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「私たちは今マゴットなんですけど、やっぱり戻ってきた方がいいんですかね?」
「う~ん、どうだろう」
「私たちって、もともとあんまり仕事無かったから外に出たんですけど、こっちでやれることがあるなら戻るっていうのもアリかな、って思ったりもして……」
夜も更けてくると、若者の悩み相談がはじまる。
確かに今回の依頼は彼女たちのキャリアにとっても、今後の分岐点にもなる重要な出来事となったことだろう。
「でもぶっちゃけ、田舎で山仕事だけだと、若い人にはキツくない?」
「うっ」
「羽目外して飲むかーってベロベロになったら、親たちが微笑ましい笑顔で見てくるよ?」
「ううっ」
「たぶん外を知ってしまった君たちが、昔みたいにここで普通に暮らせるかっていったら、たぶんそうじゃないと思う」
「それは確かに。今のマゴットの生活も楽しいですもん。今回のことがなければ、全然戻る選択肢無かったです」
彼女たちが普段暮らしているマゴットもなかなかの都会だからね。若者にとっては、刺激があって楽しい街だろう。
「今回のはミクリさんとギルドとしては、唾つけといたって感覚なんじゃないかな?」
「ツバ、ですか」
「そう、要するにマーキングだね。君たちはケーラルの子ですよーてアピールしている感じ。外にも内にも」
別にケーラルに戻って、地元のため働けとか、そういう魂胆があるわけじゃない。
ただ選択肢の中にケーラルがあるよって彼女たちのパーティに提示しているのだ。
それで旨みのある依頼を出して、実際に彼女たちは心を揺さぶられたわけだ。
まだマリーに聞いただけだが、おそらく他の2人も同様だろう。
「だから今すぐどうこうするって話じゃないと思う」
「なるほど」
というかミクリさんもそのつもりだろう。
もう少し経験を積んで脂がのったころ、家庭をもって一所に落ち着きたいってころに、ケーラルっていう選択肢を残しておく。そのための一手。
「それにもうちょい年取ってくると、ケーラルぐらいの雰囲気がよくなってくるかもだしね」
「そういうものなんですか?」
「いや、だんだんと賑やかなのが疲れるようになってくるからね。そうすると自然豊かで静かな環境が恋しくなってね」
「ふふ、なんか、サイトさん。おじさんくさいですよ」
「ぐふっ」
それは俺によく効く。精神年齢込みだともういい歳だ。
「冗談ですよ、冗談。サイトさん、見た目もまだまだ若いじゃないですか」
「でも君らからみたら、もうオッサンだよ。自分でも食べ物の好みがだんだん渋くなったなぁって」
「いや、ギルドで飲んだくれているホントのおじたちが聞いたら、怒られますよ」
そういう人たちは若い頃からの暴飲暴食で、身体の衰えが来てるような人ばっかだからね。
さすがにそこと比べる気はおきない。
「まぁ今はあっちでもう少し経験を積みながら、ちょくちょくケーラルの仕事も受けるっていうスタンスがいちばんいいんじゃないかな」
「そうですね、一度みんなで話し合ってみます」
むしろそれが1番ギルドの思惑に近いと思う。
彼女たちが結局あっちに居着いたとしても、それはそれでギルドとしては問題ない。
近くの都市に理解のある冒険者が存在するのだから。
こうして真面目で善良な若手冒険者パーティとゆるく繋がれただけで、ギルドの思惑は達成したといえる。
ちゃんとした冒険者というのは、思っている以上に需要が高いのだ。
ただ一点、ギルドの想像した以上にケーラルの自然が彼女たちを受け入れたのは、想定外のはずだ。
ここまで強く祝福されると、他所が好条件でかっさらうとかも有り得ないでも無い。
ここまではっきりと能力に違いがでる祝福は、そこまで多くないからね。
まぁ帰ったら、ミクリさん驚くだろうなぁ。
「う~ん、どうだろう」
「私たちって、もともとあんまり仕事無かったから外に出たんですけど、こっちでやれることがあるなら戻るっていうのもアリかな、って思ったりもして……」
夜も更けてくると、若者の悩み相談がはじまる。
確かに今回の依頼は彼女たちのキャリアにとっても、今後の分岐点にもなる重要な出来事となったことだろう。
「でもぶっちゃけ、田舎で山仕事だけだと、若い人にはキツくない?」
「うっ」
「羽目外して飲むかーってベロベロになったら、親たちが微笑ましい笑顔で見てくるよ?」
「ううっ」
「たぶん外を知ってしまった君たちが、昔みたいにここで普通に暮らせるかっていったら、たぶんそうじゃないと思う」
「それは確かに。今のマゴットの生活も楽しいですもん。今回のことがなければ、全然戻る選択肢無かったです」
彼女たちが普段暮らしているマゴットもなかなかの都会だからね。若者にとっては、刺激があって楽しい街だろう。
「今回のはミクリさんとギルドとしては、唾つけといたって感覚なんじゃないかな?」
「ツバ、ですか」
「そう、要するにマーキングだね。君たちはケーラルの子ですよーてアピールしている感じ。外にも内にも」
別にケーラルに戻って、地元のため働けとか、そういう魂胆があるわけじゃない。
ただ選択肢の中にケーラルがあるよって彼女たちのパーティに提示しているのだ。
それで旨みのある依頼を出して、実際に彼女たちは心を揺さぶられたわけだ。
まだマリーに聞いただけだが、おそらく他の2人も同様だろう。
「だから今すぐどうこうするって話じゃないと思う」
「なるほど」
というかミクリさんもそのつもりだろう。
もう少し経験を積んで脂がのったころ、家庭をもって一所に落ち着きたいってころに、ケーラルっていう選択肢を残しておく。そのための一手。
「それにもうちょい年取ってくると、ケーラルぐらいの雰囲気がよくなってくるかもだしね」
「そういうものなんですか?」
「いや、だんだんと賑やかなのが疲れるようになってくるからね。そうすると自然豊かで静かな環境が恋しくなってね」
「ふふ、なんか、サイトさん。おじさんくさいですよ」
「ぐふっ」
それは俺によく効く。精神年齢込みだともういい歳だ。
「冗談ですよ、冗談。サイトさん、見た目もまだまだ若いじゃないですか」
「でも君らからみたら、もうオッサンだよ。自分でも食べ物の好みがだんだん渋くなったなぁって」
「いや、ギルドで飲んだくれているホントのおじたちが聞いたら、怒られますよ」
そういう人たちは若い頃からの暴飲暴食で、身体の衰えが来てるような人ばっかだからね。
さすがにそこと比べる気はおきない。
「まぁ今はあっちでもう少し経験を積みながら、ちょくちょくケーラルの仕事も受けるっていうスタンスがいちばんいいんじゃないかな」
「そうですね、一度みんなで話し合ってみます」
むしろそれが1番ギルドの思惑に近いと思う。
彼女たちが結局あっちに居着いたとしても、それはそれでギルドとしては問題ない。
近くの都市に理解のある冒険者が存在するのだから。
こうして真面目で善良な若手冒険者パーティとゆるく繋がれただけで、ギルドの思惑は達成したといえる。
ちゃんとした冒険者というのは、思っている以上に需要が高いのだ。
ただ一点、ギルドの想像した以上にケーラルの自然が彼女たちを受け入れたのは、想定外のはずだ。
ここまで強く祝福されると、他所が好条件でかっさらうとかも有り得ないでも無い。
ここまではっきりと能力に違いがでる祝福は、そこまで多くないからね。
まぁ帰ったら、ミクリさん驚くだろうなぁ。
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