不老不死の少女は戦鬼となって戦う! ~餓鬼狩りより

hodinasu

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「ナギさま、那美もテレポーテーションを使えるのですか?」
 琥耶姫が訊く。
「姉が瞬間移動を使えるだと⁉」
 ナギは口角を上げた。
「馬鹿らしい。十種神宝がなけりゃあ何もできない姉に、そんなことできるわけないでしょう」
「ジャア、ドウシテ、コンナニハヤク、ここにキタ?」
 と、隻眼のカラス刻が問う。
「たぶん、十種神宝の力を使ったんでしょう」
「十種神宝に、瞬間移動が使える神宝があるというのかえ?」
 琥耶姫が訊いた。
 十種神宝のうち、那美が光破剣と呼び使用する八握剣に、瞬間移動を可能にする力があるとは思えない。
 生命力の源である生玉は治癒効果の宝である。テレポーションの力はない。品物比礼(くさぐさのものひれ)は、身に降りかかる邪を払う神宝であり、蛇比礼(おろちのひれ)は地上、地下からの敵の攻撃を迎撃する宝である。これらにも瞬間移動などという力はない。
 白緑色(びゃくろくいろ)の勾玉、蜂比礼(はちのひれ)は、空中からの攻撃に対して身を守る宝であり、奥津鏡、辺津鏡は敵の居所や心の中を覗く宝である。
 これらの神宝を使ったとしても瞬間移動はできない。
 空を自由自在に飛行できる足玉、敵をそこに釘付けにする道反玉(ちがえしのたま)に、その能力があるかと問えば、この二つの宝にも瞬間移動などという能力はない。
 残る一つの神宝、死反玉(まかるがえし)の宝……。
 死者さえも甦えさせることができるこの宝には、まだ誰にも知られていない力があると、ナギは洪暫に聞いていた。
 死反玉。この十種神宝が那美を瞬間移動させたのであろうか……。
「ナギ、極異界には帰さないわよ」
 那美が言った。
「姉さん、ここで戦(や)ろうというのかい」
 ナギが唇を歪ませる。
「あなたが蒜壺一族とともに、人と敵対する限り、私はあなたと戦うわ」
 那美は毅然と言い放った。
「人と敵対⁉ 笑わせてくれわね。私は人を敵だと思ったことは一度もないわ。人は……。何度も言うけれど、人は蒜壺にとって餌にすぎやしない。そうだろう、姉さん」
「あんた、本当にそう思っているの?」
 那美が問う。
「ああっ……そう思っているわよ」
 ナギは声を落として答えた。
「いいえ、あなたは人を餌とは思っていない。幼い頃、人の肉を進められても、あなたは決して口にしなかったでしょう」
「何を言うの……」
「喪間(もま)と対決した時のあなたは、人の肉を拒否したはず」
「喪間? あの熊の蒜壺のことか……。そんな昔のことを言っても始まらないわよ」
 蒜壺の先の頭“千寿”と、人間の女である弥生の間に生まれた那美とナギの双子の赤子は、オババに預けられ、人里で幼少期を過ごした。蒜壺一族創成期から生き続けてきたといわれるオババは、辺鄙な山奥の人里で、那美とナギを、十の歳まで人の子として育て上げてきたのであった。
 那美とナギが十の歳を数えたある夜、現蒜壺族当主“洪暫”からの使いがオババのもとにやってきた。
 使いの者が言った。
「蒜壺と人の間に生まれた那美とナギ。容姿は人そのものだが、尋常でない力を宿していると見張りの者から聞いている。その力を蒜壺一族のために使ってもらいたい。七日後、また来る。そのときまで極異界に帰る準備をしてくれ」
 二本足で歩く熊の姿をした使いの者は、そう言って、オババの元から去っていった。
 那美とナギに、真実を話さなければならない……。おまえたちは人ではない。人と蒜悪との試打に生まれた呪われた子だと。
 傍らで、すやすやと眠っている那美とナギを見つめながら、オババは呻吟した。
