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第三十一話 異端者

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 あの黒い太陽は、危険だったから、シャドーイーターを唱え、喰らった。

 闇と呼ばれた存在は、興味深そうに、「ほぉ、200年前に、滅んだ筈のヴァンパイアか。しかも、元王女ときたか」

 闇と呼ばれた存在は、続けて、「そして、悪魔に、堕天使。最後は、伝説の魔物、シャドーナイトか」

 「何故、魔物のお前が、人類の味方をするんだ?」と、闇と呼ばれた存在が、聞いてきた。

 「それは、簡単なことだ。私が、元人間だからだ」と、答えた。

 すると、人類も天使達も闇の軍団も驚いた。

 私は、右手を胸に置き、軽く頭を下げ、「申し遅れた。私、エアリアル王国、元第1王子、ニース・エアリアルと申します」

 更に、この場にいる者達は、驚いた。

 「エアリアル王国だと?我の封印を解かせたあの人間が、殺した兄か。何故、ここに出てきた?」と、闇と呼ばれた存在が、聞いてきた。

 「私のことを殺したとはいえ、血の繋がりがありました。私は、ただ、元身内の愚行の後始末をしにきただけです」と、答えた。

 「そうか。ヴァンパイアの元王女は、魔族によって、祖国を滅ぼされている。だから、ヴァンパイアとシャドーナイトが、人類の味方をする訳は分かった。だが、分からないことがある。何故、悪魔と堕天使のお前達が、人類の味方をするのだ?」と、闇と呼ばれた存在は、リタとサリラの方を見て、聞いた。

 「リ、リタは、気弱な性格のせいで、魔界から追放されました。だ、だから、闇の軍団の方に、味方することは、ありません。そ、それに、人類を滅ぼすことは、悪いことだと思います」と、リタは、胸の辺りで、両手を握って、答えた。

 「私は、身に覚えがない罪で、天界を追放され、堕天使になったわ。でも、人類のことは、別に何とも思ってないわ。でも、貴方達の味方はし無いわ。だって、絶対の悪だから」と、サリラは、槍を闇の軍団の方に向けて、答えた。

 「悪魔らしからぬ悪魔と身に覚えがない罪で、天界を追放された堕天使か。なら、我の味方では無く、人類の味方をするのも納得だな」と言い、闇と呼ばれた存在は、納得した表情を浮かべた。

 闇と呼ばれた存在は、「だがな、お前達は、普通の人間とは、違う。もし、我ら闇の軍団の倒したとしても、次にお前達が、人類に殺されるだけだぞ」

 セレリアは、「そんなことは、どうでもいい。私達は、別に人類に対して、何もしない。助けるのも害するのも。私達は、それぞれの目的があって、ここにきた」

 セレリアは、続けて、「私は、魔王に復讐を。ニースは、元弟のやらかしたことの後始末のために。リタは、自らを変えるために。サリラは、自分に掛けられた罪の潔白の証明のために」

 「そうか、そうか、そうなのか。元人間のシャドーナイト、魔王に恨みを持つ元王女のヴァンパイア、気弱な性格の悪魔、無実の堕天使か。面白い、面白い」と言い、闇と呼ばれた存在は、大きく笑った。

 「さぁ、その実力を見せてみろ。異端者よ」と言い、闇と呼ばれた存在は、ニヤリと笑った。
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