1 / 19
第一話 ハッピーエンドが無いヒロイン
しおりを挟む大地が崩壊を始め、空が割れている。
絶望的な状況だ。
そんな中、ある崖に、少女が、立っている。
「本当に、ありがとう、リク」と言い、少女は、振り向き、悲しそうに微笑んだ。
その少女の髪や瞳は、黒色をしている。
そして、その少女の背中からは、黒い翼が生えている。
「私、リクと、出会って、から、たくさんの、奇跡が、起きた。いっぱい、いっぱい、リクに、貰った。今度は、私の番」と言い、少女は、短剣を取り出した。
「リク、ありがとう。私を、選んで、くれて。本当に、嬉しかった。だから、リクには、生きて、欲しい。バイバイ、リク」と言い、少女は、満面の笑みを浮かべた。
満面の笑みを浮かべた後、少女は、短剣を自らの心臓に突き立てた。
少女は、振り向き、口から血を流しながら、微笑んだ。
そして、少女は、崖から落ちた。
すると、大地の崩壊は、止まった。
いや、崩壊が、止まっただけでは無く、崩壊した大地の再生が、始めた。
それから、少し時が経つと、大地は、全て元通りになり、空は、雲1つすら、無くなっていた。
まるで、全てが、元通りになったかのように。
たった1人の犠牲で、世界は、元通りになったのだ。
犠牲になった者は、忌子と呼ばれ、全てを呪い魔王になった少女だ。
勇者は、選択したのだ。
全てに愛された少女では無く、全てに愛されなかった少女を選択したのだ。
その少女を守ると誓い、脅威を全て排除したが、世界が、許さなかった。
魔王となった少女を。
魔王となった少女は、選択した。
初めて愛してくれた勇者を守るために、自身を犠牲をすることに。
魔王となった少女は、たった1人のために、自身を犠牲にして、世界の崩壊を止めた。
魔王は、たった1人のためだけに、世界を救ったのだ。
それが、勇者を苦しめることになったとしても。
それでも、魔王となった少女は、勇者に生きて欲しいからだ。
だって、この世界の中で、たった1人だけ、自身のことを愛してくれた人だから。
トゥルーエンド、たった1人のために。
コントーラが、床に強く叩きつけられる音が聞こえた。
画面には、エンドロールが、流れている。
その画面の前には、苛立ちを隠せない男が座っていた。
なんで?
なんで、ハッピーエンドが無いんだ?
クロエには、当たり前のようにバットエンドばかりで、激ムズの難易度の先が、トゥルーエンドなのかよ。
シロエのハッピーエンドは、凄く簡単なのに。
クロエには、ハッピーエンドすら、無いのかよ。
制作会社、どうなっているんだよ。
十数回やって、辿り着いたのが、トゥルーエンドなんて、救いがなさ過ぎるぞ。
なんか、萎えた。
明日も仕事だし、今日は、カップ麺を食べて、シャワー浴びたら、寝るか。
そう思い、立ち上がると、足元に放置していたゲームソフトの箱に足を滑らせてしまった。
突然のことに、受け身が取れず、派手に転んでしまった。
その時に、首の骨を折ってしまい、即死してしまった。
痛みを感じる前に、意識を手放した。
次に目が覚めると、見知らぬ場所にいた。
自分の手を見て、小さいと感じた。
まるで、5歳児の手ぐらいの大きさだった。
おかしいと思い、ベッドから出て、鏡の前に立った。
すると、驚きのことが分かった。
この顔は、ゲームの主人公、リク・バレリクだったのだ。
つまり、俺は、ゲームの中に、転生したのか。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
17
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる