お隣の小学生に懐かれてしまった

小貝川リン子

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1 コンプライアンスは完全無視

「こんにちわ」
 
 近所のコンビニで一服していたら、ランドセルを背負った少年に挨拶された。
 
「……こんにちは」
「おじさん、よくここで煙草吸ってるよね」
「おじっ……」
 
 軽くショックを受ける。まだ若いつもりでいたが、小学生から見ればおじさんか。
 
「……お兄さん?」
「うん、まぁ……何とでも呼んでくれていいよ」
「えへ、へへ、じゃあお兄さんね」
 
 少年は人懐こい笑顔を浮かべたままなかなか帰ろうとしない。
 
「えーっと……何か飲む? ジュースとか……」
「いいの!?」
 
 小銭を渡すと少年は喜び、ファンタオレンジを買って飲んだ。コンビニの店先で煙草を喫む青年と、ジュースを飲む少年。奇妙な構図だったが、特に気に留める者はいなかった。それが二人の出会いであった。
 
 
 
 この時の少年、ゆうが、実は同じマンションの隣の部屋に住んでいたとわかるのは、それから間もないことだった。久しぶりに会社へ行こうとたけるが玄関を開けると、同時に隣の家の扉も開いて、ランドセルを背負った少年が飛び出てきた。
 
「あっ、あの時の」
 
 二人は同時に叫んだ。それから侑の母親らしき女性も出てくる。カジュアルなスーツを着て、これから出勤らしい。
 
「あら、おはようございます」
「母さん、この人だよ。よくコンビニにいるの。変だよね」
「こら、失礼言うんじゃありません。ごめんなさいね、前に息子がお世話になったみたいで」
 
 お世話した記憶はないが、いちいち訂正するのも面倒なので、健は愛想笑いをして誤魔化した。
 そのままの流れで、母子と一緒にエレベーターに乗る。母親はマンションの前からバスに乗り、侑は歩いて学校へ。健も同じ方向だったので、何となく一緒に歩いた。
 
「お兄さん、お仕事?」
「そうだよ」
「カイシャイン?」
「うーん、まぁ、そんなとこ」
「ふーん。でも昼間もよく家にいるよね? この前だってコンビニにいたし。お隣さん無職なのかなって、母さんと話してたんだ」
「家でできる仕事をしてるんだよ」
「へーぇ。変わってんね」
 
 話を聞くに、侑の家は母親と二人暮らしで、母は看護師で、帰りは遅いし夜勤もあるしで忙しいらしい。
 
「それにおれ、一人っ子だから。お兄ちゃんか弟が欲しいなぁって、ずっと思ってたんだ」
「僕じゃ侑くんのお兄ちゃんにはなれないと思うけど」
「なれるよ。お兄ちゃんの代わり」
 
 じゃあね、と手を振って、侑は校門へと駆けていく。いつの間にか小学校の前まで来ていた。
 
 
 *
 
 
 それから、お隣さんとの交流が始まった。放課後や、お母さんが夜勤の時や、休日でもお母さんが仕事の日なんかは、侑はよく健の家に来るようになった。来ても特に騒いだりすることなく、健の本を読んだり家から持ってきたDVDを見ていたりするだけで仕事の邪魔にもならないので、好きなようにさせておいた。
 
 また、侑のお母さんが料理をタッパーに詰めて持たせてくれるのが有難かった。夜勤の時などは夜と朝の二食分入っていたりして、かなり量が多い。息子の面倒を見てもらっているお礼、ということなのだろうが、一人暮らしの男にとってこれ以上有難いことはない。幾分健康になった気がする。
 
「兄ちゃん、お風呂」
「うーん……先入ってて」
「違うよ。おれはもう入って出たの。兄ちゃんの番だよ」
「え? あー、もうこんな時間」
 
 夕食後も調子がよく、夢中でパソコンに向かっていた。気づけばすっかり夜である。侑はパジャマに着替えて寝る準備万端である。
 
「ごめんね、先寝てていいから」
 
 さくっと風呂に入って出てくると、侑はまだ起きていた。ベッドに寝転がって、週刊少年ジャンプを読んでいる。
 
「先に寝ていいって言ったのに」
「だって眠くないもん」
「眠くなくても寝るの。お母さんに怒られるよ」
「バレなきゃいいじゃん」
「だーめ。身長伸びなくてもいいの?」
「それは……」
 
 小さいままは嫌らしい。しゅんとして、漫画雑誌をテーブルに戻した。
 
「えらいえらい。じゃあ電気消すね」
「うん。おやすみ」
 
 瞼を閉じるとすぐに睡魔が襲ってきた。しかし侑はなかなか眠れないのか、もぞもぞと寝返りを打つ。健の服を引っ掻いたり、髪を引っ張ったりする。仕舞いには耳元でこそこそ内緒話を始める。
 
