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第十一話 第2王子
しおりを挟む[第2王子視点]
私は、クラリス王国の第2王子だ。この前までは、ある者と婚約の内定をしていたのだ。
婚約を内定していた者は、美しい銀髪を腰まで伸ばし、パライバトルマリンのように美しい水色の瞳を持ち、整った顔立ちをしていた。そして、名前は、レティアだ。
だが、昨日、私は、その婚約自体が無かったことになったのだ。
約2年前に死んだ男が急に現れたんだ。私は、あの男が嫌いだった、たかが平民の分際で、レティア嬢の側にずっと居たからな。
あの男の話を聞くと、どうやらあの時、一度死んでいて、勇者召喚されて、この世界に帰ってきたらしい。
くそ、ラナマ王国め、余計なことしやがって。
こんなことを考えていると、父上が、あの男とレティア嬢との婚約を許可しやがった。
父上に、この婚約を抗議しようとしたが、父上は、この日、あの男の所為で忙しくなってしまい、時間を取ることが出来なかった。
私は、今日は、諦め、自室に戻り、色々と作戦を考えた。
日も変わり、朝早くに父上の所を訪れた。
「何の用だ?儂は、疲れたから早く休みたいのだが」と、疲れた顔をして、言ってきた。
私は、「少しの時間だけでいいので、お願いします父上」
「少しだけだぞ」と、言ってくれた。
「父上、何故、私とレティア嬢との婚約の内定を無くしたのですか?」と、聞いた。
「それは、元々レティア嬢とエドリックの婚約が内定していたからだ。エドリックがいなくなって、儂の方からレティア嬢との婚約を頼み込んだんだ。だが、エドリックが帰ってきたなら、前の婚約の方が優先される」と、答えた。
「ですが、レティア嬢は、私と婚約した方が幸せになります」と、食い下がった。
「それは、お前が決めることでは無い。幸せか決めるのは、レティア嬢だ。それに、エドリックとレティア嬢は、両想いだから邪魔など無粋だ」と、言ってきた。
このまま、話し合っていても私の方が不利だと思い、話題を変えた。
「そう言えば、あの時の褒賞は、どうする気ですか?」と、聞いた。
「その件は、もう大丈夫だ。エドリックから、希望を聞き、もう認めた」と、答えた。
「何を望んだのですか?」と、聞いた。
「2人の妻を娶ることだ」と、答えた。
「は、一体、相手は、誰なのですか?」と、聞いた。
「相手は、異世界の時の幼馴染の者だ。このことは、落ち着きを取り戻したら、発表しようと思っている。これで、質問は、終わりだ。直ぐに出て行け」と言い、父上は、私を部屋から追い出した。
私は、自室に戻り、怒りを露わし、紅茶が入ったカップを壁に投げつけた。
投げつけられたカップは、割れ、中に入っていた紅茶は、カーテンに染み込んだ。
私は、その光景を見ながら、今に見てろよ、平民、貴様から全てを奪ってやると、思っていた。
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