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第二十一話 黒き英雄

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 国王陛下と師匠の前から、影移動で、移動し、魔王の前に姿を現した。

 魔王は、僕に気づき、直ぐに全ての国の空に投影魔法を唱えた。

 「どうやってきたかは、分からないが、死に来た馬鹿がやって来たな。無駄死になることも分からずなぁ」と、言ってきた。

 「そうとも限りませんよ。魔王殿。そういえば、自己紹介をしていませんね。私、クラリス王国に仕える、黒騎士エドリックと申します」と、挨拶をした。

 「黒騎士だと?そいつは、2年前に死んでいるはずだ」と、聞いてきた。

 「ええ、確かに一度死にましたね。ですが、もう一度ここに戻って参りました。それと、私が魔王殿を倒すのは、世界の為では無く、己が為でございます」と、答えた。

 「いくら魔物の大襲来を止めた男だとしても我には、勝てないぞ」と、言ってきた。

 「それは、試して見なければ分かりませんよ」と言い、剣を抜いた。

 「そうか、なら、試してみよう」と言い、魔王は、剣を抜き、魔法を展開した。

 魔王は、展開した魔法を僕に向けて、発射してきた。

 僕は、影の壁を作り、魔法を全て食らった。

 魔王は、その異様な影に動揺し、少し隙が出来た。

 そんな隙を僕は、見逃すはず無く、魔王の右肩から剣を振り下ろした。

 剣を振り下ろされた魔王は、決して、小さく無い傷を受けた。そして、僕に反撃しようとしたが、僕は、影移動を使い、直ぐに後ろに下がった。

 「ハァ、ハァ、貴様は、何者なんだ?」と、少し恐怖を感じてる声で聞いてきた。

 「私は、黒騎士エドリックですよ。それ以下でもそれ以上でも無いです」と、答えた。

 「そうではない。何故、こんな男があの魔物の大襲来で死んだ?」と、聞いてきた。

 「ああ、あの時は、自分の命を犠牲にして、ある魔法を使いましたから」と、答えた。

 「そして、これがある魔法です」と言い、右手に深き闇を発動させた。

 「な、なんだ、その、魔法は、そんな、魔法は、存在しない。いや、存在しては、駄目な、魔法だ」と、動揺した声で、言ってきた。

 僕は、「そうですよ。この魔法は、存在しません。いえ、存在しては、いけない魔法なんです。この魔法は、際限無く全てを闇に包む魔法ですから」

 「ですが、私は、この魔法を制御する事が出来ました。だから、こうゆう事も出来ますよ」と言い、深き闇で、騎士を作った。

 魔王は、その騎士を見て、本能的に恐怖を感じた。

 「では、そろそろお開きにしましょう。行け、暗黒騎士」と言い、魔王に攻撃させた。

 「や、辞めてくれ」と、か弱い声で言ってきた。

 だが、そんな声で暗黒騎士は、止まる事は無く、魔王の首を刎ねた。そして、刎ねた首と残った体を自分の中に取り込んだ。

 投影魔法は、魔王の首が刎ねられた時点で消えていた。

 魔王の亡骸を取り込んだ暗黒騎士は、更に深い闇になった。

 僕は、その暗黒騎士を三体に分け、レティと菜月とミレイネの事を護衛するように指示した。

 その指示を聞いた暗黒騎士達は、僕に臣下の礼を取り、影となり、3人の方に向かった。

 僕は、魔王城を簡単に探索して、僕の自室に帰った。
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