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第二十五話 結婚式

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 あれから、半年が経った。

 今日は、私とフェリアの結婚式の日だ。

 本当なら、4ヶ月前にあげる予定だったが、無理だった。

 世界をあげての結婚式になってしまったのだ。

 参列客は、もの凄いことになっている。

 各国の要人達が、多く参加している。

 結婚式の会場は、世界でも有数の広さを誇る教会だったが、要人達で、満席になってしまったのだ。

 多くの民衆は、私達を一目見ようと、教会を取り囲んでいる。

 私は、正装に身を包み、フェリアを待っていた。
 
 鐘がなった。

 新婦の入場だ。

 教会のドアが開き、ラーカ侯爵にエスコートされたフェリアが、入ってきた。

 純白なウェデングドレスに身を包み、純白なベールをつけている。

 私は、フェリアに見惚れてしまった。

 フェリアは、ラーカ侯爵から、私の手を取った。

 神父の所に行く前に、ラーカ侯爵が、私と視線を合わせてきた。

 視線で、くれぐれもフェリアのことを頼むと。

 ラーカ侯爵は、フェリアの伴侶として、私を既に認めてくれているが、親としての義務なのだろう。

 私は、視線で、勿論ですと答えた。

 私は、フェリアをエスコートして、神父の前に向かった。

 「新婦、フェリア・ラーカ。新郎、ルーク・レイシーに、永遠の愛を誓うか?」

 「ん、誓う」

 「新郎、ルーク・レイシー。新婦、フェリア・ラーカに永遠の愛を誓うか?」

 「雨男の名において、誓う」

 「では、誓いのキスを」

 私とフェリアは、向き合った。

 純白なベールを上に上げた。

 私は、フェリアに誓いのキスをした。

 フェリアの唇は、驚くほど柔らかった。

 フェリアの顔は、少し恥ずかしいのか赤くなっていた。

 誓いのキスを終えると、会場の中から祝福を受けた。

 流れ的には、誓いのキスを終えたら、外にいる民衆を姿を見せるために、外に出ることになっている。

 私は、フェリアをお姫様抱っこした。

 いきなり、お姫様抱っこされたフェリアは、顔を真っ赤にしていた。

 私は、そのまま、外に出た。

 私達が、外に出ると、民衆達の歓声を上げ出した。

 「フェリア。ブーケを」

 「ん」

 フェリアは、真っ赤な顔のまま、ブーケを空に投げた。

 女性達は、そのブーケを必死に取ろうとしたが、風にのって何処かに飛んでいってしまった。

 風にのったブーケは、金色の髪をした女性の手に落ちた。

 その隣には、赤色の髪をした男性がいた。

 とても幸せそうに寄り添っていた。

 その2人をなんとなく見ていた。

 「ルーク」

 私は、腕の中にいるフェリアの方を見た。

 「どうしたんだ、フェリア?」

 「私を好きになってくれて、ありがとう。今だから、断言出来る。今、私は、世界で1番幸せな花嫁」

 私の頬にフェリアの右手が触れた。

 「本当にありがとう、ルーク」

 フェリアは、満面の笑みを浮べた。

 その満面の笑みは、世界で1番美しかった。

 祝福が聞こえた。

 これまで聞いたことがない大きさだった。

 それは、外からも会場からも聞こえた。

 それは、やがて、雨男と変わり、連呼され続けた。

 私とフェリアは、顔を合わせ、笑いあった。

 幸せを噛みしめるように。

 後で、知ったことだが、ブーケを取った女性の名前は、レーシアみたいだ。

 レーシアという人は、子爵家の御令嬢らしい。

 そして、隣に居たのは、婚約者らしい。

 偶然にも、前世の私を殺した男が、親友を殺すと至った理由の名前と同じだった。

 もしかしら、あの男が、ハッピーエンドを望んでいた人なのかもしれない。

 そんな偶然は無いか。

 まぁ、仮にもそうだったら。

 前世の私を殺した男は、少しは救われただろう。

 自分の手では無いが、愛した女性を幸せに出来たのだから。

 
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