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第十六話 第1王子
しおりを挟む[第2王子視点]
怒りが収まらず、城の中をウロウロと歩いていると、声を掛けられた。
「こんな時間にどうしたんだ?」と、兄上が聞いて来た。
「少し、気分転換に歩いていただけですよ」と、答えた。
「それだけじゃ無いだろう。私の部屋で、少し話そう」と言い、私を兄上の部屋に案内した。
兄上の部屋に入り、机には、紅茶が置かれた。
「何があったんだ?」と、聞いて来た。
私は、沈黙で答えた。
「レティア嬢関係か」と、兄上が言ってきた。
私は、その言葉に、体が反応してしまった。
「やっぱり、そうか。残念だが、レティア嬢のことは、諦めろ」と、言ってきた。
私は、「いや、諦められない。あんな平民に取られてたまるか。兄上、協力してくれ。兄上もあの平民のこと嫌いだったでしょ」
「いや、嫌いでは無い。嫉妬していただけだ。後、エドリック殿のことを平民と呼ばな」と、予想外な答えが返ってきた。
「何故、嫉妬していたですか?」と、聞いた。
「それはだな、父上が私よりもエドリック殿のことを能力的に信頼していたからだ。だが、エドリック殿の能力を知ってからは、嫉妬など無くなった」と、答えてきた。
「何故、嫉妬しなくなったのですか?」と、聞いた。
「それは、どうあがいても能力的に勝てないのだ。例えば、私が集めた情報を1とする。だが、エドリック殿は、私と同じ時間で5の情報を集めることが出来る。それに、戦闘能力も高いときた、嫉妬するのではなく、1人の優秀な部下として、扱った方が良いからな」と、答えてきた。
「これで、わかっただろ。父上も信用し、次期国王の私も信用している。厳しいことを言うが、お前に嫁がせるより、エドリック殿に嫁がせる方が、国の為になるんだ」と、言ってきた。
「だが、あいつは、あの時の褒賞を使って、もう1人妻を娶るつもりだ。それでも良いのか?」と、聞いた。
「それは、良いことではないか」と、答えてきた。
「な、何故、何ですか?」と、聞いた。
「だって、それは、エドリック殿の血と能力を引く優秀な人材が生まれるからだ。優秀な人材は、国の宝だからだ」と、答えてきた。
「もう、いい加減に諦めろ。これは、お前の為でもあるからな」と言い、私を私の自室に戻した。
部屋に戻った私は、あの平民に地獄を見せることを心の中に誓った。
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