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炙りチーズ

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序章「夢の中」

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 いつの間にか、そこに居た、と言っても理解出来ないだろう。まず私も理解出来ていない

 体はフワフワと浮かんでいて不思議な感覚だ、なんか変な感じ。それに少し透けている。幽霊になった気分だ

 声が出ない、いや、出せないと言った方が良いか。さて、どうしたものかと私は考える

 実はこの夢を見るのは初めて、では無い。何度も見ている。両親が行方不明になった日からずっとだ。最初は焦っていたが、何度も見るおかげで慣れてしまったし。が夢である事も、目が覚めずとも分かるようになってしまった。

 そろそろこの夢が何なのか知りたい、所詮夢なのだからすぐに覚めるであろう。だがそれだとまた何も掴めずに終わってしまう。この夢は何なのか、何故何度も見てしまうのか、その謎を解明にするために我々調査隊はアマゾンの奥地へと向かった__



 …なんて事を考えてる場合じゃない! 思わず何処かで見付けたい文を思い出してしまった、現実の私が何時目を覚ますか分からない、早く解明しなければ!

 とりあえず走ろう、私は走り始める__浮いているから本当は走れてるのか分からないが__すると…

 


「一体どうするの?」


 声が聞こえた、聞き覚えのある声。この声は……


 おかあ、さん?


 何時の間にか、目の前には私の母親が立っていた。ユラユラと揺れる私の同じピンク色の長い髪、黄金の様に輝く綺麗な黄色の瞳。間違いない、お母さんだ。行方不明になった筈の母親、思わず私は駆け寄ろうとする。が、すぐに足を止めた

 いや違う、これは夢だ。現実じゃない。母さんは死んだんだ、父さんと一緒に死んだんだ……

 っていうか何故母さんがここに?


 「は未だ自分のを分かっていないのよ、いずれ警察が嗅ぎ付けてくるわ。そうなったらは……」


 …「あの子」と「力」の言葉に肩がピクッ、と反応する。この子…力…なんだ、あの子って誰だ? 私か? 

 駄目だ、考えれば考えるほど頭がごっちゃになる…


 「あぁ、分かっている……だからこうするしかないんだ」


 私は下げていた顔を上にあげる、するとそこには父さんが立っていた。父さんは優しい声で誰かに話し掛ける


 「良いかい? 『___』、父さん達はお仕事を行ってくる、だから『___』は叔母さんと一緒に暮らして欲しい」


 …誰だ? 誰を呼んだ? 恐らく名前を言ったはず、でも雑音ノイズが聞こえて良く聞き取れなかった


「……うん、良い子だ」


 そう言って父さんはを撫でる、三人とも幸せそうに笑っている。嫌な予感がしたから私は三人に近付く、もしかしたら…私以外の娘、または息子が居たのかも知れないと思ったから

 少しずつ近付く。やけに心臓の音が大きい、足も震えている…怖いのか? メンタル最強女の私が?

 …いやでも、流石に怖いな。知りたくもない真実を知るかもしれないんだから

 三人のすぐ傍に来ると子供が見えてきた。母さんと同じピンク色の髪、父さんと同じ赤い瞳………心臓の音が更に大きくなってきた、汗もダラダラと流れる

 そこに居たのは、紛れもない…


「それとな、一つ約束してくれ。この先、自分の身体の何処かに謎の魔法陣が出るかもしれない、だけどな、絶対にその魔法陣を誰かに見せちゃ駄目だ。良いな?」



「…うん、分かった!」


 __私だった




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