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「それじゃあ次は祠の清掃にはいろう」
山頂でやることを済ませたので、山肌の階段を下りていく。
階段の途中で山頂へ向かう道と分かれるとこがあり、そのさきには小さな洞窟がある。
そこにあるのが、精霊を祀る祠である。
洞窟の入口には朱色の鳥居があり、そこから奥へ進むと、石造りの整地されたスペースが見えてくる。
その中央には小さな祭壇が鎮座し石灯籠がそれを囲む。そして幻獣の石像が、祭壇を護るように二体並んで控えている。
少し離れたところに湧水の水場もあり、洞窟内には水のせせらぎだけがやさしく響いている。
「じゃあ魔力灯着けるよ」
「あっあかるくなった」
ここにきた人間用に設置された側壁の魔力灯に、一斉に魔力を送り灯りをともす。
魔法使いなら遠隔からのスイッチオンも楽勝である。
「ここはいわば、精霊のプライベートスペースみたいなものだね」
だからこそ、最初の挨拶が肝心なのだ。いきなりずけずけとやってくる客人など、だれも仲良くしたくないだろう。
「まずは普通に掃除をします。掃除道具は持ってきてるね?」
「はい、昨日言われて用意しました」
箒やチリトリ、モップなどの掃除用具をパッキングから取り出して準備万端の様子。
「吹きさらしだから、チリひとつなくとまでは言わないけど、丁寧に心を込めて作業するように」
「「「はいっ!」」」
「じゃあ、だいたい終わるくらいにまた来るんで、それまで作業を進めておいて。清掃が終わったら、次の工程を説明するから」
「えっ、いっしょにやんないの?」
ちょっと非難がましい目を向けるカリン。
「これは一応、君ら三人への依頼だからね。俺はその間に夕飯の仕込みとかしとくので」
そういって三人をおいて、一度洞窟を出た。
■
あれから一時間ほど、夕飯の食材の下ごしらえをしたり、近場で野草などを採集したりして、頃合いをみて祠に戻ることにする。
実は霊地とのパスで、あちらの作業の進み具合は確認していたので、タイミングはばっちり。
いや、覗いていたとかではないので、安心してほしい。
精霊にも感情があって、祠を掃除をしてもらえたら嬉しいものなので、そのあたりの空気の動きを読み取っていただけである。
日はだんだんと落ちてきて、空気も冷たくなってきた。
後一刻もすれば、夕焼けの絶景を拝めることだろう。その前には彼女らの仕事も終わる。
色々とやることはあるとはいえ、なんだかんだ一番時間がかかるのが普通の清掃だ。
これさえ終われば、後は決めごとを守りながら一つ一つの工程をなぞっていくだけで、作業自体はそんなにかからない。
「またせたね」
作業終わりで休憩していた3人に声を掛ける。
「あっ、サイトさん!」
「だいぶきれいにしたよー」
「ちょっと前に終わったところです」
「うん、お疲れ様。きれいにしてもらって、精霊様もだいぶ喜んでくれているみたいだ」
真面目にやってくれたようで、空気がきちんと整って空間内に霊気が満ちている。
「わかるんですか?」
「ああ、空気がそういっているよ」
「よかったー。やりなおしとかになんなくて」
さっき祈祷でかましておいたおかげか、三人もそれを素直にことばを受け取り、安堵していた。
それじゃあ、予定通り次の工程に進むとしますか。
「じゃあまずはここにある隠し戸を開けて、魔力を注ぎます」
側壁の一部の岩肌に擬装した隠し戸を開くと、そこには幾何学的な紋様が刻まれた水晶が置かれている。
「じゃあマリーが魔力を注いで」
「解りました。けど、何で私何ですか?」
このパーティにおけるこういう魔法系の一番手は、基本的にナツメがつとめるので、そういった疑問が当然出てくる。ちな、カリンは論外。
「この後にもう少し色々と魔力を使うとこがあるから、ナツメにはそこを担当してもらう」
「なるほど、了解です」
「解りました」
両者納得したようだ。
「わたしは?」
