半透明人間

あかさたな!

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世界と僕

103.唐紅_KARAKURENAI

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このような世界になる少し前、半透明人間によるテロが起きた。

僕が生まれる前、父が子供の頃の話。


………

隣国との戦争が冷戦のような睨み合いが続いていたある日、

主要都市で次々と民間人が刺される事件が横行していた。

目撃者も、被害者も一様に全く犯人が見えなかったという。
刃物も、犯人もまったく。


のちに知ることになるが、
隣国は半透明人間が無色透明の状態になったら、姿が視認しにくい塗装をした服と武器の開発に成功していたらしい。


自分も半透明人間だからわかるが、無色透明を維持するには相当な精神力を要する。


その無差別テロは隣国の実証実験らしい。
そして、こちらへの警告も兼ねていた。
夜に突然軍の最前線が襲われるかもしれないという恐怖。



そこから、人々は半透明人間をひどく恐れるようになった。
危険視された。皆が怯えた。


結局この戦争は民間人への攻撃を他国から批判され、
終戦条約をこちらの国が有利な条件で結ぶことができた。


しかし、戦争の爪痕は深く、
人々は半透明人間にひどく怯えるようになっていた。



………

こうして世界は優性遺伝子主義になり、

社会の脅威として今生きている半透明人間を機械的に減らされ、

生まれてきた子供が半透明の兆候があったら直ちに間引かれる

法律ができた。

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