モテたかったが、こうじゃない 魔力ゼロになったおれは、あらゆるスパダリを魅了する愛され体質になってしまった

三ツ葉なん

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web版設定第二章

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「私の知ってる『この恋2』は、前作のヒロイン『ノエル』が学園でトワイス王太子と恋仲になって婚約。卒業後は王宮に移り住んで王妃になるための教育を受けるの。そして前作から2年後、ノエルの弟で今作の主人公『マロンくん』が学園を卒業して、姉ノエルを傍で支えようと王宮に勤めるところから物語が始まるわ」

学園っていうのはたぶん、レイヴァン様とアレクが通ってるところだよな?

そこで王太子殿下は、アイリーン様じゃなくてヒロインのノエルさんと婚約する。

前にお茶会でアイリーン様が言ってた『トワイスの運命を変えてしまった』って、もしかして、これのこと……?

待って、さっきアイリーン様は『生き残った影響』って言ってた。
聖女さんもアイリーン様は『悪霊』で出てくるって。

聖女さんの知ってる通りの未来だったら、アイリーン様は死んでる。

それを、今のアイリーン様は自力で回避した。
聖女さんと同じ、げーむの知識を駆使して、自分の死ぬ運命を変えたんだ。

――トワイス王太子殿下とノエルさんの運命を変えることで。

お茶会でのアイリーン様の言葉がどんどん理解できていく。

おれがまだフェロモンに振り回されて、レイヴァン様達の好意に罪悪感を感じて、その苛立ちをアイリーン様にぶつけた。

『あんたに、いや誰にもおれの気持ちなんてわかんないよ……っ!』

『分かるわよ。私には』

あの時は、おれを落ち着かせるために合わせてくれたんだと思ってたけど、本当だったんだ。

『ただ平凡だった時の貴方ではもう無いのよ、わかってるんでしょ?受け入れなさい』

『全く違う人になってしまった感覚も、知らない世界に放り込まれた不安も、確実にある死の恐怖も』

『他人の運命を変えてしまう罪悪感も、私は知っている』

明るくてパワフルで押しの強い姿ばかりで想像できなかったけど、アイリーン様は魔法学園に入ったときに自分の死ぬ運命を思い出したって言ってた。

『マシロ君は死にたくない、周りには助けてくれる人達がいて、しかも率先して協力してくれる』

『幸せか不幸か、それを決めるのは貴方じゃない』

あれはきっと、アイリーン様が自分に言い聞かせていた言葉なのかもしれない。

背筋を伸ばし、自信に満ち溢れ、堂々としているアイリーン様を見る。

今の彼女は、自分で掴み取った未来を生きているんだ。

「そしてめくるめくBLストーリーが開幕するのね!ふふふっ、あの猫目の坊やが受けでごろにゃんされちゃうなんて、さすがに想像してなかったわ」

さっきまでの姿勢を崩し、口元を押さえて妖しく笑い出したアイリーン様に乾いた笑いが出る。

……本当に、楽しそうで何よりだ。

正面からアイリーン様の笑みを見た聖女さんが嫌な顔をした。

「だ、か、ら……っ!私のマロンくんで変な妄想しないでってば!全年齢だって言ってるでしょ」

「ごめんなさい、つい」

「たく、続けるわよ。王宮に勤めるようになっても、次期王妃である姉になかなか会えないマロンくんは王都の有名なお菓子屋でノエルの好物を買ってプレゼントすることにしたの。その時に路地で蹲るレイヴァンを見つけて、魔力暴走に巻き込まれて気を失う。起きたら王宮の医務室で、自分の魔力が半分になっていると告げられてショックを受けるの」

「え、半分?」

思わず驚きのあまり口を挟んでしまった。

おれの疑問に、聖女さんは少し怒った口調で言い返す。

「半分でも凄い量なのよ。マロンくんは元々4000も魔力があってエリートまっしぐらだったのに、半分の2000も減っちゃって凄く落ち込んでたんだから!スチルが!」

その内容にさらに衝撃を受ける。

確かに一気に2000も魔力が減ったらショックだろう。

だっておれなんて、そもそも基礎魔力からして2000も無かったんだから。

え?じゃあマロンくんは本当に魔力を他人から貰わなくても死なないってこと?
だって減ったって、まだ2000も魔力が残ってることになる。

基礎魔力が4000もあったら確かに勝ち組だ。
なんたって、自力で王宮に勤められるくらいなんだから、頭もさぞいいんだろう。

それが平均値の魔力量になったら……絶対嫌だと思う。

……もしかしてだけどさ、おれも2000分の魔力を吹き飛ばされたんだろうか。

で、おれの基礎魔力が2000もなかったから、残らずゼロになってしまった。とか。

もし、もしだよ?おれも基礎魔力が2000以上あったなら、最悪全部消し飛んでしまうことはなかったんじゃないだろうか。

おれが平均以下の魔力量しか持ってなかったから、男に抱かれて中出しされ、みんなから魔力を貰う羽目になってる、てこと?

……おれ、雑魚過ぎないか。

改めておれがレイヴァン様に駆け寄ったこと自体が、余計なことだったんじゃないかって気分になって虚しくなった。

ふと視線を感じてそっちを見る。

向かいの席に座っているカール様が、とてもいい笑顔をおれに向けていた。

……カール様も、おれの雑魚さに気がついてしまったようだ。

ちくしょう!せめて平均以上の魔力があれば、おれも男に掘られる未来を変えられたかもしれないのに……っ。

やっぱりこの世界は、魔力の少ないヤツに厳しい。




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