 十の歳まで、那美とナギは、人として、村人とともに生きてきた。
 村人も、何の疑いもなく、那美とナギを人の子として扱ってきた。村人の喜びは那美とナギの喜びだったし、那美とナギが笑えば、村人とも笑ってくれた。
 村人が、那美とナギが実は蒜壺の者と知ったら、どんなに驚くだろう。たとえ、那美とナギが蒜壺と人の間に生まれたものだ、蒜壺とは違うと、諭してみても、村人は那美とナギを受け入れてはくれないだろう。
 人にとって蒜壺の者は恐怖そのものといえる存在なのだ。
 心を痛めたオババは、三日間寝込んだ後、那美とナギに真実を告げた。
 蒜壺のものがどんなものなのか、村人から伝え聞いていた那美とナギは、オババの言った真実を受け入れることができなかった。人を襲い、人を食べる蒜壺一族。当時、十歳だった那美とナギにとっても、それは紛れもない怖れの対象だった。
 自分たちが……、自分たちの血の中に、蒜壺の血が流れているなんて……。
 那美とナギの血が凍った。
 動揺する那美とナギの前に、再び、二本足で立つ熊の蒜壺が現れた。
「那美、ナギ、おまえたちは誇りある蒜壺の者だ。さあ、これをお食べ。昨夜殺したばかりの女の子の肉だ」
 喪間と名のったその熊の姿をした蒜壺は、腰にぶら下げていた瓶(かめ)から血まみれの肉を、那美とナギの前に差し出した。
 初めて見る蒜壺のものの異形な姿。目の前に差し出された人の肉……。
 那美とナギの心は崩壊寸前だった。
 オババが言った。
「喪間、この子たちは、人の肉を食べなくても狂うことはないんだ]
「それがどうした? その子たちのは蒜壷の血が半分流れているんだ。蒜壷の血がながれていものが人の肉を食わんでどうする。食え、食わんのか。こんなおいしいものを。食えよ」
 喪間は、恐怖に震える那美とナギの口元に、人の肉を押し付けた。
「よしてよ。よしておくれよ。嫌がっているじゃあないか」
 オババが、喪間の腕にぶら下がった。
「うるさい! おまえは黙ってみてろ」
「黙っていられるかい!」
 喪間の暴言に、オババが目を光らせる。
「なんだい。俺とやろうというのかい? やるっていうのなら化身を解きな。化身を解いて大蛇となれ」
 オババは、大蛇の蒜壺の者だった。人に化身して那美たちと暮らしているが、蒜壺の者だということに変わりはない。
「大蛇? オババが蒜壺の者」
「なんだ? おまえら知らんかったのか」
「だって、オババは昼でも外に出てるじゃあないか」
 ナギが言った。
「蒜壺の者は夜に蠢きもの者。お日様の下に長くいると溶けてしまうか……。そうだよな。俺たちはおまえたちの父、千寿の呪いのせいで、こんな身体になってしまった。けどな、そこにいるオババは違うんだよ。おまえらと同じようにな」
 喪間がそう言う。
「まさか!?」
 那美は目を丸くした。
「そう、そのまさかだ。オババもおまえらと同じ、蒜壺と人の間に生まれた者さ。だから、あの時、洪暫さまに嘆願したんだろう。この子たちを助けてくれってな」
 蒜壺一族現当主洪暫は、兄である先代の当主千寿を手にかけたとき、生後間もない双子の赤子、那美とナギを殺そうとした。その時、オババは双子の赤子の存命を洪暫に願ったのであった。
「明日、この時刻にまた来る。明日が約束の期日だからな」
 喪間は、そう言うと闇夜に出て行った。
 翌夜、先日と同じ時刻に喪間はオババと那美たちが住むあばら家にやってきた。
「昨日の女の子の肉はうまかったか?」
 喪間は、あばら家に入ってくるなり、そう言った。
「よくも……。よくも……。よくも、さっちゃんを殺したな」
 ナギが言った。
「なんで、さっちゃんが死ななくちゃあなんないのよ」
 那美が泣き叫ぶ。
