105 / 135
第九章
閑話12 新年の目標(新春正月閑話)
しおりを挟む
「まー、新年っつーても、俺らには特に何もないよなぁ」
朝食に出されたカップを傾けながら、ヴィーさんがそんなことを言った。
朝の食事時に皆で一応の乾杯をしたのも、新年のお約束みたいなもので特別な意味はない。カップの中身もいつも朝食で飲んでるもので酒ですらない。ちなみに今日のカップにはミルクが入っている。
確かに、新しい年になったからと言って、僕ら『冒険者』の仕事が変わるわけじゃあない。むしろ天気に左右されることはある。今日みたいないい天気の日は稼ぎ時だ。
「じゃあ、今日もこの後冒険者ギルドに行きますか?」
そう尋ねると、ジャウマさんが少し考えるように首を傾げて言った。
「まぁ、いつもならそうするが、どうしようか?」
そうして皆の顔を見まわした。
って、他の選択肢もあるんだろうか?
「まあ、今日くらいはのんびり過ごすのもいいかもしれませんね」
「ああ、昨日でっかい獲物を捕まえて来たばかりだ。宿代もしばらくのメシにも困らないしな」
セリオンさんとヴィーさんがそう言って、今日は休息の日になった。
休息の日は、旅の荷物の手入れをしたり、買い物に行ったりすることになっている。
でも、それだけではなんだか物足りない。
「せっかくですし、皆で何かできたらいいですねぇ」
そう言うと、アリアちゃんが嬉しそうにこちらを見てうんうんと頷いた。
「皆でか…… 例えばどんなことだ?」
ヴィーさんが腕を組みながら僕に訊く。うう…… 言ってみたはいいけれど、僕に何か案があるわけではない。眉間に皺が寄る。
そんな僕に、セリオンさんが助け舟を出してくれた。
「なら、皆で何か書いてみませんか?」
「うん? 書く?」
「はい。東方の国の風習らしいのですが、新年には皆で書きものをするのだそうです」
「書きものって、何を書くんだ?」
「その国では、目出度い言葉や目標などを書くそうですが」
その言葉にジャウマさんが、嬉しそうに口を挟んだ。
「目標を書くのはいいな。気合いが入りそうだ」
「ったく、『隊長』はこういうの好きだよなぁ」
「あ? なんか言ったか?ヴィー」
「いや、なーーんも」
「私、目標書きたいっ!」
アリアちゃんが嬉しそうに言ったことで、今日の予定が決まった。
* * *
■ラウル【もっと強くなって皆の役に立ちたい】
ヴィー「……べっつに今のままでいいんじゃねえの?」
ラウル「で、でも……」
セリオン「ヴィジェス。他人の目標に水を差すんじゃない」
ジャウマ「アリアを守る為に力を付けようとするのはいいことだろう。でもヴィーの言う通り、君は俺たちの仲間として充分に働いている。そこは胸を張っていい」
ラウル「そう……なんですか? ありがとうございます」
アリア「ラウル、ありがとう」
■ジャウマ【もっと強くなる】
ラウル「えっと、僕と同じ??(ではないのかな……)」
ヴィー「……筋肉ダルマがこれ以上ダルマになってどうするんだよ」
ジャウマ「向上を目指すのはいいことだろう?」
アリア「さすが、ジャウパパね!」
■ヴィー【アリアを可愛がる】
アリア「ヴィーパパ、ありがとうっ」
ヴィー「えへへっ」
セリオン「普段の行動と変わらないな」
ジャウマ「ああ」
■セリオン【黒い魔獣を見つけだす】
ヴィー「おめーも、普段の行動とかわらねえじゃねえか」
セリオン「しかし、目標としては正しいだろう?」
ヴィー「まあ、そうだけどよ。面白味がねえ!」
ラウル(面白味、必要だったんだ?)
■クー【●●●●】
クー「(誇らしげに)クゥ!!」
アリア「クーの前足がインクでべたべたになっちゃってるー」
ラウル「あああ、拭かないと……」
ヴィー「おめーもやりたかったんだな」
クー「クゥ!!」
■アリア【皆と仲良く、ずっと一緒に居たい】
ヴィー「あったりめえだろ。ずっと一緒だ(なでなで)」
アリア「うん。ありがとうー」
ニコニコと笑いながらアリアちゃんの頭を撫でるヴィーさん。二人の姿に、ちょっと心が温かくなった。
「もちろん、ジャウパパもセリパパも、ラウルも一緒よ?」
不意に僕らの方を見て微笑む。
「ああ、もちろん」
「ええ」
二人の返事に合わせて、「うん」と返事をする。
「三人とも、私の…… パパでいてくれてありがとう」
アリアちゃんが小さく呟いた。
「クゥ!」
僕が抑えていたはずのクーが、僕から逃げ出してアリアちゃんに飛びつきにいった。
「わーー、クーも一緒ね!」
「まて! アリアの服が…… ああああ!!」
慌てるヴィーさんの様子がおかしくて、皆で笑った。
====================
あニキ様(@akuyaku_niki)より
朝食に出されたカップを傾けながら、ヴィーさんがそんなことを言った。
朝の食事時に皆で一応の乾杯をしたのも、新年のお約束みたいなもので特別な意味はない。カップの中身もいつも朝食で飲んでるもので酒ですらない。ちなみに今日のカップにはミルクが入っている。
確かに、新しい年になったからと言って、僕ら『冒険者』の仕事が変わるわけじゃあない。むしろ天気に左右されることはある。今日みたいないい天気の日は稼ぎ時だ。
「じゃあ、今日もこの後冒険者ギルドに行きますか?」
そう尋ねると、ジャウマさんが少し考えるように首を傾げて言った。
「まぁ、いつもならそうするが、どうしようか?」
そうして皆の顔を見まわした。
って、他の選択肢もあるんだろうか?
