【エッセイ】自転車泥棒 

ロボモフ

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トンネルの向こう側

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~悪夢が続く~

 続く時には悪夢が続くのはどういうわけだろう。
 ハッと目が覚めて、安心してもう一度寝ても悪夢。次の日も悪夢。二度寝しても悪夢。夢の中で大きな失敗をする。「夢であってくれ」と夢の中で願う。しかし、夢の中での結論は「夢ではない」という冷たいもの。夢でないことを悟ってぐったりとする疲労感が夢の中にも蓄積されていく。屈折した夢。後味の悪い目覚め。
 全体を振り返った時に、少し笑えるところもあると思って、少し救いになる。ケーキ屋さんにあるのはケーキだけじゃない。


~怖い話を好む人の心理~

 人はなぜ怖い話をあえて聞こうとするのだろう。
(怖いものみたさ)とはいったい何なのか。
 恐怖を通り抜けることで生を確認するためか。生きている実感を得るためか。恐怖の中にあるやさしさ、おかしみに触れるためだろうか。暗いところにあるポジティブなものは、日常のところにあるそれよりも一層明るさを増して見えるということもあるだろう。
 恐怖は根源的な感情だという。
 恐怖を避けて生を語ることができないとするなら、「お話」のはじまりというのは、だいたい怖い話なのかもしれない。


~喜びはかなしみのあとに~

 人はどうしてパズルを解こうとするのだろう。
(思い悩むのだろう)
 好んでパズルを解かない人もいる。パズルなんて大嫌いだという人もいるだろう。しかし、大勢の人が今この瞬間にもパズルを解こうとして頭をひねっていることは紛れもない事実だろう。
 パズルを解く人の顔は苦しみに歪んでいるようにも見える。同時に、真剣に前を向いているようにも映る。
(問題に向かう者は進み行く者だ)
 その姿に人間/生き物の本質が現れているのではないか。

「人間とはパズルを解くもの、解こうとするもの」

 ならば、そうした姿に共感を抱くのも自然だろう。
 問題に向かっている者は、たとえ目の前が壁であっても、そこは行き止まりではない。
 長いトンネルの先にはちゃんと出口があり、そこには喜びもあるのだと信じたい。
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