「喪間。おまえが手にかけた女の子は、この子らの友達だったんだよ」
 オババが言った。
「友達? 笑わせるな。人は俺たちの食べ物だろう」
 喪間は笑い転げた。
「許さないわ!」
 那美が、喪間を睨みつけた。
「許さなければ、どうする? この俺とやろうというのか」
 喪間は、那美とナギの双子の力を侮っていた。見張りの蒜壺の者から、二人には尋常でない力があるとは聞いてはいたが、熊の蒜壺である自分が、十の歳の双子に負けるわけがないと思っていた。
「姉さん、あの力を使ってもいい?」
 ナギが聞く。
「いいわ。二人の力を合わせれば、こんな奴なんて」
「おやめ! まだその力を使うには早すぎる」
 オババが那美とナギを制止しようとしたが、那美とナギは、その力を解放した。
 喪間の身体に異変が起こった。ぜいぜいと苦しげな息を吐き、瞳孔から血が噴き出す。
「おめえら……。この俺に何をした」
 喪間が両手で顔を覆い、よろよろとよろめいた。足を絡めて膝をついた。喪間の身体から、黒い獣毛が一気に抜け落ち、獣毛が抜け落ちた、からし色の肌に、無数の小さな亀裂入った。断末魔の悲鳴を上げた喪間の身体が、内側から弾け飛ぶ。
「おおおっ……。なんていうことを……」
 オババは、那美とナギの尋常でない力に慄いた。
 蒜壺と人の間に生まれた那美とナギは、強力なサイコキネシスを持っていた。一人一人のサイコキネシスは、まだそう強くはないが、二人の力が合わさると巨大な力を発揮する。
「やったね、姉さん」
 ナギが言った。
「ええっ……」
 那美は目を伏せた。
 地を這う蟻一匹殺したことがない那美にとって、激情にまかせたといえ、生き物をこの手で葬った所業は、耐え難きものだった。那美の優しさが、おのれの心を締め付けた。
 ナギが得意になって、言う。
「あたいと、姉さんが力を合わせれば、どんな奴がここに来たってまけやしないわよ」
「わたしは……。もう、こんなことはしたくはないわ」
 那美が首を振った。
「なんで? なんでだよ姉さん。さっちゃんの仇をとれただろう」
「さっちゃんの仇はとれたけど……。生きているものを殺すのはよくないことだわ」
「なに言ってんだよ。こいつは、さっちやんを殺したんだよ。あたいたちが大好きだったさっちゃんを」
「だからといって殺してしまったら……」
「こいつを殺さなければ、犠牲者が増えるだけだろう。また友達が殺されてもいいの」
「いいわけないじゃあない」
「だったら、あたいらたちで蒜壺をやっつけてしまおうよ。この力を使ってさ」
「この力を使って、蒜壺を殺すの?」
「ああっ」
「わたし……」
 那美は、サイコキネシスを使うたびに、嫌悪感を感じ始めていた。
 初めは、ちよっとした悪戯だった。同じ年頃の友達を驚かせるためにこの力を使っていた。
 小石を手を使わずに宙に浮かせてみたり、村にある溜め池の水を噴水のように噴出させては、面白がっていた。友達は、那美の不思議な力に目を丸くして驚き、はしゃいでくれた。
 が、大人はそうでなかった。那美が得意げにサイコキネシスを使うたびに、嫌なものを見るような目で那美を見るようになっていった。
「あたい……。この力……。もう使いたくないわ」
「なんでだよ、姉さん。この力があれば蒜壺一族なんて……」
「本当に、蒜壺一族と戦うつもりなの?」
「ああっ、戦ってやるよ。だから姉さんも……」
 ナギは、本気で蒜壺一族と戦うつもりなのだろうか。蒜壺一族は人知を超えた能力を持つ者が大勢いると聞く。
 大岩を軽く持ち上げる豪の者もいれば、毒霧を撒き散らす者、剣を巧みに操る者もいれば、人の心をたぶらかし、自由自在に人を動かす者もいると聞く。そんな能力を持つ怪物相手に、たかが十歳の子供が立ち向かえるとでも思っているのだろうか?
