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ケーラルの朝はすがすがしい。
和室の木や畳の香りに包まれながら、障子越しの朝日の明るさに目を覚ます。
名残惜しさを感じつつもフカフカな布団から這い出して、障子を開けて外の光を取り入れる。
窓を開けて、少し冷たい外気を取り入れながらのびをする。
「ん~。気持ちいい」
これだけの朝をこれから先の人生でどれだけ迎えられるのだろうか。
それぐらい素晴らしい朝だった。
そんな素晴らしい日に俺は、ここを発つ。
ここにいる間、毎日のように入った朝風呂に今日も入る。
ひんやりとした外気を浴びながら、入る温度高めの露天風呂。
まだ寝ぼけ眼な身体に活が入り、シャキッとする。
しばらく温まったら、疲れる前に上がる。
これがケーラルでの湯じまい。
ケーラルの湯は生命の湯ともいわれる、名湯。
その名に恥じぬ効能だった。
風呂から上がると、朝食。
板長お手製の特製の朝ご飯だ。
炊きたてのご飯、味噌汁、焼き魚、陶板でのハムエッグ、漬け物、そして納豆。
納豆まで普通に出してくれるのだから、もう名誉ケーラル民といってもいいだろう。
おかわりまでしっかりして、最後の果物とヨーグルトまで味わい尽くしたところで、女将のチエさんとその旦那である板長が挨拶にきた。
チカちゃんは今日も学校があって、既に出て行ったらしい。
「いかかがでしたか」
「今日の朝食も含めて、出して頂いた料理どれも素晴らしく、美味しかったです」
「それはよかったです」
「ありがとうございます」
夫婦揃って、嬉しそうに表情を崩す。大変、仲のよろしいことで。
「米粒の一つまで残さず、ここまでケーラル式に馴染んでくれるお客様は珍しいのですよ」
「いや、自分でも思った以上に馴染んだようで」
俺がそういうと、3人で笑い合った。
「ヤズヤさんには長い時間、大変お世話になりました。おかげですごくいい休暇になりました」
帰る間際だと何かと忙しいので、今のうちに二人にお別れの挨拶をしておく。
「いえ、こちらこそ多くのものを頂いて。サイト様がいいお時間をお過ごしになられたようでしたら、私どもとして嬉しい限りでございます」
「それはもうこれ以上ないぐらい、最高の体験でしたよ」
「それはようございました。またケーラルを訪れることがあれば、ぜひ、また当館をご利用ください。従業員一同、精一杯おもてなしをさせて頂きます」
そういって綺麗なお辞儀をする女将夫婦。
さすがケーラルにヤズヤありといわれるほどの老舗旅館。
本当に、料理も接客も、すべてが最高のおもてなしだった。
「ええ、ぜひまた。おそらく今後もケーラルに関わる依頼などがありそうなので、またその内来ることになると思います。その時にはお願いしますね」
■
「お弁当まで、すいません。ありがとうございます」
「いえ。今日中にはお召し上がりください」
「それじゃあ。ありがとうございました」
「いってらっしゃいませ」
「はい。いってきます」
チエさんをはじめとしたヤズヤの従業員に見送られながら、宿を発つ。
別れの挨拶は朝のウチに済ませておいたので、さらっとした出発だ。
だがあちらのご厚意で板長特製のお弁当を持たせてくれた。
最後まで、ありがたいことだ。
ヤズヤを出てから、奥町の停車場までの道を歩く。
すでに街の人々も動き出している時間であり、個人店も開いていたりする。
ここに滞在している間、時間があれば奥町を散策していたので、なんとなく顔もおぼえられていたのだろう。
旅装姿で停車場に向かう俺の姿を見て、街の人々が次々に話しかけてきてくれた。
中には「コレ持ってってー」と店の商品を持たせてくれたりする人もいて、この町の暖かさに触れることができた。
「やっぱりここはいいところだな」
『アイ!』
今日も変わらず俺の側にいるアオイも、楽しそうに同意した。
