まったり異世界観光 ~観光チートで異世界を楽しみつくす~

にしん

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『―――イ!』
「んぁ? ……あぁありがと、アオイ」
『アイ!』

アオイのテレパシーで目が醒める。
昨日はあの後、後番の2人と交代して、睡眠に入った。
寝るといっても野外なので、外套を被って布を敷いた地面に寝っ転がるだけである。
現代日本では有り得ないが、この世界ではこんなもん。
ただ魔法で色々とやってるけどね。

今はまだようやく空が白みはじめたぐらいの時間帯。
睡眠時間は短いが、寝る前に疲労回復しやすくなる魔法薬を創って飲んでいる。
そうすることで短い睡眠時間でもスッキリだ。
周囲を見ると、近くにいるマリーは外套を被ってまだ夢の中のようだ。
起こさないように静かに、モーニングルーティンをはじめる。
暗い手元の中で起き上がり、軽く衣服の乱れを直し、身支度を調える。
手櫛で寝癖を直し、手の平に魔法で水を生みだし、そのまま顔を洗う。
洗った水はそのまま消す。
つぎはまた新たに水を生みだし、口に含む。
そこに錠剤を入れてから、ぐちゅぐちゅと口をゆすぐ。
これは香草の香りがする口内洗浄薬。スースーしていて爽やかな匂いがする。
十分にゆすいだら、その水をまた消す。
魔法で生成した水だから、普通に消せるのだ。
一応、他人と過ごす場所だから、そこら辺に吐き捨てるのは控えている。

「身だしなみはこれでOK、と」
『アイ!』

アオイのOKもでたので、これで終わり。
マリーを起こさないように気をつけながら、その場を離れる。
少し離れた焚き火のところまでいって、後番の2人に話しかける。

「おはよう」
「はよー」
「おはようございます」

声の声量は抑えめ。
寝ているマリーに配慮しているわけではないが、闇の中ではなぜか音量を少し落としてしまう。あるあるだ。
冒険者は基本的にどんな環境下でも熟睡できるようになる。というかならないとやっていけない。
ただ、害意や自分へのなにかしらの気配向けられた時のみ、瞬時に反応して飛び起きるように、なりたての頃に身体に覚え込まされるのだ。
だから冒険者を起こすなら、音ではなく、殺気(攻撃するぞという意志程度で十分)を向ける方が、断然効果があるのだ。

「まだだいぶ速いですよね?」

今日は朝日を皆で拝もうかという話になっていて、夜明け前に起きる予定となっていた。
でもさすがにまだ真っ暗で夜明けにはちょっと早い。

「うん、まだご来光まではもうちょいあるね」
「じゃあ、どしたの?」
「実はアオイを通して、精霊様に呼ばれててね」

昨日の挨拶の時に、神秘の強いこの時間帯に会う約束をしていたのだ。

「というわけで、一足先に山頂に行ってくるよ」
「なら、私たちは山頂へ行くの遠慮した方がよくないですか?」

精霊が絡む重要な話だと思ったのか、そうナツメが聞いてくる。
でもそんな大層な話ではないから、そこまで遠慮する必要はないだろう。
それに日の出前には、おそらく終わるはず。

「いや、山頂からのご来光は格別だからね。せっかくなら見に来た方がいいよ。ちょうどいい時間になったら、マリーを起こして登ってくるといい」
「わかったー」

2人にそう話して、精霊様の待つ山頂へ向かう。
まだ暗闇の中だが、冒険者として経験を積んだ夜目と安全なルートを進むことのできるチートのおかげで、サクサクと暗い中を進んでいく。

そして、山頂の開けた場所。
そこには1人佇む人影が――。


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