ハキダメギク

谷 羊大

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第二章 ヒドゥンギア=ツィツィミトル

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   表裏一体という言葉があるように、表と裏は切っても切れない関係にある。

いや、違うな。切り離してしまっては、どちらも塵一つ残せずに消滅する。と言う方が近いだろうか。

   まあ、そんなことはどうでもいい。

   俺こと、ヒドゥンギア=ツィツィミトルは人間から見て、、、、、、裏側の世界に住んでいる。

人間から見た裏側の世界っつーと、神族と魔族の双方が支配する世界だ。ちなみに俺は魔族側の、魔族の中の魔族の、最悪にして凶悪の、ヒドゥンギア=ツィツィミトルである。とどのつまり、俺は魔王の息子。だったりする。

   まあ、それも今はどうでもいい。

   俺は、人間の娘からもらった“ミックスジュース”とやらを飲みながら宝探しをしている最中である。宝、とは言ったが、もともと自分の持ち物なのでガラクタだと言う者だっているだろう。だがしかし、無いと困るのは間違いない。俺も、恐らくは人間も。



「しーくん、疲れたよぉ。やっぱりここにはないんじゃなーい?」



マオよ、その呼び名で呼ぶなと何回言えばわかるのだ。ぶん殴るぞ。」



「白髪だからしーくんだよぉ。ヒドゥンギアなんて名前呼びにくーい。」



「馬鹿を言え。おれのこの髪は白銀だ。選ばれし者の色だと言っているだろう。張り倒すぞ家畜め。」



「魔族で一番高貴な色は黒色だよぉ?っていうか、家畜じゃないもん。愛玩動物だもーん。」



   にゃん、と言って上目遣いしてきたマオの愛らしさに虫唾が走り、その形の良い尻を思いきり蹴飛ばした。動物虐待だ、などと喚いてくれるなよ。俺は魔族の中の魔族の、最悪で凶悪の、ヒドゥンギア=ツィツィミトルなのだから。

   と、今はどうでも良いことだったな。

   それにしても、俺は探し物が得意ではないらしい。確か、遥か昔に隠れん坊に興じていたときも隠れた者達を探し出すことができず、飽きて、放置して、城に帰ったことがあったな。懐かしい。



「しーくん、早く“め”を見つけて帰ろうよぉ。お腹空いたー。」



「そうしたいのは山々だが、容易くは見つからないらしい。なにしろ失ったのが両方の“め”だからな。片方が手元にあればすぐに見つかるんだが。」



   俺も、人間界のこんなちんけな学校に長居をしている暇などないのだ。魔王の息子と言えど、城の中でふんぞりがえっているのが仕事ではないからな。

   俺の仕事は魔界に住む魔族の管理だ。彼らが神界へ侵攻し暴れてくる分には別にどうだっていい。むしろ捨て置いてやる。だが、表の世界……人間界に侵攻する馬鹿共は放っておくわけにいかないのだ。表と裏の均衡が崩れるからである。

   先代の魔王にはその均衡をあえて崩そうとした者も多かったようだが、この時代の魔王は均衡が崩れることを嫌い人間界への侵攻を禁じていた。まあ、当然、それを不満に思う勢力もいるわけだ。そんな勢力による侵攻を防ぐことが俺の仕事なのだった。

   俺に相応しい、格好良い仕事であろう?















   
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