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◯10月_現生徒会長と前生徒会長

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トイレのあの一件依頼、俺はしばらくアイツと目を合わせれないでいた。


だって、あんなとこ見られて、あんなことされて、俺の先輩としての残りわずかな威厳を完全に食われた感じがして。


でも、結局習慣になった勉強会でアイツの部屋に行くこともあるし、
普段家で食べれないお菓子や駄菓子を置いてくれてるから、嫌ではないというか。



そんなある日、図書室の談話室で勉強してる時だった。

すごい威圧的な空気を背後から感じた。

たぶんアルファの威圧だろう。


顔を上げると、海斗はその発信源の人物に威圧し返した。

咄嗟に出て仕舞ったのだろう。
あんまり人に興味がなさそうな海斗が、これほど反抗する人物は誰だろう。

ゆっくり振り返った。
金髪を爽やかに刈り上げた、黒い瞳で僕らの方をじっーと見下ろす。
俺とどこか似てるけど、俺よりも筋肉があって、背も高い。柊 優ひいらぎ すぐる、俺の兄だ。

「すーにぃ、どうしてここに??」

俺の声でハッとして、すーにぃはあのトゲトゲしいものを引っ込めた。そして、人前でするような笑顔を作った。

「いやー、邪魔をしてわるかったな。海斗くんか。引き継ぎ以来、久しぶりだね。」

「覚えててくださったんですね。お久しぶりです。」

海斗もトゲトゲを引っ込めたけど、彼も同じく建前の仮面を被っているようだった。

「へー、湊とすごい仲良さそうだね」

「はい、可愛がってもらってます」

なぜだかわからないけど、なんか空気が重い感じがした。

「へー、湊が……オレも混ざっていい??」

「…もちろんです。どうぞ。」

少し間があって、海斗が承諾した。

なにこれ、めちゃ気まずいんだけど。
早く帰りたい…。

でも帰ったら2人がまたなんかピリピリしそうで怖い。


もーやだ。


…………



すーにぃはやっぱり教えるのがうまくて、その日の疑問は全て解決した。


でも合間で振られる雑談とか、何聞かれるかヒヤヒヤするし、
夏休み旅行した相手も誘導尋問されたし、
俺たちの秘密がバレてしまうかもとヒヤヒヤした。


すーにぃは頭がいいから、小さな綻びにもめざとい。小さい頃から、彼の前で嘘は通じなかった。



だから海斗と別れた帰り道に、湊アイツと付き合ってるのかと聞かれた時は詰んだ。

そうか、大切にしてもらえてるならそれでいいと小さい頃みたいに髪をくしゃくしゃと撫でられた。




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