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第三章 三件目 異世界への転移、転生希望者へ一言
落ち着いたあと
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毎朝、ななの仕事の手伝いがあるかどうかを確認するために異駒清水神社に行くのが日課になっている。
が、それが無理な期間はある。
盆と年末だ。
盆は檀家の家々を読経して回って歩く。
年末は、年末と年始の準備で忙しい。
年始はむしろ暇が多い。
暇な期間について語るのはともかく、その忙しいお盆の時期は流石に神社に行く余裕がない。
準備や後片付けなどがあるため、一週間ほど休みをもらった。
勿論雷鳴や携帯の呼び出しも休みということして、ななと接触できたのはお盆が終わって、その関連した事務仕事も落ち着いてからだった。
「うぉーっす……、ななー……。元気だったかー……」
元気でなかったら数々の世界はどうなるだろう?
まぁ俺が心配することでもないか?
今は他人……じゃなくて女神の体長なんぞを気にするどころじゃない。
落ち着いたのはあくまでも仕事上のこと。自分の体調を崩さないようにするのが精一杯。
二十代の頃のように、すぐに疲労が体から抜けてくれない。
だが今は、やらなければいけない仕事は全て済ませた。
孤軍奮闘の場面は多々ある。
盆の期間中の檀家廻りもそうだが、雪の季節での境内の雪かきもそう。
一人で、一人きりで、最後まで夢中にはなれない仕事をするときはつらいものだ。
ななもおそらくそうではないだろうか、と思ったら、ハードな期間が終わったこともあり、気持ちは日常のリズムに戻ったようで、足は神社に向かっていた。
「おー、南、お疲れ。忙しかったみたいねー」
ななの住まいは相変わらず。
ななは面接の予定もなさそうで、いつものように居間でポツンと一人。
俺の方に一瞬目を向けた後、再び鏡を見ながら声をかけてきた。
「ちょっとやつれた? しっかり食べないと食べないとダメよー?」
「十四日からの三日間はまともに飯は食ってなかったからなー。まあお腹が少しでも凹んでくれりゃ、逆に健康体になれそうな気がするんだが」
俺の体を気にかけてくれるのは、意外と喜びたくなるくらいの有り難さを感じる。
世界を作り、その世界での生活に適した体を持つ生物が繁栄するように生態系も作ってるんだろう。
だがその世界でななが快適に生活できるかどうかまでは分からない。
実際これまで俺が関わった件で訪問した世界からのななへの待遇は、ななは案件解決のために活動しやすいとは決して言えなかったから。
それに生活習慣の違いもある。
日本の習慣の一つに、三度の食事ってのがある。もっとも誰もがその習慣を守ることが出来るかどうかは不明だが。
しかしななは人間じゃない。自称……まぁ認めてやってもいいが、女神だ。
その女神が食事を必要としているとは考えづらい。
つまり、自分にそんな習慣はないし関心もないが、深く関わっている俺に心配をしてくれるということにうれしさを感じる。
家族、親族がいなくなったせいもあるんだろうな。
だが今の時点の俺には、我が身のことよりも気になることがある。
「で、俺が付き添った異世界転移したあの子供はどうなった?」
「んー……。個人を注視するってこと、あまりしないのよねー」
オイこら女神。
転生や転移先での希望を聞き取ってその願い叶えといて何だその投げ槍は。
「面談面接した人の数は多いからさ。それにあとは本人の意志がその先でも維持してるかどうかってのがまず第一だからね。こっちはその人の希望に沿うようにお膳立てした上で転移や転生させたわけだから、その後のことは当人の責任ってわけ」
「じゃあその鏡でお前は何を見てるんだよ?」
「決まってるじゃない。私が作った世界を見てるんだよ。その世界は維持されてるかどうか。存亡にかかわる問題を、住人たちがやらかしてないかどうかってね」
そりゃそうか。
こいつが数多くの世界を作ったってことは、その世界の制作責任者ってことなんだから。
「じゃああいつの希望に沿って転移した世界の具合はどうなってる? と聞いた方が聞き取りやすいかな」
人間と魔族との争いがあって、魔族同士でも権力争いしてそうな、平和には程遠い状況のようだった。
望み通りの人生を送っていれば、今回はほとんど苦労してないがそれでも労力は報われる気分にはなる。
そう言えば今回は、折り紙の能力は使ってなかったな。
不完全燃焼みたいな感じがするのはそのせいか?
