8 / 8
第二章 ヒドゥンギア=ツィツィミトル
**
しおりを挟む
誇らしく、畏怖すべき俺の仕事について話したが、今は仕事をするどころか魔力を使うこともままならないのが現状だ。何故って、それは俺が“め”を失ったからだ。そうに決まっているだろう。それしかあり得ないだろう。
“め”とは何なのか。
それは、俺の目であり、魔力を生み出す芽であり、“め”という名前の何かである。言ってしまえば俺の魔力の源で、このヒドゥンギア=ツィツィミトルの双眼に埋まっていたものだ。
とは言え、只今絶賛失明中というわけではない。両目が無くなれば失明するといった概念は魔界にはないのだ。無くなれば、入れ替えれば良いのだから。つまり、今俺の目として機能している黒い瞳の双眼は急遽あつらえたもので、魔力こそ弱まっているものの、視界を失ったりなどしてはいないわけだ。
どうだ?すげぇだろう。
まあ、自分の目を無くした挙句大幅に魔力が低下しているのに威張るなんてのは変だな。
「なあ、猫よ。裏側はもう調べ尽くしたんじゃないか?やはり、人間界に紛れ込んでいるとしか思えん。」
「そうだとすると、ちょっとマズイかもぉ。」
「何故だ。」
「魔界では、“め”は価値のあるものだから盗まれたり奪われることはあれど、破棄されることはまず無い。ううん、あり得ないこと、だよねぇ?」
「まあ、そうだな。」
「でもね、人間界で“め”は価値のあるものではないから、ゴミと思われて捨てられちゃうと思うんだぁ~。」
なん、だと………?
「おい、猫。それはなんの冗談だ。」
「冗談じゃないよぉ。人間は魔力を持っていないから“め”を見つけたところで、石ころかガラクタくらいにしか思わないのが普通だよ。“め”に触れても魔力を感じ取れないんだから、当然と言えば当然だけどね。」
「ぐ、何と愚かな…」
古の時代には、人間の中にも魔力を持ち、魔王と対等に渡り合った人間も存在していたというが…。ずいぶんと平和ボケをしてしまったらしい。まあ、ここ数百年こちらからの侵攻が途絶えていることも、平和ボケの原因かもしれないが。
「よし、では人間界へ行くとしようか。」
「簡単に言うけど、人間界への扉は魔王様が封印してるんだよぉ?」
「そうだな。」
怪訝そうに俺を見上げる猫を鼻で笑い、俺は翼を広げた。驚く猫の首根っこを掴み、空へと一気に飛び上がる。
「しーくん!どこ行くの!?っていうか、飛びかた雑すぎぃぃぃ!」
「うるさい。今から俺は神界へ行く。」
「神界?美味しいもの取りに行くのぉ?」
「それも名案だが、神界の人間界へ通ずる扉を探す。」
「神界から人間界へ行くってことぉ!?断固反対!!まだ死にたくないよぉ!」
「俺様がいるのだから、心配は皆無だ。」
ギャーギャー喚く猫を無視し、神界への扉へ向かってスピードを上げる。数百年前、俺様は人間界へ行ったことがある。無論、神界からだ。幼い頃の話ゆえ、詳細に覚えてはいないが神界から行ったということだけは覚えていた。
「なァに、今回も上手くいく。」
なにせ俺様は、ヒドゥンギア=ツィツィミトルなのだから。
“め”とは何なのか。
それは、俺の目であり、魔力を生み出す芽であり、“め”という名前の何かである。言ってしまえば俺の魔力の源で、このヒドゥンギア=ツィツィミトルの双眼に埋まっていたものだ。
とは言え、只今絶賛失明中というわけではない。両目が無くなれば失明するといった概念は魔界にはないのだ。無くなれば、入れ替えれば良いのだから。つまり、今俺の目として機能している黒い瞳の双眼は急遽あつらえたもので、魔力こそ弱まっているものの、視界を失ったりなどしてはいないわけだ。
どうだ?すげぇだろう。
まあ、自分の目を無くした挙句大幅に魔力が低下しているのに威張るなんてのは変だな。
「なあ、猫よ。裏側はもう調べ尽くしたんじゃないか?やはり、人間界に紛れ込んでいるとしか思えん。」
「そうだとすると、ちょっとマズイかもぉ。」
「何故だ。」
「魔界では、“め”は価値のあるものだから盗まれたり奪われることはあれど、破棄されることはまず無い。ううん、あり得ないこと、だよねぇ?」
「まあ、そうだな。」
「でもね、人間界で“め”は価値のあるものではないから、ゴミと思われて捨てられちゃうと思うんだぁ~。」
なん、だと………?
「おい、猫。それはなんの冗談だ。」
「冗談じゃないよぉ。人間は魔力を持っていないから“め”を見つけたところで、石ころかガラクタくらいにしか思わないのが普通だよ。“め”に触れても魔力を感じ取れないんだから、当然と言えば当然だけどね。」
「ぐ、何と愚かな…」
古の時代には、人間の中にも魔力を持ち、魔王と対等に渡り合った人間も存在していたというが…。ずいぶんと平和ボケをしてしまったらしい。まあ、ここ数百年こちらからの侵攻が途絶えていることも、平和ボケの原因かもしれないが。
「よし、では人間界へ行くとしようか。」
「簡単に言うけど、人間界への扉は魔王様が封印してるんだよぉ?」
「そうだな。」
怪訝そうに俺を見上げる猫を鼻で笑い、俺は翼を広げた。驚く猫の首根っこを掴み、空へと一気に飛び上がる。
「しーくん!どこ行くの!?っていうか、飛びかた雑すぎぃぃぃ!」
「うるさい。今から俺は神界へ行く。」
「神界?美味しいもの取りに行くのぉ?」
「それも名案だが、神界の人間界へ通ずる扉を探す。」
「神界から人間界へ行くってことぉ!?断固反対!!まだ死にたくないよぉ!」
「俺様がいるのだから、心配は皆無だ。」
ギャーギャー喚く猫を無視し、神界への扉へ向かってスピードを上げる。数百年前、俺様は人間界へ行ったことがある。無論、神界からだ。幼い頃の話ゆえ、詳細に覚えてはいないが神界から行ったということだけは覚えていた。
「なァに、今回も上手くいく。」
なにせ俺様は、ヒドゥンギア=ツィツィミトルなのだから。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる