ハキダメギク

谷 羊大

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第二章 ヒドゥンギア=ツィツィミトル

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   誇らしく、畏怖すべき俺の仕事について話したが、今は仕事をするどころか魔力を使うこともままならないのが現状だ。何故って、それは俺が“め”を失ったからだ。そうに決まっているだろう。それしかあり得ないだろう。

   “め”とは何なのか。

   それは、俺の目であり、魔力を生み出す芽であり、“め”という名前の何かである。言ってしまえば俺の魔力の源で、このヒドゥンギア=ツィツィミトルの双眼に埋まっていたものだ。

   とは言え、只今絶賛失明中というわけではない。両目が無くなれば失明するといった概念は魔界にはないのだ。無くなれば、入れ替えれば良いのだから。つまり、今俺の目として機能している黒い瞳の双眼は急遽あつらえたもので、魔力こそ弱まっているものの、視界を失ったりなどしてはいないわけだ。

   どうだ?すげぇだろう。

   まあ、自分の目を無くした挙句大幅に魔力が低下しているのに威張るなんてのは変だな。



「なあ、マオよ。裏側はもう調べ尽くしたんじゃないか?やはり、人間界に紛れ込んでいるとしか思えん。」



「そうだとすると、ちょっとマズイかもぉ。」



「何故だ。」



「魔界では、“め”は価値のあるものだから盗まれたり奪われることはあれど、破棄されることはまず無い。ううん、あり得ない、、、、、こと、だよねぇ?」



「まあ、そうだな。」



「でもね、人間界で“め”は価値のあるものではないから、ゴミと思われて捨てられちゃうと思うんだぁ~。」



   なん、だと………?



「おい、マオ。それはなんの冗談だ。」



「冗談じゃないよぉ。人間は魔力を持っていないから“め”を見つけたところで、石ころかガラクタくらいにしか思わないのが普通だよ。“め”に触れても魔力を感じ取れないんだから、当然と言えば当然だけどね。」


「ぐ、何と愚かな…」



   いにしえの時代には、人間の中にも魔力を持ち、魔王と対等に渡り合った人間も存在していたというが…。ずいぶんと平和ボケをしてしまったらしい。まあ、ここ数百年こちらからの侵攻が途絶えていることも、平和ボケの原因かもしれないが。



「よし、では人間界へ行くとしようか。」



「簡単に言うけど、人間界への扉は魔王様が封印してるんだよぉ?」



「そうだな。」



怪訝そうに俺を見上げるマオを鼻で笑い、俺は翼を広げた。驚くマオの首根っこを掴み、空へと一気に飛び上がる。



「しーくん!どこ行くの!?っていうか、飛びかた雑すぎぃぃぃ!」



「うるさい。今から俺は神界へ行く。」



「神界?美味しいもの取りに行くのぉ?」



「それも名案だが、神界の人間界へ通ずる扉を探す。」



「神界から人間界へ行くってことぉ!?断固反対!!まだ死にたくないよぉ!」



「俺様がいるのだから、心配は皆無だ。」



ギャーギャー喚くマオを無視し、神界への扉へ向かってスピードを上げる。数百年前、俺様は人間界へ行ったことがある。無論、神界からだ。幼い頃の話ゆえ、詳細に覚えてはいないが神界から行ったということだけは覚えていた。



「なァに、今回も上手くいく。」



なにせ俺様は、ヒドゥンギア=ツィツィミトルなのだから。



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