 いいや、戦えやしない。
 十歳の那美とナギは、たやすく蒜壺の餌食になるだろう。
「ナギ、わたしもそうだけれど……わたしたちの力……そんなに強くないのよ」
 この時の、那美とナギの力は、まだまだ不安定で、とるに足らないものだった。喪間を倒せたのは、幸運以外の何物でもない。
「だから、姉さんとあたいが力を合わせて戦えば……」
「蒜壺を倒せるというの? 蒜壺は一人じゃあないのよ。喪間の場合、たまたま二人の力が一つの大きな力になったから、喪間を倒せたけど、今度、うまくゆくとは限らないわ」 
「那美の言うとおりだ。蒜壺の者と戦うなんて、馬鹿な考えをおこすんじゃあない。勝てると思っているのか? 喪間は力自慢の頭が悪い蒜壺。ただの使い走りに過ぎやしないのだぞ。使い走りの一人や二人を倒したところで、蒜壺一族に勝てると思っているのかい。……蒜壺の血が半分、流れているおまえたちは蒜壺の下に帰った方がいい」
 と、オババが言う。
「オババは、蒜壺のもとに帰れって言うのか」
 ナギは悲しそうな瞳をオババに向けた。
「洪暫との約束を果たすだけじゃ」
 オババは目をつぶった。
 現蒜壺の当主洪暫は、兄である前当主千寿を殺した時、千寿の子供たちである那美とナギを、その手で殺そうとした。その場にいたオババは、自分が責任をもって育て上げるから、命を奪わないでくれと洪暫に嘆願したのであった。
 年月が流れ、那美とナギは蒜壺一族特有の力を発揮するようになった。姿かたちは人間そのものだが、那美とナギは蒜壺の血が混じった怪物なのである。
 凄まじい力を見せるようになった那美とナギ。味方になれば、日中も活動できる蒜壺として大いなる力になるが、敵になれば、これ以上の脅威はない。蒜壺一族の当主である洪暫が、二人を放っとくわけがなかった。
「いまは、まだいい……。じゃがな、歳を重ね、おまえたちが成年になった時、村人はおまえらをどんな目でみると思う? 不思議な力を持つ現神人(あらがみびと)として、崇められるとでも思っているのかい?」
 オババは、目をつぶりながら言い続けた。
「いいや、おまえたちは人に疎外されるようになるか、利用されるだけ利用される存在になるだろうて……忌み嫌われ迫害されるかもしれんて」
「あたうらが迫害される! 石で追われるというの?」
「ああっ、人とはそういうものじゃて……。うわべでは仲良く付き合っているようでも、自分に持っていないものを持つ者を妬み、嫉妬して、やがては憎むようになる。おまえたちの力は、人がどんなに努力しても得られる力ではないのだからのう」
「村の人たちが、あたいらを憎むようになるっていうのかい? そんなこと信じられるか」
 ナギは拳を握りしめた。
 善良で、いつも笑顔を絶やさない村の人たちが、那美とナギに憎しみの目を向けるようになる……。
 十歳のナギにとって、理解できることではなかった。
「わたし……。わかるような気がする」
 那美が言った。
 那美は、村道をふさぐ大岩を、サイコキネシスを使って移動させたことがあった。大岩は前日の土砂降りの雨で、崖から道に落ちてきたものだった。男二人が大岩を村道から退かそうと、必死になっていたが、大岩はびくともしなかった。見かねた那美が、サイコキネシスで大岩を退かすと、二人の男は、那美に悪態をついたのだった。
「ふん、化け物が……。よけいなことをしやがって」
 男たちは、那美に一瞥を送ると、肩を怒らして去っていった。
 那美には、普段優しい男たちが、なぜ怒ったのか理解できなかった。那美の使ったサイコキネシスが、力自慢の男たちのプライドを傷つけたとは、思ってもみなかった……。
「オババは蒜壺の下に帰れというけれど、姉さん……。姉さんは、蒜壺と一緒に暮らせるの?」
