魔王の側近はお暇を頂く

竹桜

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第一話 お暇

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 「グリークス。突然で、悪いがお前にお暇を出す」

 敬愛し、忠誠を誓っている魔王様に突然言われたのだ。

 「ま、魔王様。わ、私が何かミスをしましたか?」

 あまりにも突然のことに私は驚きを隠せなかった。

 「あー、違う違う。グリークス、勘違いしないでくれ。これはただの休暇だ。お前が休まないから暇を出しただけだ」

 「つまりクビという訳では無いのですね」

 「そうだ。折角なら、人間の国に行ってみたらどうだ?この国ではお前は有名だから、休みにはならないだろう」

 「確かにそれはそうですが、いいのですか?私が人間の国に行っても」

 「いいんじゃないか。お前を倒せる奴なんていないだろうし」

 「分かりました。では、仕事の引き継ぎと後始末を終え次第休暇を頂きますね」

 「ああ。しっかりと休暇を楽しんでくれ」

 私は魔王様に一礼してから、謁見の間を後にした。

 その足で私は自身の仕事場でもある第一資料室に向かった。

 第一資料室に到着したら、魔王国からお暇を頂いたことを話した。

 「ど、どうゆうことですか?」

 そう言い、一番最初に詰め寄って来たのは私の秘書官のカリーサだった。

 彼女は下級魔族のウィッチなのだが、才能がありここまで出世したのだ。

 ちなみに私は上級魔族だ。

 そして、種族は特殊。

 「暇というのはただの休暇だ。私がここ百年休んで無かったから、魔王様が命令を出してくれたのだ」

 「それならそれを先に言って下さい」

 そう言い、カリーサは何故か怒っていた。

 そのことを少し気にしながら、私は必要な作業を始めた。

 必要な作業は大体1時間ぐらいで完了した。

 「これで引き継ぎと後始末は終わったな。じゃあ、カリーサ。すまないが、後任せる」

 「はい、お任せ下さい。グリークス様は休暇をお楽しみ下さい」

 「ありがとう」

 そう言い、私は仕事場である第一資料室を後にした。

 その足で私は自室に向かい、必要な荷物を、いや、殆どいらないな。

 いや、待て。

 人間の国に行くなら人間が使っている金が必要になるな。

 確か、あそこに置いたはず。

 そんなことを思いながら、私は物置に向かい、置いたであろう場所の周辺を探し始めた。

 探していると少し埃を被った人間が使うお金が出て来た。

 あった、あった。

 さて、額は足りるか?

 そんな疑問を抱えながら、お金を数えてみた。
 
 1ヶ月ぐらいの休暇なら足りるな。

 さて、お金を見つけたし、そろそろ行くか。

 あ、ニンゲンの国といっても何処にいくか決めて無かった。

 海がある国に行くか?

 でもな、少し前に行ったからな。

 じゃあ、国土の殆どが山の国に行くか?

 この国の山の方が標高が上だから面白みが無いな。

 中々決まらないから、地図を広げて適当に指差してみるか。

 そう考えた私は机の上に人間の国の地図を広げ、目を瞑ってから適当に指差してみた。

 適当に指差した結果、中々面白い国だった。

 ダンジョン国家か。

 なら、冒険者をやってみよう。

 勿論、力は抑える。

 無双はつまらないからな。

 さて、百年ぶりの休暇を楽しむとするか。

 そんなことを思いながら、私は転移魔法陣を発動させた。

 発動させた私は光に包まれた。

 
 
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