「兄ちゃん、起きてる?」
「ん……なに……」
「ねーねーねー、ねー兄ちゃん」
「もぉ、なに……早く寝な」
「ねー、おれのこと、好き?」
「そりゃあ……」
「好き?」
「好きじゃなきゃ一緒に寝たりしないよ」
「ほんと!?」
 
 小声ながらも声が弾む。
 
「ほんとに? おれのこと好き?」
「うん、だからもう寝――」
 
 ちゅ、と唇の端に柔らかく温かな感触。健は一気に覚醒した。今のは何だ。まさか、キスか。動揺を抑えられない。侑はにこにこと無垢な笑顔を湛えている。
 
「えへへ、好き同士ならこーゆーことするんでしょ」
「す……いや、好きって、そういう意味じゃ……」
「違うの?」
「ちが……ていうか、どこでこういうの覚えて……」
「こないだ一緒に見たドラマでさ、兄ちゃんが教えてくれたんじゃん」
「ドラマ……?」
 
 健は記憶を呼び起こす。テレビ自体よく見るので、映画もドラマもアニメもバラエティーも見るけれど、最近見たドラマは……確か恋愛ものではなかったが、キスシーンのある話だったかもしれない。それで、この二人は何をしてるのかと訊かれて、
 
「好きな人とはこういうことするって、兄ちゃんが言った」
「……言ったかも」
「おれ、健兄ちゃん好きだから」
「いや、でもね、僕が言ったのはそういう意味じゃなくてね」
 
 侑は不安そうな顔で健を見上げる。
 
「おれのこと、嫌いなの?」
「そうじゃなくて……こういうのは、大人と子供ではしないんだよ。例えば、ほら、同級生の女の子とかとするんだよ。いない? かわいくて憧れちゃうような女の子。クラスの子でもいいし、そうじゃなくても――」
「いない!」
 
 侑は声を張る。
 
「おれが好きなのは健兄ちゃんだけだもん。女の子なんて知らない。うるさいしごちゃごちゃしてるしおしゃべりだしみんなでトイレ行くから嫌い」
「そ、そこまで言わなくても」
「それに、おれ……」
 
 健の腕をぎゅっと抱く。
 
「兄ちゃんといると、すごく、どきどきする。匂いも好きだし、この腕も……大人の男って感じで、強そうで……」
 
 癖のある毛が、ふわりと枕に流れる。
 
「ねぇ、おれどうしたらいいのかな。兄ちゃんといると、ちんちんが変な感じになる」
「変、って……?」
「変なもんは変なの。でもどうしたらいいのかわかんない」
 
 変な感じになっているちんちんを、健の手に押し付ける。一応緩く勃っているような感じだが、片手で握ってもなお余るほどの小ささなので、明確に勃起だと言い切ってしまっていいのか微妙だ。
 
「兄ちゃぁん、なんとかしてよぉ……」
 
 弱々しく切なげな、子犬の鳴いているような声。放っておけなくなる。健は溜め息を吐く。
 
「……一回だけだからね」
 
 パジャマ越しにそれを摘まむ。びく、と侑の体が跳ねる。
 
「ぇあ、ぁっ、えっ……?」
 
 他人の、しかも子供のものを触るなんて初めてだったが、その小さな突起をこしこし扱いて、時折捻ったり捩じったりして刺激してみる。
 
「やっ、やだっ、にいちゃ、……」
「こうしてれば、変なの治るから」
「うそっ……もっと、へんになって……っ」
「限界まで変になったら治るんだよ」
「やぅ、ぁあ、へんになるよぉ……」
 
 侑は健の胸にしがみつき、戸惑いながらも喘ぐ。変声期前の声があどけない。
 
「あ、あ、まって、なんかっ……、だめ、くる、なんかくるよぉ」
「我慢しないでいいんだよ」
「だめ、だめぇ……っ、なんかくる、くる、でちゃうっっ……!」
 
 びくびくっ、と激しく痙攣した。下半身に力が入って膝がぴんと伸びる。握りしめられたパジャマに皺が寄る。しばらく苦しそうに胸を上下させる。
 
「……おしっこ……?」
「うん?」
「おしっこ、もらした? おれ……」
 
 精液を尿と勘違いしているのか。否、侑の性器は乾いていて何も漏らしていない。
 
「違うよ。でも、すっきりしたでしょ」
「ん……にいちゃんの手、すごい……」
「僕の手がすごいんじゃないよ。これからは自分でしなきゃだめだからね」
「……なんか、ふわふわして、しあわせな気分……」
 
 すり、と頬をすり寄せる。
 
「にいちゃん……すき……」
 
 そう呟いたかと思うと、すやすやと寝息を立て始めた。
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