、後はいたって普通に清掃するだけ。
特に難しいということはない。
ただその分、丁寧に気持ちを込めてやらなければならない。

「祠には後で案内するけど、その前に一回山頂で御神体である精霊岩にも挨拶にいくから」
「わかりました」

挨拶は大事。これすべての基本。

「でもまずは、お昼ごはんにしようか。せっかくだし見晴らしのいいところで食べよう」
「さんせーい」



「おぉー」

三人娘が絶景を前に感嘆の声をあげる。
野営地から少しいったところに崖があり、そこからはイーモス山脈や麓の町並みを一望することができる。

「あっちがイーモス山脈、でこっちがケーラルだね」
「町がちっちゃいね。あっ、あれが時計塔じゃない?」
「じゃあ、そのとなりのやつがりょーしゅさまのおやしき? ぜんぜん、わかんない」
「あちらがシワス湖ですわね」

ケーラル本町のシンボルである時計塔。
あれがあの辺りで一番大きな建造物で、かろうじてわかる程度の見え方だ。
夜も夜景なんてなく、ただの闇しかない。
その分、上の夜空の星がすごい綺麗なんだけども。
シワス湖というのが、この地方最大の湖であるシワス湖。ケーラルから馬車で1日ぐらいの場所にある。

「さて、じゃあお昼にしよう」

まってましたとばかりに、それぞれお弁当を取り出す。
このお弁当はヤズヤの女将さんが朝に用意してくれていたやつだ。

「味噌玉もあるよ。お湯出すから、自分のマグ持ってきな」
「やったー」
「お願いします」

味噌玉とは、味噌に鰹節とかの出汁を練り込んで、丸く固めたもの。お湯を注げばそのまま味噌汁になるので、携帯するのに便利だ。
お湯は魔法でさっと。

「おべんとうは、・・・おにぎりだー!!」

竹籠のお弁当箱の中には、大きめのおにぎりがふたつに、から揚げ、卵焼き、たくわん。
最高のお弁当オールスターである。
これでいい、いや、これがいいんだよ。
ちなみに、おにぎりには海苔が無い。
前世ほど流通が発達していないので、内陸部であるこの地域では、海苔というのは貴重品で、お祝いのときにちょっと出る感じ。普段使いできるようなもんでもない。
普通のお弁当に使われていたら、どんな成金だよと、ビビられるだろう。

ぐぅ~。

誰かのお腹がなる。いや、もしかしたら、俺のお腹かもしれない。
こんな状況、なって当たり前である。
とりあえず食おう。

「いただきまーす」
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