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第五十四話 恨む者達
しおりを挟む成田に到着し、由奈達を由奈の家に送り届けてから、自分の家に帰った。
家に到着したら洗濯物を洗濯機にぶちこみ、荷物の片付けを始めた。
荷物の片付けを終えてから、夕食を食べ、風呂に入った。
風呂から出た俺は直ぐに寝てしまった。
沖縄旅行は楽しかったが、疲れが溜まってしまった。
確かに自室のベッドで寝た筈だが、冷たいと感じた。
俺は飛び起き、周りを警戒した。
俺がいた空間は合わさっていた。
様々な空間が。
俺が分かるだけで偽精神病院、裏組織と戦った場所、結社の支部、結社の本部。
それ以外も混ざっていた。
周りを観察していると複数、いや、大量の足音が聞こえてきた。
俺は足音が聞こえた方に向いた。
そこにいたのは今まで私が殺した者達がいたのだ。
裏組織の者達に結社の者達にエリーの元家族同然だった研究室の者達もいる。
そして、化け物となってしまった元クラスメイト達もいた。
だが、全員では無かった。
少なくても俺に介錯を頼んだ元クラスメインのマドンナは居なかった。
俺は苦しみから開放するために重機関銃で介錯したが、全員が感謝することは無いだろう。
中には俺を恨む者はいる筈だと思っていた。
俺があの偽精神病院で見捨てなければと考える者もな。
異世界で俺に何をしてきたのかを忘れたというのか?
そんな疑問を抱いていると、その中の1人が口を開いた。
「この世界は現実とリンクしている。だから」
様々な声が混ざり合い、邪悪なものとなっていく。
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねと。
ただ繰り返している。
邪悪の声で。
この者達は俺に恨みを持つ者達か。
ここが現実世界なら、俺も使える筈だ。
俺は通信機を取り出した。
そして、通信機を口に近づけ、言力を使用した。
「来い。全ての武器よ」
すると、何処からか風がきる音が聞こえてきた。
そして、大量の何かがこの空間を突き破り、俺の後ろを覆い尽くした。
俺の後ろを覆い尽くした物は大量の武器だ。
俺は今まで集めた武器をドイツ国内の山奥に隠していたのだ。
いつでも武器を呼べるように通信機を設置している。
「さぁ、在庫処理だ。好きなだけ味わってくれ」
俺は右腕を伸ばし、言力を使用した。
「撃ち方用意」
すると、ハンドガンが、サブマシンガンが、アサルトライフルが、軽機関銃が、重機関銃が、弓が、ボウガンが、今まで集めた携帯武器が俺を恨む者達に狙いを定めた。
俺に恨みを持つ者達は俺に向かって突撃してきた。
俺は右手を握り、言力を使用した。
「撃て」
すると、今まで集めた飛び道具が全て撃ち始めた。
突撃してくる俺に恨み音達に着弾していく。
特に銃は的確に急所に着弾している。
残弾が無くなった銃は勝手にリロードし、撃ち続ける。
銃弾によって命を落とした俺に恨みを持つ者達は泥となっていく。
やがて、その泥は残りの恨みを持つ者達の壁となった。
そして、その壁は俺の攻撃から残りの俺に恨みを持つ者を守った。
普通の銃弾や矢では無理だな。
重機関銃でも難しいなら、こいつだな。
俺は通信機を再び手に握り、言力を使用した。
「対空砲、撃て」
すると、結社の本部に設置されていた対空砲が攻撃を始めた。
壁と共に突撃してきた俺に恨みを持つ者達は対空砲の水平射撃で全滅した。
全滅させたが、全ての泥が集まり大きな存在に変わったのだ。
あれは神か。
まさか神まで現れるとは。
そして、神は俺に向かって歩き始めた。
俺は対空砲と銃火器で応戦したが再生能力の方が上だった。
対空砲が駄目ならこれだ。
「野砲。砲弾が無くなるまで撃ちまくれ」
すると、結社の本部に設置されていた野砲が砲弾が無くなるまで撃ち続けた。
文字通りの一斉射は神の再生能力を上回り、やがて泥になったのだ。
殆どの泥は消え去り、人1人ぐらいの量だけとなった。
やがてその泥は人を形取った。
全ての武器を撃ち尽くすと立っている者は俺ともう1人だけになっていた。
俺は最後に残った者の方を向いた。
「やっぱりあんたか」
泥が全て無くなり、1人の中年の男が現れた。
その中年の男は俺が殺した筈の結社の支部にいたエリーに化けていた外道だ。
「どうやったか分らないが、俺を泥の空間に閉じ込めたのだろう?お前の超能力は泥使いと言ったところか」
「ああ、そうだ。私は準備していた。お前を殺す為のな。そして、成功した。全ての武器を消費させ、俺も人間では無くなった。だから、死ね」
外道は懐からハンドガンを抜いたが、その引き金を引けることは無かった。
ハンドガンを地面に落とし、両手で心臓を押さえていた。
俺の手に握られていたのはボールペンだった。
「な、なぜ、スパイガンを?」
「確かに在庫処理と言ったが、あれはドイツ国内に残した武器のだ。だから、必要な銃は持っている。今は護身用のスパイガンしか持ってなかったということだけだ。まぁ、サブマシンガンは全て異世界で撃ち切ってしまったがな」
「そ、そんな馬鹿な。わ、私の完璧な計画が」
外道は信じられないような表情を浮かべていた。
俺はナイフを取り出し、言力を使用した。
「さらばだ、外道」
ナイフは外道をズダズダに切り裂き、ただの泥にかえた。
その泥は2度と動くことは無かった。
そうか。
この外道は自身を泥にし、人ではない何かになり、言力を効かないようにしたのか。
そして、俺は神言はもう使えない。
もし、あの外道が強かったら、俺は死んでいたかもな。
それに、俺に恨みを持つ者達を泥の体だとしても呼び出すとは。
本当に結社という組織を潰しておいて良かった。
まぁ、これで本当に全て潰れただろう。
そんなことを考えていると、俺は自室に戻っていた。
俺はスパイガンをリロードしてから、また眠りについた。
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