「不確定な期間は飛ばしてみてるけど順調ね。周りの魔物達がしっかりと教育してた。ちなみに仕返ししたい相手は全員もう転移済み。出会うのはまだ先みたいだけどね」
ななの話によれば、そいつらは全員天寿を全うしたらしい。
で、面談はせずに音声のみで一方的に転移させるをことを伝え、希望する年齢を聞いてその年齢で転移させたんだそうだ。
「みんな十代前半って希望してた。あの子とほぼ同じ年齢ね。だから向こうの世界では年の差は現れるけど、どちらも前世の記憶は持ってるってこと。容姿は前世と一致してるわけじゃないけど、会えばすぐ分かると思うよ?」
因果応報か。
奪われた権利は戦って取り戻せ。
そんな言葉を聞いたのは、確か何かの映画のセリフだったか。
その権利はその世界にいるうちに取り戻すのが最善とは思うが、ななの視野は広すぎるんだろうな。
まぁ俺の今の立場では、特に口出しできるものでもない。
せいぜい今回の報酬はどうなるか、くらいなもんだろう。
「なぁ、なな」
「ん? なぁに? 南」
ななに聞くのもおかしな話だが、他に聞く相手もいない。
「俺、お前の姿を見ることが出来て、会話もすることが出来る。そんな練習した覚えとかはないから、いつかこの力なくすこともあるかもしれんけど」
「いきなり考えたくない話するわね。それで?」
やはりなな自身にも、俺のこの力をどうこうすることは出来ないようだ。
けど、興味半分って訳ではないし、この力を持ち続ける限りななの仕事の手伝いを続けたいってのは本音だ。たとえバイト料がおいしいという動機が邪心と思われたとしても。
「その鏡、お前はずっと見てるけど、俺も見たらだめかなって。二人で見るには小さいから、もう少し大きくしてくれないかなー……って思ったんだけど」
それに、動機はそれ一つだけじゃない。
一人きりって、何かと……大変なことが多いしな。
「んー……まぁ手伝ってもらってるからある程度の情報は共有した方がいいかもね。うん、も少し大きい鏡作ってみよっか」
世界間ではいろんな縁でつながっている。
それを作るのは住人達だが、いい縁も悪い縁も、維持したい思いを大切にしようとする者がいる。
いい縁も悪い縁も、それを止めたいと思う者もいる。
彼女はその思いを、該当する者の来世にも続けようとしているだけ。
なな自身は特に何の思い入れもなく。
世界の内部に干渉することはあるが、基本的にはそれをただ一人で淡々と続けていく。
ななですら分からない俺のこの力。いつまで続くかはそれこそ誰にも分からないってことだ。
女神だって、結べるとは思えなかった縁を結べたんだ。その縁をさらに強くしたいと思わなくもないだろうよ。
この力が続く限り、協力に前向きになっても嫌がることはないだろう。
「何よ、南。ニヤニヤして」
「新しい友達が一人できた。そんな気がしちまっただけ」
「……そんなの、最初からじゃない。そう思ってないのはそっちだったってことでしょ? 友達甲斐がないわねー」
女神様からそんなことを言われるのは、光栄なんだろうなやっぱり。
が、それが無理な期間はある。
盆と年末だ。
盆は檀家の家々を読経して回って歩く。
年末は、年末と年始の準備で忙しい。
年始はむしろ暇が多い。
暇な期間について語るのはともかく、その忙しいお盆の時期は流石に神社に行く余裕がない。
準備や後片付けなどがあるため、一週間ほど休みをもらった。
勿論雷鳴や携帯の呼び出しも休みということして、ななと接触できたのはお盆が終わって、その関連した事務仕事も落ち着いてからだった。
「うぉーっす……、ななー……。元気だったかー……」
元気でなかったら数々の世界はどうなるだろう?
まぁ俺が心配することでもないか?
今は他人……じゃなくて女神の体長なんぞを気にするどころじゃない。
落ち着いたのはあくまでも仕事上のこと。自分の体調を崩さないようにするのが精一杯。
二十代の頃のように、すぐに疲労が体から抜けてくれない。
だが今は、やらなければいけない仕事は全て済ませた。
孤軍奮闘の場面は多々ある。
盆の期間中の檀家廻りもそうだが、雪の季節での境内の雪かきもそう。
一人で、一人きりで、最後まで夢中にはなれない仕事をするときはつらいものだ。
ななもおそらくそうではないだろうか、と思ったら、ハードな期間が終わったこともあり、気持ちは日常のリズムに戻ったようで、足は神社に向かっていた。
「おー、南、お疲れ。忙しかったみたいねー」
ななの住まいは相変わらず。
ななは面接の予定もなさそうで、いつものように居間でポツンと一人。
俺の方に一瞬目を向けた後、再び鏡を見ながら声をかけてきた。
「ちょっとやつれた? しっかり食べないと食べないとダメよー?」
「十四日からの三日間はまともに飯は食ってなかったからなー。まあお腹が少しでも凹んでくれりゃ、逆に健康体になれそうな気がするんだが」
俺の体を気にかけてくれるのは、意外と喜びたくなるくらいの有り難さを感じる。
世界を作り、その世界での生活に適した体を持つ生物が繁栄するように生態系も作ってるんだろう。