「まあ、今日くらいはのんびり過ごすのもいいかもしれませんね」
「ああ、昨日でっかい獲物を捕まえて来たばかりだ。宿代もしばらくのメシにも困らないしな」
セリオンさんとヴィーさんがそう言って、今日は休息の日になった。
休息の日は、旅の荷物の手入れをしたり、買い物に行ったりすることになっている。
でも、それだけではなんだか物足りない。
「せっかくですし、皆で何かできたらいいですねぇ」
そう言うと、アリアちゃんが嬉しそうにこちらを見てうんうんと頷いた。
「皆でか…… 例えばどんなことだ?」
ヴィーさんが腕を組みながら僕に訊く。うう…… 言ってみたはいいけれど、僕に何か案があるわけではない。眉間に皺が寄る。
そんな僕に、セリオンさんが助け舟を出してくれた。
「なら、皆で何か書いてみませんか?」
「うん? 書く?」
「はい。東方の国の風習らしいのですが、新年には皆で書きものをするのだそうです」
「書きものって、何を書くんだ?」
「その国では、目出度い言葉や目標などを書くそうですが」
その言葉にジャウマさんが、嬉しそうに口を挟んだ。
「目標を書くのはいいな。気合いが入りそうだ」
「ったく、『隊長』はこういうの好きだよなぁ」
「あ? なんか言ったか?ヴィー」
「いや、なーーんも」
「私、目標書きたいっ!」
アリアちゃんが嬉しそうに言ったことで、今日の予定が決まった。
* * *
■ラウル【もっと強くなって皆の役に立ちたい】
ヴィー「……べっつに今のままでいいんじゃねえの?」
ラウル「で、でも……」
セリオン「ヴィジェス。他人の目標に水を差すんじゃない」
ジャウマ「アリアを守る為に力を付けようとするのはいいことだろう。でもヴィーの言う通り、君は俺たちの仲間として充分に働いている。そこは胸を張っていい」
ラウル「そう……なんですか? ありがとうございます」
アリア「ラウル、ありがとう」
■ジャウマ【もっと強くなる】
ラウル「えっと、僕と同じ??(ではないのかな……)」
ヴィー「……筋肉ダルマがこれ以上ダルマになってどうするんだよ」
ジャウマ「向上を目指すのはいいことだろう?」
アリア「さすが、ジャウパパね!」
■ヴィー【アリアを可愛がる】
アリア「ヴィーパパ、ありがとうっ」
ヴィー「えへへっ」
セリオン「普段の行動と変わらないな」
ジャウマ「ああ」
■セリオン【黒い魔獣を見つけだす】
ヴィー「おめーも、普段の行動とかわらねえじゃねえか」
セリオン「しかし、目標としては正しいだろう?」
ヴィー「まあ、そうだけどよ。面白味がねえ!」
ラウル(面白味、必要だったんだ?)
■クー【●●●●】
クー「(誇らしげに)クゥ!!」
アリア「クーの前足がインクでべたべたになっちゃってるー」
ラウル「あああ、拭かないと……」
ヴィー「おめーもやりたかったんだな」
クー「クゥ!!」
■アリア【皆と仲良く、ずっと一緒に居たい】
ヴィー「あったりめえだろ。ずっと一緒だ(なでなで)」
アリア「うん。ありがとうー」
ニコニコと笑いながらアリアちゃんの頭を撫でるヴィーさん。二人の姿に、ちょっと心が温かくなった。
「もちろん、ジャウパパもセリパパも、ラウルも一緒よ?」
不意に僕らの方を見て微笑む。
「ああ、もちろん」
「ええ」
二人の返事に合わせて、「うん」と返事をする。
「三人とも、私の…… パパでいてくれてありがとう」
アリアちゃんが小さく呟いた。
「クゥ!」
僕が抑えていたはずのクーが、僕から逃げ出してアリアちゃんに飛びつきにいった。
「わーー、クーも一緒ね!」
「まて! アリアの服が…… ああああ!!」
慌てるヴィーさんの様子がおかしくて、皆で笑った。
====================
あニキ様(@akuyaku_niki)より
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜
美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊
ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め…
※カクヨム様にも投稿しています
※イラストはAIイラストを使用しています
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