「大丈夫、力仕事もあるから!」
山頂でやることを済ませたので、山肌の階段を下りていく。
階段の途中で山頂へ向かう道と分かれるとこがあり、そのさきには小さな洞窟がある。
そこにあるのが、精霊を祀る祠である。
洞窟の入口には朱色の鳥居があり、そこから奥へ進むと、石造りの整地されたスペースが見えてくる。
その中央には小さな祭壇が鎮座し石灯籠がそれを囲む。そして幻獣の石像が、祭壇を護るように二体並んで控えている。
少し離れたところに湧水の水場もあり、洞窟内には水のせせらぎだけがやさしく響いている。
「じゃあ魔力灯着けるよ」
「あっあかるくなった」
ここにきた人間用に設置された側壁の魔力灯に、一斉に魔力を送り灯りをともす。
魔法使いなら遠隔からのスイッチオンも楽勝である。
「ここはいわば、精霊のプライベートスペースみたいなものだね」
だからこそ、最初の挨拶が肝心なのだ。いきなりずけずけとやってくる客人など、だれも仲良くしたくないだろう。
「まずは普通に掃除をします。掃除道具は持ってきてるね?」
「はい、昨日言われて用意しました」
箒やチリトリ、モップなどの掃除用具をパッキングから取り出して準備万端の様子。
「吹きさらしだから、チリひとつなくとまでは言わないけど、丁寧に心を込めて作業するように」
「「「はいっ!」」」
「じゃあ、だいたい終わるくらいにまた来るんで、それまで作業を進めておいて。清掃が終わったら、次の工程を説明するから」
「えっ、いっしょにやんないの?」
ちょっと非難がましい目を向けるカリン。
「これは一応、君ら三人への依頼だからね。俺はその間に夕飯の仕込みとかしとくので」
そういって三人をおいて、一度洞窟を出た。
■
あれから一時間ほど、夕飯の食材の下ごしらえをしたり、近場で野草などを採集したりして、頃合いをみて祠に戻ることにする。
実は霊地とのパスで、あちらの作業の進み具合は確認していたので、タイミングはばっちり。
いや、覗いていたとかではないので、安心してほしい。
精霊にも感情があって、祠を掃除をしてもらえたら嬉しいものなので、そのあたりの空気の動きを読み取っていただけである。
日はだんだんと落ちてきて、空気も冷たくなってきた。
後一刻もすれば、夕焼けの絶景を拝めることだろう。その前には彼女らの仕事も終わる。
色々とやることはあるとはいえ、なんだかんだ一番時間がかかるのが普通の清掃だ。
これさえ終われば、後は決めごとを守りながら一つ一つの工程をなぞっていくだけで、作業自体はそんなにかからない。
「またせたね」
作業終わりで休憩していた3人に声を掛ける。
「あっ、サイトさん!」
「だいぶきれいにしたよー」
「ちょっと前に終わったところです」
「うん、お疲れ様。きれいにしてもらって、精霊様もだいぶ喜んでくれているみたいだ」
真面目にやってくれたようで、空気がきちんと整って空間内に霊気が満ちている。
「わかるんですか?」
「ああ、空気がそういっているよ」
「よかったー。やりなおしとかになんなくて」
さっき祈祷でかましておいたおかげか、三人もそれを素直にことばを受け取り、安堵していた。
それじゃあ、予定通り次の工程に進むとしますか。
「じゃあまずはここにある隠し戸を開けて、魔力を注ぎます」
側壁の一部の岩肌に擬装した隠し戸を開くと、そこには幾何学的な紋様が刻まれた水晶が置かれている。
「じゃあマリーが魔力を注いで」
「解りました。けど、何で私何ですか?」
このパーティにおけるこういう魔法系の一番手は、基本的にナツメがつとめるので、そういった疑問が当然出てくる。ちな、カリンは論外。
「この後にもう少し色々と魔力を使うとこがあるから、ナツメにはそこを担当してもらう」
「なるほど、了解です」
「解りました」
両者納得したようだ。
「わたしは?」
「大丈夫、力仕事もあるから!」
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