魔法部へようこそ!

炙りチーズ

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第一章

第二話「完璧美少女」

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 「ふっふん~♪」


 鼻歌を歌いながら私はスキップして学校に向かう

 いやはや、こんなにも気分が良いのは久しぶりだ、やはり「新しい」という言葉は良い言葉だな

 しばらくすると後ろから足音が聞こえてきた、振り返るとこっちに向かってくる女の子が一人


 「ふーちゃ~ん!」

 「おはよう花巻さん」


 彼女は「おはようふーちゃん…!」と、息継ぎをしながらこちらと同じ言葉を返す

 この子の名前は花巻はなまき 友梨ゆり、小学校と中学校共に一緒だった幼馴染だ。髪は黒色のツインテールで、目の瞳は少し紫ががった青。しかもナイスバディ…な体をしていて何もかもが完璧な美少女だ


 「スキップしてる姿見えたよ、朝から元気だね」


 見られていたとは思わなかった、途端に顔が少し赤くなる


 「何言ってるんですか、寮生活ですよ? ワクワクするじゃないですか!」
 
 「確かに、ワクワクするね」


 そう言って花巻さんは微笑む。しかしそれも一瞬で、すぐにムッとした顔を浮かべる


 「ふーちゃん、いい加減「花巻さん」って呼び方と敬語辞めてよ。同い年だし、幼馴染なんだから」

 「癖なので」

 「直して」

 「多分直します」

 「多分じゃなくて絶対」

 「はい」

 
 もう何回もこの会話をしている、だが不思議とこの会話に飽きない


 「そういえばふーちゃん、部活何入るか決めた?」

 「まだですけど……」

 「じゃあさ、一緒に手芸部に入ろうよ!」


 花巻さんは私の手を自分の両手で挟みながらそう言った

 手芸か……花巻さんも一緒だし、悪くないかも


 「ふーちゃんお裁縫とか得意だし、ピッタリだよ!」


 ニコニコ顔をしながら花巻さんは私を褒める。花巻さん、最後に小さな声で「私はあんまりだけど……」って言ったの聞き逃さなかったぞ


 「じゃあ手芸部に入ろうか」

 「…うん!」


 私達がそんな話をしていると、チャイムが鳴る音が聞こえた。えっ、嘘もうそんな時間!?


 「ふーちゃん! 早く行こう!」

 「はい!」





    学校



 「ふぅ、何とか間に合った……」


 学習椅子に座りながら私は一息つく、するとHRホームルームが始まったようで、先生がプリントを配っていた

 前の席に座る男の子がこちらに紙を差し出す、はてさてなんじゃろな

 プリントには「部活」の文字が。なるほど、部活案内か


 「えーっと、手芸部手芸部……」


 手芸部と書かれた部分を見ると値段等が書かれていた、布は持参かぁ。布って何円なんだろう…お金がかかるのはなるべくしたくないんだよな…

 花巻さんには悪いけど断ろうかな…でもそんな事したら花巻さんをガッカリさせちゃうし…

 少し離れたところに座っている花巻さんをチラリと見ると女子や男子と喋っていた

 花巻さんはとても優しい、だからこそ男子や女子にモテている。聞き上手で褒め上手、しかもスタイルも良いし…うん、完璧美少女だ

 話しかけたいが正直に言うと人が沢山居るところにはなるべく入りたくない、それに花巻さんを悲しませたからクラス全員に何されるか分かったもんじゃない、


 「……少し、考えるかな」


 溜息をつき、授業が終わるのを私は待った






   放課後


「終わった~…!」


 ん~っ!、と私は伸びをする

 HRの時のようにまた花巻さんの方を見ると、花巻さんは帰る支度をしながらクラスメイトと喋っていた

 こりゃ一緒に帰るのは無理そうだな…

 私は帰る支度をササッと済まして教室を出た

 歩きながら今日のご飯はなんだろうと考えていた、その時、ある物が目に留まった







「…落し物?」

 

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