隻腕の剣士は魔具と共に

竹桜

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第五十七話 隠してきた真実

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 あれから何事も無かったのだが、何故こうなった?

 ただの護衛、いや、妹が姉に会うための口実だったのに。

 何故だ?

 私は王位継承争いの会議に参加していただけなのに。

 その会議には第一王子と第二王子と父上がいたのだ。

 それぞれの支援者達の討論は加速していくが、父上は興味無いような表情を浮かべているだけだった。

 興味を示したのは私達とマーシア嬢だけだったのだ。

 何故、マーシア嬢と思ったが、エシアの妹からだと直ぐに理解出来た。

 父上は。

 そんなことを思っていると、議論は泥沼になっていた。

 ただの感情論となっている。

 それを止めたのは第一王子だった。

 「このままでは埒が明かない。どうか、父上。決闘を」

 父上は興味無さそうに頷くだけだった。

 移動となったが、父上が待ったを掛けたのだ。

 「待って。決闘の邪魔になるといけないから、隻腕の剣士はここで待機だ」

 私は驚きで父上の方を向いてしまった。

 「案ずるな。護衛はつける」

 「感謝します」

 それから、私は父上と2人きりになったのだ。

 「最初に聞きたいことがある。カーシャ嬢の隣にいた少女は?」

 「リニ嬢はカーシャの妹です」

 「そうか、そうか。息子の婚約者の妹さんか」

 そう言い、父上は嬉しそうな表情を浮かべていたのだ。

 「その質問をするためだけでは無いですよね」

 「ああ、そうだ。決闘となると私を昔から支えてくれた宰相がいる。そして、その宰相はミアのことを知っている」

 「私が母上の子とバレないようにするためですか」

 「そうだ」

 そんな会話をしていると懐から大きな音が鳴ったのだ。

 「父上」

 「行け」

 私は頷いて答え、踏み込んだ。

 既に漆黒の剣を抜き、黒霧の左腕を生やして。

 直ぐに到着した決闘場の真ん中には何かの結界が貼られていた。

 そして、その真ん中には剣を地面に突き刺し、今にも倒れそうな第二王子がいたのだ。

 「今更来たか、隻腕の剣士。だが、何もかもが遅いぞ」

 そんな言葉が耳を過ぎるが、私はカーシャの方を向いた。

 魔法具はカーシャが手動で作動させたみたいだな。

 さて、やるか。

 エシアの妹の大切な婚約者を守るために。

 そう思い、私は歩みを進めた。

 「いかに最強だとしても無理だぞ。この結界は王家の者しか入ることが出来ないからな」

 そう言い、第一王子は勝ち誇った表情を浮かべていたのだ。

 結界術か。

 しかも、特定の。

 だが。

 (確かに有効だな。小僧が王家の血を引いていなければの話だがな)
 
 漆黒の騎士の言う通りだ。

 私はこの王家の血を引いている。

 しかも、正室の。

 私が結界に少し触れるだけで、一瞬にして崩れて去ったのだ。

 それにシェリル達以外の者は驚きの表情を浮かべていた。

 「お、お前は何だ?何故、この結界を」

 「答えるのは簡単だが、見た通りだ」

 私がそう答えると足音が聞こえた。

 足音の先には1人の老人がいたのだ。

 そして、その老人は深く頭を下げた。

 「お久しぶりでございます、ハーグ様。貴方様の姿を見えて、感無量で御座います」

 「もしかして、ナラシか?」

 「はい、そうで御座います。ミア様にお似に」

 そんな会話にシェリル達以外の者達は驚きを隠せない。

 「な、何だ、お前?」

 「無礼な。この御方は国王陛下の正室のミア様の御子息のハーグ様だぞ」

 「宰相。一応、それは息子が隠していたことだぞ」

 声がした方にこの場にいる者達の視線が向けられる。

 そこには父上がいたのだ。

 「さて、息子よ。王位を継ぐ気はあるか?」

 「無いですよ。そもそも、今から教育しても遅いです」

 「それもそうだな。だが、王位継承者を選んでくれ」

 「なら、第二、いえ、第三王子でお願いします」

 「うむ、了承した。ならば、姿勢を正せ」

 その言葉に驚きで固まっていた貴族達は姿勢を正したのだ。

 「シーグス王国、現国王として宣言する。王位を継ぐのは第三王子だ。これに異論は認めん」

 その言葉の後、貴族達は頭を下げたのだ。

 「これにて、決闘は終わりだ。息子よ、後でまた話そう。今は説明してやれ」

 父上が向けた先には私が王家の人間だと知らなかった者達がいたのだ。

 確かに。

 その後、私は説明したのだ。

 全てを。

 全てを話し終えた後、父上と宰相と話したのだ。

 そして、暫くシーグス王国に滞在することになってしまった。

 結局、カーシャが取ってくれた期間の間、私達はシーグス王国に滞在していたのだ。
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