招かれざる獣たち~彼らとの出会いが少年の運命を変える。獣耳の少女と護り手たちの物語~

都鳥

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第九章

閑話12 新年の目標(新春正月閑話)

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「まー、新年っつーても、俺らには特に何もないよなぁ」
 朝食に出されたカップを傾けながら、ヴィーさんがそんなことを言った。

 朝の食事時に皆で一応の乾杯をしたのも、新年のお約束みたいなもので特別な意味はない。カップの中身もいつも朝食で飲んでるもので酒ですらない。ちなみに今日のカップにはミルクが入っている。

 確かに、新しい年になったからと言って、僕ら『冒険者』の仕事が変わるわけじゃあない。むしろ天気に左右されることはある。今日みたいないい天気の日は稼ぎ時だ。

「じゃあ、今日もこの後冒険者ギルドに行きますか?」
 そう尋ねると、ジャウマさんが少し考えるように首を傾げて言った。
「まぁ、いつもならそうするが、どうしようか?」
 そうして皆の顔を見まわした。
 って、他の選択肢もあるんだろうか?

「まあ、今日くらいはのんびり過ごすのもいいかもしれませんね」
「ああ、昨日でっかい獲物を捕まえて来たばかりだ。宿代もしばらくのメシにも困らないしな」

 セリオンさんとヴィーさんがそう言って、今日は休息の日になった。

 休息の日は、旅の荷物の手入れをしたり、買い物に行ったりすることになっている。
 でも、それだけではなんだか物足りない。

「せっかくですし、皆で何かできたらいいですねぇ」
 そう言うと、アリアちゃんが嬉しそうにこちらを見てうんうんと頷いた。

「皆でか…… 例えばどんなことだ?」
 ヴィーさんが腕を組みながら僕に訊く。うう…… 言ってみたはいいけれど、僕に何か案があるわけではない。眉間に皺が寄る。

 そんな僕に、セリオンさんが助け舟を出してくれた。
「なら、皆で何か書いてみませんか?」
「うん? 書く?」
「はい。東方の国の風習らしいのですが、新年には皆で書きものをするのだそうです」
「書きものって、何を書くんだ?」
「その国では、目出度い言葉や目標などを書くそうですが」

 その言葉にジャウマさんが、嬉しそうに口を挟んだ。
「目標を書くのはいいな。気合いが入りそうだ」

「ったく、『隊長』はこういうの好きだよなぁ」
「あ? なんか言ったか?ヴィー」
「いや、なーーんも」

「私、目標書きたいっ!」
 アリアちゃんが嬉しそうに言ったことで、今日の予定が決まった。

 * * *

■ラウル【もっと強くなって皆の役に立ちたい】

 ヴィー「……べっつに今のままでいいんじゃねえの?」
 ラウル「で、でも……」
 セリオン「ヴィジェス。他人の目標に水を差すんじゃない」
 ジャウマ「アリアを守る為に力を付けようとするのはいいことだろう。でもヴィーの言う通り、君は俺たちの仲間として充分に働いている。そこは胸を張っていい」
 ラウル「そう……なんですか? ありがとうございます」
 アリア「ラウル、ありがとう」


■ジャウマ【もっと強くなる】

 ラウル「えっと、僕と同じ??(ではないのかな……)」
 ヴィー「……筋肉ダルマがこれ以上ダルマになってどうするんだよ」
 ジャウマ「向上を目指すのはいいことだろう?」
 アリア「さすが、ジャウパパね!」


■ヴィー【アリアを可愛がる】

 アリア「ヴィーパパ、ありがとうっ」
 ヴィー「えへへっ」
 セリオン「普段の行動と変わらないな」
 ジャウマ「ああ」


■セリオン【黒い魔獣を見つけだす】

 ヴィー「おめーも、普段の行動とかわらねえじゃねえか」
 セリオン「しかし、目標としては正しいだろう?」
 ヴィー「まあ、そうだけどよ。面白味がねえ!」
 ラウル(面白味、必要だったんだ?)


■クー【●●●●】

 クー「(誇らしげに)クゥ!!」
 アリア「クーの前足がインクでべたべたになっちゃってるー」
 ラウル「あああ、拭かないと……」
 ヴィー「おめーもやりたかったんだな」
 クー「クゥ!!」


■アリア【皆と仲良く、ずっと一緒に居たい】

 ヴィー「あったりめえだろ。ずっと一緒だ(なでなで)」
 アリア「うん。ありがとうー」

 ニコニコと笑いながらアリアちゃんの頭を撫でるヴィーさん。二人の姿に、ちょっと心が温かくなった。

「もちろん、ジャウパパもセリパパも、ラウルも一緒よ?」
 不意に僕らの方を見て微笑む。
「ああ、もちろん」
「ええ」
 二人の返事に合わせて、「うん」と返事をする。

「三人とも、私の…… パパでいてくれてありがとう」
 アリアちゃんが小さく呟いた。


「クゥ!」
 僕が抑えていたはずのクーが、僕から逃げ出してアリアちゃんに飛びつきにいった。
「わーー、クーも一緒ね!」
「まて! アリアの服が…… ああああ!!」

 慌てるヴィーさんの様子がおかしくて、皆で笑った。

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あニキ様(@akuyaku_niki)より
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