Ωであることを隠してる先輩を無理やり番にしてしまう、いじめられっ子の話。

あかさたな!

文字の大きさ
7 / 38

●4月_運命のいたずら3

しおりを挟む


夕陽がさすころ、
湊さんは目を覚ました。

目覚める直前に触れた感じ、体の熱はだいぶおさまってるようだった。


「ん…あれぇ?」

少し気だるそうに体を起こした湊さんが、周囲を不思議そうに見回した後、
僕と目が合うなり百面相のように表情を赤くしたり青くしたりしていた。

1週間は続くはずの熱も治まってるし、ズキズキ痛むはずの頸を妙に気持ちよさそうに撫で、
そして、走馬灯でさっきまでの出来事を思い出したかのように、急に立って彼は立ち去ろうとした。


乱れていた衣服は着直させたが、
いまだに危ういその足取りは流石に放っては置けなかった。


「ちょっ、どこに行くんですか。」


「…っ、うるさい‼︎お前には関係ないっ」


その虚勢もあまり持たなかったのか、
先輩はペタンと力が抜けたようにその場に座ってしまった。

「ごめんなさい湊さん。僕も少して加減が足りなかったみたいで、ちゃんと責任は取るので」

そのまま床をむいてしまった湊さんが、あまりにもかよわく見えてしまって、
罪悪感でちくちくしていた胸のせいで口から言葉が勝手に溢れた。

「………のに」

小さく何かをつぶやいていた湊さんの下にポツポツと水溜りがカーペットに染みては消えていた。

やばい。泣かせるつもりはなかったのに。
どんなに責められても言い返せない取り返しのつかないことをしてしまった自覚はある。

そのまましゃがんで、今にも消えてしまいそうな彼をギュッと包む。
体温を確かめて、ひどく安心した。


「どうしてΩだって隠してるんですか。」

ここの学校はαばかりが入学する。特別そうされてるわけではないが、そうなっている現状がある。
噂に聞いてる彼の家柄から考えても、もっと過保護にされてもいいはずなのに、
彼はαにも負けず劣らずの成績を叩き出している。

「…誰にも…言わないで」

「…」

「優秀なαじゃないと、家に居られるなくなるから…」

「…っ」

そうぽつりぽつりと彼から紡がれる言葉は今まで平凡な生活を送っていた僕からすると、かなり衝撃的なものだった。

過剰な競争、比較。
どうしようも変えられない自分の第二の性。
変化する体。追いつく努力。

クールになんでもそつなくこなす高嶺の花は、意外にも泥くさく生き足掻いていた。



そんな秘密を知ってから、僕たちの関係は少し変わったみたいだ。

彼の秘密を守るために、体裁では今まで通りの先輩後輩関係の距離感で。
まあ、二人きりの時は、少しいじめたくなるというか、

番になって、僕以外から彼のヒートの匂いはわからなくなるもんなんだけど、

それを解消するには高い抑制剤か、僕にお願いするしかない先輩は僕に服従する以外なくなってしまったわけで、

ここからは僕と湊さんの楽しい学園ライフが始動したのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

クローゼットは宝箱

織緒こん
BL
てんつぶさん主催、オメガの巣作りアンソロジー参加作品です。 初めてのオメガバースです。 前後編8000文字強のSS。  ◇ ◇ ◇  番であるオメガの穣太郎のヒートに合わせて休暇をもぎ取ったアルファの将臣。ほんの少し帰宅が遅れた彼を出迎えたのは、溢れかえるフェロモンの香気とクローゼットに籠城する番だった。狭いクローゼットに隠れるように巣作りする穣太郎を見つけて、出会ってから想いを通じ合わせるまでの数年間を思い出す。  美しく有能で、努力によってアルファと同等の能力を得た穣太郎。正気のときは決して甘えない彼が、ヒート期間中は将臣だけにぐずぐずに溺れる……。  年下わんこアルファ×年上美人オメガ。

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

お世話したいαしか勝たん!

沙耶
BL
神崎斗真はオメガである。総合病院でオメガ科の医師として働くうちに、ヒートが悪化。次のヒートは抑制剤無しで迎えなさいと言われてしまった。 悩んでいるときに相談に乗ってくれたα、立花優翔が、「俺と一緒にヒートを過ごさない?」と言ってくれた…? 優しい彼に乗せられて一緒に過ごすことになったけど、彼はΩをお世話したい系αだった?! ※完結設定にしていますが、番外編を突如として投稿することがございます。ご了承ください。

学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

オメガなのにムキムキに成長したんだが?

未知 道
BL
オメガという存在は、庇護欲が湧く容姿に成長する。 なのに俺は背が高くてムキムキに育ってしまい、周囲のアルファから『間違っても手を出したくない』と言われたこともある。 お見合いパーティーにも行ったが、あまりに容姿重視なアルファ達に「ざっけんじゃねー!! ヤルことばかりのくそアルファ共がぁああーーー!!」とキレて帰り、幼なじみの和紗に愚痴を聞いてもらう始末。 発情期が近いからと、帰りに寄った病院で判明した事実に、衝撃と怒りが込み上げて――。 ※攻めがけっこうなクズです。でも本人はそれに気が付いていないし、むしろ正当なことだと思っています。 同意なく薬を服用させる描写がありますので、不快になる方はブラウザバックをお願いします。

処理中です...