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第十二話 恋人に

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 俺は、クロエに、想い伝える。

 本当なら、もっと先で、伝えるつもりだったが。

 もう1人の俺を安心させたい。

 既に消えたとしても。

 決心した俺は、準備を始めた。

 全ての準備が終わった。

 クロエが、花の手入れをしている間に、全ての仕込みを終えた。

 仕込みを終えた俺は、夕食を作り始めた。

 花の手入れを終え、クロエが、キッチンにやって来た。

 キッチンにやって来たクロエは、驚いていた。

 「リ、リク?今日は、何か、お祝い、なの?」と、クロエが、驚きながら、聞いて来た。

 「うん?ああ、ある意味お祝いだ。まぁ、後で、分かる」と、答えた。

 「そう、なんだ」と言い、クロエは、不思議そうな表情を浮かべていた。

 夕食を作るのは、クロエも手伝ってくれた。

 夕食が、出来上がると、完成した料理をリビングの机の上に置いた。
 
 出来上がった料理は、いつもよりも豪勢で、クロエの好物が、多かった。

 クロエは、美味しそうに夕食を食べていた。

 そんなクロエを見ながら、俺も夕食を食べた。

 夕食を食べ終わった後、使った食器を片付けた。

 クロエが、お風呂を入る前に、クロエに声を掛けた。

 「クロエ、あのドレスを着て来てくれるか?」と、聞いた。

 クロエは、不思議そうな表情を浮かべながら、「いいよ」と、答えてくれた。

 クロエは、自室に戻り、出会った時に、着ていたドレスを着て来てくれた。

 俺は、「そのドレス、やっぱり似合っているね」

 「あ、ありがとう。そう言って、貰えて、嬉しい」と言い、クロエは、嬉しそうな表情を浮かべた。

 「でも、なんで、この、ドレスを、着させたの?」と、クロエが、可愛く首を傾げて、聞いて来た。

 「今から、少し伝えたいことが、あるからだ」と、答えた。

 「伝えたい、こと?」と、クロエが、不思議そうな表情を浮かべ、聞いて来た。

 その質問には、答えずに、「取り敢えず、外に出よう」と言い、クロエの手を引いて、家を出た。

 家の外には、夜空が、広がっていた。

 夜空は、新月で、星々が輝いている。

 星々の輝きは、俺達のことを照らしていた。

 庭の真ん中に来たら、クロエの手を離した。

 俺は、クロエの方を向いた。

 そして、クロエの両手を握った。

 クロエの目を見て、「クロエ。俺は、クロエのことが、好きなんだ。だから、俺と恋人になって欲しい」

 「えっ」と言い、クロエは、驚きの表情を浮かべていた。

 「リクは、私のこと、いつから、好き、だったの?」と、クロエが、聞いて来た。

 「出会った時からだよ。一目惚れというやつだよ」と、答えた。

 「そ、そうなんだ。で、でも、私は」と、言葉を続けるようとしたクロエの声を遮って、「クロエ、俺は、私は、なんて言わせない」

 俺は、クロエを安心させるために微笑んで、「クロエは、忌子でも、魔王でも、ないんだ。ただの心優しい少女だ」

 俺は、続けて、「だから、何も気にしなくていいんだ」

 クロエは、少し悩む振りをしたが、直ぐに、覚悟を決めた表情を浮かべた。

 「まずは、ありがとう。私の、ことを、好きと、言って、くれて。凄く、嬉し、かった」と言い、俺の手を握り返した。

 「私も、リクの、ことが、好き。だ、だから、リクと、恋人に、なる」と答え、クロエは、顔を赤くしていた。

 俺は、そんなクロエを抱きしめた。

 俺は、「ありがとう、クロエ」

 「ううん、私の、方こそ、ありがとう、リク」と言い、クロエは、微笑んだ。

 その微笑みは、空に浮かぶ星々よりも美しかった。



 
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