この星でいきぬく!

來帝

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秘密の話と死の擬装

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 ギルドを出ると私の顔は険しい表情になる――――
 一体何なのだこの感情は・・・・・。

「どうした?ダイチよ。急に怖い顔なんぞしおって。」
「ん・・・。ギルドってかさ、人って生き物はどの世界、どの時代になっても自分勝手な生き物なんだなって再認識しただけだ」
「ネリーここでは人目がある何処か話を聞かれない所は知らないか?」
「んーそれなら宿屋「安息の止まり木」がおススメよ。誰にも聞かれる心配はしなくていいわ」
「そうなのか、ありがとう」

 ネリーに教えて貰った「安息の止まり木」へと行き宿屋の主人リラに再会する。内密で皆に話がしたいことを伝えると地下室へと案内された。
 周りは防音魔法と魔法を遮断する結界が張り巡らされているとリラから安心して使いなっとニカっと笑いながら教えてくれた。チラッと鋭い牙が見えてびっくりしたのは内緒だ。
 全員が席に着き、まずはギルドのマスターとサブマスターから聞かされた内容を順を追って話していく。
 次第にラナの顔から笑顔がなくなり呆れと怒りの表情になり最後にはため息をつく。

「と言うことがあったんだ。ラナすまない・・・・・本当は討伐の話が出た時に断るつもりだったんだが今のラナの姿と正体を知られる危険度が高いと思って断りきれなかった。」
「気にするでない。逆によくぞ殴らなかったことに安心したわい。逆に要らぬ苦労をかけてすまぬな・・・・・」
「しかし、討伐に勇者一行まで参加する事態に悪化しているとは思いにもよりませんでしたね。いかがなさるつもりですか?ラナ様」
「そうじゃのぉ。・・・・・もう面倒ごとはほとほと嫌じゃ!!じゃが、我が居なくなったと・・・・・言うことにはできぬし。頭の上のたんこぶよ」
「八方塞がりですにゃぁー」

 逃げるに逃げたいがそれを許してくれない現実。皆であーだこーだとアイディアを出して模索してみるがどうしても退路が断たれてしまい最後には知恵熱を出すしまうことに。しかし、私はとある事を思い出し提案してみる。

「なぁ、ラナが人化してるのは幻術の類なのか?」
「何じゃ突然?」
「重要な事だから教えてくれ、頼む!」

 若干強めにお願いしてみると引かれてしまう私・・・・・・いやいや、これは大切なことだから何もやましいことは考えてない!断じて!!と心の中で呟いて冷静に対応するが。
 ラナは完全に白い目でこちらを見下している。っく・・・・・・・屈辱だが辛抱、辛抱。

「お、お主・・・・・どういうつもりじゃ。まさか!我のことをそういう目で見ていたのか!?ロロ、ネリーおぬしらも気を付けよ!」
「・・・・・暫くの間話しかけないでくれますか?ダイチ」
「ダイチ!!僕ならいざともかくロロ姉さまをそんな目でみるにゃー!」
「いやいや!!違うって!今真剣な話してる最中に変なこと考えないからね!?確かに三人共とても魅力的だけどさ、俺ってそんな目で見られてたの!?」
「「「違うの!?」」」

 三人揃って俺の評価がどんなものなのか知らされるとは思いにもよらなかった・・・。
すげー落ち込む所だろうが左から右へ抜けるようにスルーして気持ちを切り替えようとするが。

「我を魅力的と言うたな、どんなところがお主的によいのじゃ?言うてみよ」
「ラナ様の言う通りよー。魅力的なんて曖昧な言葉じゃなくてちゃんと言ってみなさいよ!」
「ロロ姉さま!? ええっと・・・・・・僕のよいところを言ってみて!!」
「ええ!?何でそうなるの!!」

 あれ?今って討伐をどうするかを話あってたはずでは??なぜ、こうなったし!!と思いながらアタフタする。
 ここまで普通言われたら好意の1つも感じとるのだろうがそこは主人公、朴念仁である。まぁ大抵は遊ばれている可能性が高い。ニヤニヤと悪戯っ子のように笑いながら私をいじってくるラナ、それに乗るロロ。
 ネリーお前は純粋なままでいてくれ・・・・・。

「おほん!遊ぶのはそのくらいでいいだろ。で、どうなんだ?魔法に関してはサッパリ素人なんだ。」
「っち。我の変身はまやかしや幻術といった類のものではない。れっきとした変身魔法じゃ。簡単にいうと龍の状態から人の形へ構造を変えておるだけじゃ。その気になれば人の形を保ったまま龍技を使うことも可能。じゃが、それがどうしたのいうのじゃ?」
「うむ、実はなラナの死を擬装しようかと思っているんだ。VSEが落ちた半径700mはクレーターができたままだ。VSEの光学迷彩の出力とホログラムの投影機能を改造して拡張してやれば一時に敵の目を欺けると思うんだ」
「え、それってどういうことにゃ??死を擬装するのは容易ではないはずにゃ。幻術魔法を使えば痕跡は残るだろうし」

 これが科学を知る者と知らざる者のギャップであろう。もっとかみ砕いて説明することに。

「んとな、宇宙戦艦の一部にはAR(現実拡張)っていう技術が使われているんだ。そのARに擬似的に質量を持たせたのがホログラム技術になるんだ。そして、光学迷彩ってのは光の屈折をなくしてその場に質量はあるけど見えなくする技術のことを言うんだ。今回はこの2つを組み合わせてラナの等身大の死骸を作りながらもVSEを隠そうという作戦さ!魔法の痕跡も残らないぜ」
「「「・・・・・・よくわかんない」」」
「がっでーーーーむ!」
「よくはわからぬがそれで敵の目を欺いて尚且つ我は自由になれるということでよいのかの?」
「んー、まぁその認識であってる。だがな、現実味がもう少し欲しいんだ。ドラゴンが死んだ後って何か残ったりしないのか?」
「そうじゃなぁー大型のドラゴンとなれば死臭に瘴気が残るかのぉ」
「そうですね、瘴気は死骸一帯に留まって周りへ悪影響を及ぼしますのでドラゴンの死骸を見つけたら即焼却していますね」

 ロロが補足で教えてくれたドラゴンの死臭に瘴気・・・・・使えそうな気がする。更に話を詰めることにしよう。
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