お隣の小学生に懐かれてしまった

小貝川リン子

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6 離れた夜は電話したい

 お盆に合わせ、侑はお母さんの実家へ遊びにいった。新幹線で二時間弱と然程遠くはないのだが、一泊してくるらしい。
 
 行きの電車の中、侑はお母さんのスマホを借りてしきりにメッセージを送ってきた。どこどこの駅に着いたとか、こういう駅弁を食べたとか、車窓からの風景を写真付きで送ってくれたりもした。
 
 新幹線を降りてからはしばらくメッセージが途絶え、次に着信したのは夕方になってからだった。畑で夏野菜を穫ったとか、お墓参りに行ったとか、おやつはスイカだったとか、従妹の赤ちゃんの写真とか。
 
 晩御飯の時間になると着信はまちまちになる。夕ご飯は天ぷらとお刺身だって、の後に、これからお風呂に入るね、と来る。お母さんがうるさいからそろそろ寝るね、おやすみ、と送られてきたので、健もおやすみと返した。以降ずっと着信はない。当たり前だ。寝たのだろう。
 
 夜更け過ぎ、健も休もうとベッドに横になった。すると突然、見計らったように電話が鳴る。侑のお母さんからだが、どうも怪しい。案の定、侑がお母さんのスマホを借りて掛けてきていた。
 
「にーちゃん! よかった、起きてたぁ」
「……どうしたの、こんな時間に。もう寝るんじゃなかったの」
「だって、眠れなくって……ほら、枕変わると寝れないって言うし」
「うちではそんなこと一度もなかったけど?」
「あ、そっか……」
 
 侑は困ったように口籠る。
 
「で、でも、眠れないのはほんとだもん。去年とかは普通だったのに……」
「だからって僕に電話しなくてもいいでしょ。布団入って目瞑ってれば自然と寝られるんだから」
「むー……でもぉ……」
「ていうか、お母さんに黙ってスマホ使ってるんでしょ。こんな時間まで起きてるって知れたら怒られちゃうよ」
「それは大丈夫。母さんお酒飲んでたから。朝まで絶対起きないよ」
「でも他にも大人の人いるでしょ。見つかったらやっぱり怒られるよ」
「おじさんとおばさんとしおりちゃんはもう帰ったし、じいちゃんとばあちゃんも全然寝てるから。平気だよ」
 
 侑は食い下がる。無下にして電話を切ることもできない。
 
「ねー、いいじゃん。ちょこっとお話するだけ。にーちゃんが寝たくなったらやめるし。ねーぇ、いいでしょ?」
「……ほんとにちょっとだけだよ」
「ほんと!? やったぁ」
 
 侑は無邪気に喜び、今日あった出来事を詳しく話し始めた。お母さんが駅で迷って乗り場を間違えたとか、向こうの駅へはおじいちゃんが車で迎えに来てくれたとか、お墓参りでどんなお手伝いをしたとか、スイカは三角に切って齧り付いたとか、従妹の赤ちゃんがかわいいとか泣き止まないとかいう話。
 
「あのねー、お庭がすっごく広くてね、向日葵がいーっぱい咲いてるの。おれの背より高いんだよ。かくれんぼして遊んだんだ」
「明日写真撮って送ってよ」
「あ、そーだね。忘れてた。遊ぶのに集中してて。あとね、夜は蛍見に行ったの。家の近くにね、ちょっと山の方なんだけど、川があってね、毎年蛍が飛んでるんだ」
「今時珍しいんじゃない? 僕は見たことないから、羨ましいな」
「あっ、ごめん。また写真忘れちゃった」
「いいよ。暗くて危ないから」
 
 健は軽くあくびをする。
 
「にーちゃん、眠い?」
「少しね」
「あ……でも、まだ寝ないで」
「まだ話し足りない?」
「うん……」
 
 侑は何やら恥ずかしそうにもじもじし始める。スマホを右手で持ったり左手で持ったり、うろうろと歩き回ったりしているようで、忙しく落ち着かない。
 
「侑?」
「ご、ごめん。えっと……あの、ね……」
「ん?」
「あの……だって、寂しくて……」
 
 か細い声が、耳元で囁く。
 
「にーちゃんに会えないの、寂しい」
「さ、寂しいったって、普段だって毎晩一緒にいるわけじゃないでしょ」
「でも、いつもはこんなに離れてないもん。にーちゃんが隣の部屋にいるって思ったら寂しくないし、ベランダから見えたりするし……」
「そんなこと言ってたら、修学旅行にだって行けなくなるよ」
「別にいいもん。行かないもん」
「わがまま言わないの」
「ねー、にーちゃんもこっち来てよぉ」
「そんなの無理だよ」
「だってぇ……」
 
 侑は切なげな声を出す。
 
「……ちんちんが変なの?」
「え?」
「だから、よく言ってるでしょ。ちんちんが変になったって。今もそうなの?」
 
 我ながら何を言っているのだろうと健は思う。
 
「あ……ううん。今は変じゃない」
「そう。なら早く寝――」
「けど、にーちゃんが言うから、変になってきたかも」
 
 しまった。とんだ藪蛇だ。頭を抱えてももう遅い。
 
「どうしよ、にーちゃん……ちんちんむずむずしてきた……」
「じ、自分で何とかして」
「にーちゃんがなんとかしてよぉ……」
「む、無理だってば」
「じゃあどーしたらいいの? このまま寝るなんてやだよぉ……」
 
