まったり異世界観光 ~観光チートで異世界を楽しみつくす~

にしん

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三人が祭壇の前に並び、マリーが代表して、霊香に火を点ける。
一口サイズのクッキーのような霊香に、魔法で出した火種を近づける。すると霊香に移った火が一瞬だけボウッとなって、その後には周囲に独特の香りがする煙りが立ってくる。
やががて少し離れた位置にいる俺のところにもその香りはしっかり届いてきた。
なんというか、霊香の香りとしか言い様のない香り。
この香りはなんだか、はるか昔の少年時代を想起させる。
貴族は社交遊戯である「兎狩り」をやる前に、安全を祈願して、聖職を呼びお祈りをする習慣がある。
この「兎狩り」の時、子供たちは子供たちで集められて弓の練習をさせられるのだが、この直前のお祈りには親と共に参加する。そのときにも、霊香が焚かれていた。
だから、この香りを嗅ぐと少しノスタルジックな気分になる。
今は無香タイプもあるみたいだが、個人的にはそれは少し寂しい気がする。
そう考える人間が多いのか、どんなに利点があっても昔ながらのやつは無くならないのだ。

おっと、物思いに耽っている間に三人がお祈りをはじめている。
空気がそうさせるのだろう、おそらく普段の祈りよりずっと深く入り込めているはずだ。
端からみていても、すごく集中している。
そして――、

(喜べ、三人とも。この無垢な信仰は君たちに幸運をもたらす)

突如三人が穏やかな光りに包まれる。
そしてその光りがゆっくりゆっくりと、三人の中に溶け込んでいく。
その光景は実に神秘的。
当の三人は祈りに集中しているのだろう。
この場にいる中では端から見ている俺しか、今起きているこの現象に気づいていない。

何も知らない三人は、ほどなくしてお祈りを終えた。



「サイトさん、終わりましたー」

お祈りを終えた三人が、こちらに戻ってきた。

「お疲れ様。これで今日の仕事は終了だよ」
「おー、やったぁ」
「後は帰るときにまたお祈りして、灯籠を回収するぐらいだから、もう特段難しいことは無いよ」
「よかった~」

マリーがホッとしたというような安堵の表情を浮かべる。
今までのキャリアではなかった山というフィールドでの慣れない仕事。
そして、故郷からの依頼。
自分たちの成長を昔なじみの人々にみられるようで、変な緊張みたいなものもあったのだろう。
それからの解放感を今まさに感じているのだろう。

「そういえば、今回の依頼の完遂確認てどうなっているんですか? サイトさんが出すんですか?」
「いや、俺は単なる同行者だからね。仕事の成否を判断する立場にはないんだ」

基本的にギルドを通した依頼は完遂確認が必要となる。依頼者からの完了サインであったり、魔物討伐なら証明部位の提出など、である。

「じゃあ、どうやってちゃんとやったかを証明するんです?」

秘境の掃除をきちんとやったかどうかをどのように証明するのか。
実際に依頼を受けて評価される冒険者としてはそんな疑問がでてきても不思議ではない。

「今回の場合限定だけどね、ちゃんとやったかどうかを簡単に判別する方法があるんだ」
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