 ナギが言う。
「あたいは嫌よ。たとえ、あたいの体の中に蒜壺の血が半分流れていようと、人としてここで生きるわよ」
「いいや、おまえたちは、人としてここでは生きられない。おまえたち二人が人として生きてゆこうとしても、村人はお、おまえたちを必ず憎むようになる」
「だから、なんで村の人たちがあたいらを憎むようになるんだよう。あたいにはわからねえわよ」
 ナギは頭を振った。
「ナギよ。おまえたちを迎えに蒜壺の者が、またここにやってくる。やってきた蒜壺の者は村人を襲い、人肉を食らうだろう。おまえたちがここにいる限り、その悲劇はくりかえされるのだよ」
「蒜壺が村人を襲う前に、やっつければいいじゃあないか」
「村人を襲う前に、やっつける? そんなことができると思っているのかい?」
「やっつけるさ。姉さん、二人で戦おうよ。力なんか使わないなんて言わないでさ」
 ナギが那美の肩を揺すった。
「わたしは、もうこの力を使いたくないの」
「じゃあ、あたい一人で蒜壺と戦えっていうのかい」
「そんなこと言ってない……」
「戦わず、蒜壺の下に帰れっていうことは、人の肉を食えっていうことだよ。村の人たちを敵に回すの?」
「村の人たちを敵にまわすなんて……」
「だろう。じゃああたいと一緒に……」
 ナギは那美の手を握りしめた。
「ナギ、わがまま言わずに蒜壺の下に帰れ。次の使者が来たら、一緒に蒜壺の下に帰れ。でないと、また犠牲者が出る」
 オババが言う。
「だから、犠牲者を出さないように……」
 ナギは、オババの言うことを聞き入れなかった。
「わからぬのか!」
 オババは、化身を解き、大蛇の蒜壺になった。
「わしも蒜壺と人の間に生まれた者だ。おまえらと違って、わしは蒜壺の血が濃い。それゆえ、人の肉を食べなくては狂ってしまう……」
「オババ……」
 那美は、大蛇の姿になったオババを見つめた。
「幸い、わしは他の蒜壺と違って、一年に一回だけ人の肉を食うだけで済むがのう……。それでも、わしにとって、人の肉を食べることは辛いことだった……。人の肉を食べなくとも狂うことがないおまえら二人を、どんなに羨んだことか……」
「オババ……。オババは人の肉を食ったのか?」
 ナギが言う。
「食べなけりゃ、気が狂ってしまう」
「嘘だ! 嘘だ、嘘だっー オババが人の肉を食べただなんて……」
 ナギの心に鉄槌が打たれた。心が空洞になったナギは、そのまま外に出て行ったのであった。

 再び、組織AHO研究施設屋上にて。
「あの時のあなたは、人を愛していた。愛しているゆえに、人肉を食していたオババを許すことができなかった」
 那美が言った。
「だから、そんな昔のことを言われても困るわ。人を愛していた? 人肉を食べたオババを許すことができなかった? 笑わせるなよ。ちゃんちゃらおかしいわよ。姉さんは全然変わっていないわ。何百年生きようとも、人間ていうものを知らない甘ちゃん」
「私は……」 
 那美は、ナギを睨みつけた。
〈那美さまは、蒜壺一族にかけられている呪いを解こうとしているのです。人肉を食さなければ狂うという呪いを。人の肉を食さなければ、蒜壺とて、人を襲わないはず〉
 呂騎がテレパシーをナギに送った。
「蒜壺一族生誕よりかけられている呪いを解く? どうやって?」
 と、ナギが言う。
「姉さん、人の肉を食べてみて、わかったことがあるのよ。人の肉っておいしいわよ。わたしは毎日でも食べれるわ」
「ナギ、あなたっていう人は!」
 那美は、光破剣を構えなおした。


                   
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