 仕舞いにはぐすぐす泣き始める。
 
「どうしよう、にーちゃぁん……」
 
 捨てられた子犬みたいな声で言われても、困ってしまう。今までのように健の手で発散させてあげたくても、物理的に不可能なのだ。できないものはできない。
 
「……侑、今どこにいるの? 周りに人はいる?」
「え? えと、縁側だから、一人だよ。みんなお布団の部屋にいる……」
「手は綺麗?」
「う、うん。お風呂入ったから……なんでそんなこと訊くの?」
「手が汚いとばい菌入るからね。じゃあ、まずはズボンとパンツを脱いで」
「え? え?」
「変なの治したいんでしょ」
「う、うん……」
 
 侑は戸惑いながらも服を脱ぐ。
 
「……いつもは、こんな風にしないのに」
「脱げた? 寒くない?」
「全然。暑いよ」
「そっか。じゃあ、えっと……ちんちん、どうなってる?」
「どうって…………ぴょこん、って感じ」
 
 擬音のチョイスが素朴で可愛らしい。
 
「ねー、これ、なんか恥ずかしいよ……こんなとこでパンツ脱ぐなんて……」
「でも、これからもっと恥ずかしいことするんだよ。僕が前にやったみたいに、自分でちんちんごしごししてごらん」
「えっ、でも……」
「大丈夫だよ。楽な姿勢でいいからね。ほら、右手でちんちん握ってごらん。優しくだよ。ぎゅってしたら痛いからね」
 
 ごそごそという衣擦れの音が微かに聞こえる。
 
「こ、こう? おしっこする時と違うけど……」
「違っていいんだよ。そしたら、優しく擦ってみて」
「え、えと……」
 
 しばし間が開く。声はなく、困惑したような息遣いだけが聞こえる。
 
「に、にいちゃ……これで、いいの?」
「僕がしてたのを思い出して、同じようにすればいいんだよ」
「に、にいちゃんのこと思い出したら、もっとさみしくなっちゃうよぉ」
「寂しいの?」
「さみしい……」
「侑は本当にかわいいね」
 
 本音が口を衝いて出た。電話口で、侑がまた戸惑う。
 
「か、かわいい? おれ?」
「うん。侑がかわいいって言ったの」
「あ、え、……?」
「かわいいって言われるの、好きじゃなかった?」
「んぁ、でも……い、いま、いわれると、なんか……」
 
 吐息が熱を孕む。
 
「すごく、ぞくぞくってして……さ、さみしいのに、にいちゃんのこと、どんどんすきになって……」
「やっぱりかわいい」
「い、いわないでよぉ……もっとへんになっちゃう……」
「そういうの、気持ちいいって言うんだよ。言ってごらん、気持ちいいって」
「き、きもちい?」
「そう。言ったらそれだけ気持ちよくなれるから」
「き、きもち、いい……」
 
 服の擦れる音と息遣いが一層激しくなっていく。
 
「先っちょもごしごししてごらん」
「先っちょ……?」
「うん。僕も前にしてあげたことあるでしょ。敏感だから優しくね」
「ふぁ、?! やっ、ぁ、あっ……に、にいちゃ、きもち、これ、きもちいよぅ……っ」
 
 声が震えている。絶頂が近いのだろう。
 
「イキそう?」
「い? わ、わかんない、きもちいっ……」
「何か出そうな感じでしょ? そしたら、少し強く握ってもいいから、手緩めないで、ごしごしして」
「うんっ、んんっ、……ぁだめ、だめ、きもち、ぁあ、」
 
 座っていた姿勢から、ころんと横になる。
 
「あぁっ、にいちゃ、くる、くるよぉっ……、いっしょにきて、にいちゃ、きてぇ……っ」
「うん、一緒にいくから」
「ふゃ、あ、にいちゃ、ぁ、すき、すき、すきぃっ……――んぅう゛っっ!!」
 
 達した。ぜえぜえという忙しない息切れだけが聞こえる。
 
「侑? 大丈夫?」
「……は、ぁ、にいちゃ……ちゅー、したい……」
「帰ってきたらね」
「ん……ねむい」
 
 電話越しにでも移ってしまいそうな大きなあくびをする。
 
「おやすみぃ……」
「ちょ、ばか、パンツとズボンくらい履いて寝なさい!」
「うん……」
「それに縁側なんかで寝たら、床は硬いし風邪引くよ。布団まで戻りな」
「んーん、わかってるよぉ……」
 
 などと言って、電話は切れた。健は一人、マンションの一室に取り残されたような心地がした。
 
 結局、一応服は着たものの寝室までは戻れず、縁側で夜を明かしたらしい。通話履歴を消去するのも忘れていたため夜更かしと長電話がバレ、お母さんにしこたま怒られたそうだ。
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