だがその世界でななが快適に生活できるかどうかまでは分からない。
実際これまで俺が関わった件で訪問した世界からのななへの待遇は、ななは案件解決のために活動しやすいとは決して言えなかったから。
それに生活習慣の違いもある。
日本の習慣の一つに、三度の食事ってのがある。もっとも誰もがその習慣を守ることが出来るかどうかは不明だが。
しかしななは人間じゃない。自称……まぁ認めてやってもいいが、女神だ。
その女神が食事を必要としているとは考えづらい。
つまり、自分にそんな習慣はないし関心もないが、深く関わっている俺に心配をしてくれるということにうれしさを感じる。
家族、親族がいなくなったせいもあるんだろうな。
だが今の時点の俺には、我が身のことよりも気になることがある。
「で、俺が付き添った異世界転移したあの子供はどうなった?」
「んー……。個人を注視するってこと、あまりしないのよねー」
オイこら女神。
転生や転移先での希望を聞き取ってその願い叶えといて何だその投げ槍は。
「面談面接した人の数は多いからさ。それにあとは本人の意志がその先でも維持してるかどうかってのがまず第一だからね。こっちはその人の希望に沿うようにお膳立てした上で転移や転生させたわけだから、その後のことは当人の責任ってわけ」
「じゃあその鏡でお前は何を見てるんだよ?」
「決まってるじゃない。私が作った世界を見てるんだよ。その世界は維持されてるかどうか。存亡にかかわる問題を、住人たちがやらかしてないかどうかってね」
そりゃそうか。
こいつが数多くの世界を作ったってことは、その世界の制作責任者ってことなんだから。
「じゃああいつの希望に沿って転移した世界の具合はどうなってる? と聞いた方が聞き取りやすいかな」
人間と魔族との争いがあって、魔族同士でも権力争いしてそうな、平和には程遠い状況のようだった。
望み通りの人生を送っていれば、今回はほとんど苦労してないがそれでも労力は報われる気分にはなる。
そう言えば今回は、折り紙の能力は使ってなかったな。
不完全燃焼みたいな感じがするのはそのせいか?
「不確定な期間は飛ばしてみてるけど順調ね。周りの魔物達がしっかりと教育してた。ちなみに仕返ししたい相手は全員もう転移済み。出会うのはまだ先みたいだけどね」
ななの話によれば、そいつらは全員天寿を全うしたらしい。
で、面談はせずに音声のみで一方的に転移させるをことを伝え、希望する年齢を聞いてその年齢で転移させたんだそうだ。
「みんな十代前半って希望してた。あの子とほぼ同じ年齢ね。だから向こうの世界では年の差は現れるけど、どちらも前世の記憶は持ってるってこと。容姿は前世と一致してるわけじゃないけど、会えばすぐ分かると思うよ?」
因果応報か。
奪われた権利は戦って取り戻せ。
そんな言葉を聞いたのは、確か何かの映画のセリフだったか。
その権利はその世界にいるうちに取り戻すのが最善とは思うが、ななの視野は広すぎるんだろうな。
まぁ俺の今の立場では、特に口出しできるものでもない。
せいぜい今回の報酬はどうなるか、くらいなもんだろう。
「なぁ、なな」
「ん? なぁに? 南」
ななに聞くのもおかしな話だが、他に聞く相手もいない。
「俺、お前の姿を見ることが出来て、会話もすることが出来る。そんな練習した覚えとかはないから、いつかこの力なくすこともあるかもしれんけど」
「いきなり考えたくない話するわね。それで?」
やはりなな自身にも、俺のこの力をどうこうすることは出来ないようだ。
けど、興味半分って訳ではないし、この力を持ち続ける限りななの仕事の手伝いを続けたいってのは本音だ。たとえバイト料がおいしいという動機が邪心と思われたとしても。
「その鏡、お前はずっと見てるけど、俺も見たらだめかなって。二人で見るには小さいから、もう少し大きくしてくれないかなー……って思ったんだけど」
それに、動機はそれ一つだけじゃない。
一人きりって、何かと……大変なことが多いしな。
「んー……まぁ手伝ってもらってるからある程度の情報は共有した方がいいかもね。うん、も少し大きい鏡作ってみよっか」
世界間ではいろんな縁でつながっている。
それを作るのは住人達だが、いい縁も悪い縁も、維持したい思いを大切にしようとする者がいる。
いい縁も悪い縁も、それを止めたいと思う者もいる。
彼女はその思いを、該当する者の来世にも続けようとしているだけ。
なな自身は特に何の思い入れもなく。
世界の内部に干渉することはあるが、基本的にはそれをただ一人で淡々と続けていく。
ななですら分からない俺のこの力。いつまで続くかはそれこそ誰にも分からないってことだ。
女神だって、結べるとは思えなかった縁を結べたんだ。その縁をさらに強くしたいと思わなくもないだろうよ。
この力が続く限り、協力に前向きになっても嫌がることはないだろう。
「何よ、南。ニヤニヤして」
「新しい友達が一人できた。そんな気がしちまっただけ」
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