無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜

文字の大きさ
9 / 27

第九話 最愛の娘

しおりを挟む

 [サーワリ侯爵視点]

 私はサーワリ侯爵家の現当主だ。

 そんな私には最愛な娘がいる。

 最愛の娘は最愛の妻の死と引き換えにこの世に生をうけた。

 だが、そんな最愛の娘とは距離を置くことしか出来ない。

 ある者に脅されているからだ。

 その人物はこの国の第1王子殿下だ。

 息子がある日連れてきたのだ。

 この国の第1王子殿下を。

 1歳になったばかりのリニスを見て、不気味な笑みを浮かべたのだ。

 私と息子は気味が悪いと思ったが、王族のために、見ないふりをした。

 リニスがいないところで私達は言われた。

 リニスに愛情を注ぐなと。

 勿論、私達は反対したが、リニスを殺すと脅された。

 私はそこであの表情の意味が分かった。

 歪な愛情だと。

 私達はリニスに生きて欲しい為、それに従うしか無かった。

 誕生日プレゼントも渡すなと言われた。

 それから、私達はリニスに愛情を注がなくなった。

 第1王子殿下の監視の目があったため、秘密裏に愛情を注ぐことも出来なかった。

 息子はずっと後悔している。
 
 あの時、第1王子殿下、いや、第1王子が連れて来なかったら。

 それから時が流れ、リニスは19歳になってしまった。

 リニスは王立学園を卒業した後、王城に魔物研究者として務め、寮に住んでいる。

 だから、会うことが出来ない。

 もう18回目だ。

 リニスに誕生日プレゼントを渡してないのは。

 卒業も祝ってあげられなかった。

 本当にこれで良かったのか?
 
 リニスは幸せになれるのか?

 1人で後悔していると、突然執務室のドアが開いた。

 何事だと思っていると、第2王子殿下と王立騎士団が入ってきたのだ。

 驚いている私に第2王子殿下は伝えてきた。

 伝えてきたのは第1王子が捕まったことだった。

 捕まった経緯などを話しているが、私の耳には届かなかった。

 捕まった?

 なら、リニスに会えるのか?

 私は第2王子殿下と一緒に王城に向かった。

 直ぐに応接室に通された。

 応接室には国王陛下が待っていた。

 私が座ると、国王陛下と第2王子殿下は謝罪してきた。

 「謝罪は結構です、国王陛下。私の娘を返して下さい。妻の忘れ形見の最愛の娘を。王家が私達から奪ったリニスを」

 「そ、それが洞窟の生態調査に出て行ったみたいだ」

 「何ですと?侯爵家の令嬢が」

 「ど、どうやら、リニス嬢は侯爵家の令嬢ではなく、平民として雇用されていた。本来なら、調査が入るのだが、あやつがそれを止めていたのだ」

 「私は、私達は普通にリニスと過ごしたかっただけだ。リニスに毎年毎年誕生日プレゼントを渡しかった。リニスの卒業を祝いたかった。家族全員と一緒に幸せに過ごしたかった。妻の面影を持つリニスを抱き締めたかった。ただそれだけなのです」

 国王陛下と第2王子は悲痛な表情を浮べていた。

 「サーワリ侯爵。約束する。必ず見つけ、無事に」

 国王陛下の発言を遮るように扉が開いた。

 「失礼します、国王陛下。調査隊が帰還致しました」

 調査隊が帰還だと。

 なら、会えるはずだ。

 私は国王陛下達と一緒に向かったが、そこにリニスの姿は無かった。

 私が必死に探していると、護衛の1人が多く逃げるために魔物研究者を1人見捨ててと報告をしていた。

 私の体は怒りに支配され、気が付けば、その護衛の胸倉を掴んでいた。

 「貴様、ふざけているのか。私の娘を見捨てただと。どうゆうことか、説明してみろ」

 「待て、サーワリ侯爵」

 「何故、止めるのですか?国王陛下」

 「直ぐに調査隊を送る。今責めたところで何も変わらない。後で処罰は必ず」

 私は何とか納得し、胸倉を離した。
  
 調査隊を送ったが、見つかったのは信じらないことだけだった。

 新しく出来た入口と体の殆どを失ったレッドドラゴンの死体。

 想像することが出来ない程の威力だったのだろう。

 そして、唯一見つかったのは魔物研究者の制服の帽子だけだった。

 その時、この帽子をつけていたのはリニスだけ。

 つまり、リニスは。

 私はただその帽子を抱き締めることしか無かった。

 念入りな調査をされたが、それ以外のことは何も見つからなかった。

 「国王陛下。私はどう妻に顔向けすればいいのですか?リニスのことを幸せにすると床に臥した妻と約束したのに。返してくれ、私の娘を。リニスを。私、私達はただリニスと普通に過ごしたたかっただけなのに」

 私は国王陛下に詰め寄ったが、誰も不敬と言うことは無かった。

 調査隊の者達も第2王子殿下も国王陛下も。

 私の怒りが正当だと知っているからだ。

 その後、第1王子は毒盃では無く、リニスの名を伏せながらも罪が公開され、公開処刑となった。

 私にとってはどうでもいいことだ。

 今でも私はリニスのことを探し続けている。

 多額の金を使って。

 王家から協力すると言われたが、信用が出来ない為断った。

 息子もリニスのことを探している。

 リニスに謝りながら。

 私もリニスに今でのことを謝りながら、探し続けている。

 どうか、生きていてくれ。

 最愛の娘、リニス。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜

神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。 聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。 イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。 いわゆる地味子だ。 彼女の能力も地味だった。 使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。 唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。 そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。 ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。 しかし、彼女は目立たない実力者だった。 素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。 司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。 難しい相談でも難なくこなす知識と教養。 全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。 彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。 彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。 地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。 全部で5万字。 カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。 HOTランキング女性向け1位。 日間ファンタジーランキング1位。 日間完結ランキング1位。 応援してくれた、みなさんのおかげです。 ありがとうございます。とても嬉しいです!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

処理中です...