和室の木や畳の香りに包まれながら、障子越しの朝日の明るさに目を覚ます。
名残惜しさを感じつつもフカフカな布団から這い出して、障子を開けて外の光を取り入れる。
窓を開けて、少し冷たい外気を取り入れながらのびをする。
「ん~。気持ちいい」
これだけの朝をこれから先の人生でどれだけ迎えられるのだろうか。
それぐらい素晴らしい朝だった。
そんな素晴らしい日に俺は、ここを発つ。
ここにいる間、毎日のように入った朝風呂に今日も入る。
ひんやりとした外気を浴びながら、入る温度高めの露天風呂。
まだ寝ぼけ眼な身体に活が入り、シャキッとする。
しばらく温まったら、疲れる前に上がる。
これがケーラルでの湯じまい。
ケーラルの湯は生命の湯ともいわれる、名湯。
その名に恥じぬ効能だった。
風呂から上がると、朝食。
板長お手製の特製の朝ご飯だ。
炊きたてのご飯、味噌汁、焼き魚、陶板でのハムエッグ、漬け物、そして納豆。
納豆まで普通に出してくれるのだから、もう名誉ケーラル民といってもいいだろう。
おかわりまでしっかりして、最後の果物とヨーグルトまで味わい尽くしたところで、女将のチエさんとその旦那である板長が挨拶にきた。
チカちゃんは今日も学校があって、既に出て行ったらしい。
「いかかがでしたか」
「今日の朝食も含めて、出して頂いた料理どれも素晴らしく、美味しかったです」
「それはよかったです」
「ありがとうございます」
夫婦揃って、嬉しそうに表情を崩す。大変、仲のよろしいことで。
「米粒の一つまで残さず、ここまでケーラル式に馴染んでくれるお客様は珍しいのですよ」
「いや、自分でも思った以上に馴染んだようで」
俺がそういうと、3人で笑い合った。
「ヤズヤさんには長い時間、大変お世話になりました。おかげですごくいい休暇になりました」
帰る間際だと何かと忙しいので、今のうちに二人にお別れの挨拶をしておく。
「いえ、こちらこそ多くのものを頂いて。サイト様がいいお時間をお過ごしになられたようでしたら、私どもとして嬉しい限りでございます」
「それはもうこれ以上ないぐらい、最高の体験でしたよ」
「それはようございました。またケーラルを訪れることがあれば、ぜひ、また当館をご利用ください。従業員一同、精一杯おもてなしをさせて頂きます」
そういって綺麗なお辞儀をする女将夫婦。
さすがケーラルにヤズヤありといわれるほどの老舗旅館。
本当に、料理も接客も、すべてが最高のおもてなしだった。
「ええ、ぜひまた。おそらく今後もケーラルに関わる依頼などがありそうなので、またその内来ることになると思います。その時にはお願いしますね」
■
「お弁当まで、すいません。ありがとうございます」
「いえ。今日中にはお召し上がりください」
「それじゃあ。ありがとうございました」
「いってらっしゃいませ」
「はい。いってきます」
チエさんをはじめとしたヤズヤの従業員に見送られながら、宿を発つ。
別れの挨拶は朝のウチに済ませておいたので、さらっとした出発だ。
だがあちらのご厚意で板長特製のお弁当を持たせてくれた。
最後まで、ありがたいことだ。
ヤズヤを出てから、奥町の停車場までの道を歩く。
すでに街の人々も動き出している時間であり、個人店も開いていたりする。
ここに滞在している間、時間があれば奥町を散策していたので、なんとなく顔もおぼえられていたのだろう。
旅装姿で停車場に向かう俺の姿を見て、街の人々が次々に話しかけてきてくれた。
中には「コレ持ってってー」と店の商品を持たせてくれたりする人もいて、この町の暖かさに触れることができた。
「やっぱりここはいいところだな」
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今日も変わらず俺の側にいるアオイも、楽しそうに同意した。
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