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第三章 三件目 異世界への転移、転生希望者へ一言
女神 という職業
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ななと顔を合わせたのは何年かぶり。
そんな勘違いをしてしまいそうな今回の仕事。
「……のど元過ぎれば熱さを忘れるっつーけど、正直言えば忘れたいんだが、繰り返したくはないんだよな」
「何のこと?」
あ、あのことね、と言ってほしかった。
察してほしかったが、やはり言わないと伝わらないよなぁ。
と言うか、一から説明するのが面倒くさい。
「付き添ってた奴さ、最初から魔王に就きたかったらしかった」
「え?! そうだったの?!」
やっぱり分かってなかった。
「それと転移と転生のこと、俺が考える常識めいたことを説明したら相当気落ちしてたぞ?」
「何それ?」
いや、何それじゃねーだろうよ。
「俺の世界じゃ、前世の記憶を持って生まれる奴なんていやしねぇ」
たまにそんな話を聞いたりするが、本当かどうかは分からねぇ。
「それに転移するより普通に生まれた方が、人脈は作りやすい。いくら前世の記憶や知恵を持ったまま別の世界で新たに人生をやり直すっつっても、一からやり直した方がトータル的に見てマシだって感じだったぞ?」
「本人が望んだのよね。軽くは説明したげたけど、前世でいじめられて死んじゃったから来世ではその恨みを晴らしたいって。ならその記憶は持ってた方が良くない?」
恨みを晴らすって、誰かにいじめられた恨みを赤の他人で晴らすってのか?
理不尽この上ないな。
「やられたらそいつにやり返さないと意味ないだろう」
「うん。だからいじめた人達を、自分が魔王になった世界に転移か転生させろっていうお願いもされたの」
うわぁ……。
ってことは、いくら来世に期待や希望をしても、そんな奴の欲望に無理やり巻き込まれるってわけか。
業以外の何者でもないな……。
「結構そんなことを願う人の数、いるわよ? 死なばもろともとか、地獄に引きずり込んでやるとか」
人の心の闇を告白されっぱなしかよこいつ……。
よく染まらないな……。
「だから面接、面談を必要とする相手はいるけど、しなくてもいい相手もいるってわけ。面談するだけ無駄だから」
そりゃそうだ。
願い事を散々聞いて、それを全否定してすべて打ち明けたら、来世への期待が絶望に変わるわけだからな。
前世の記憶はないだろうが、もしあったら生まれた直後から絶望に浸るって、この上ない拷問だろ、それ。
「でもその前からの因縁もあってね」
まだあるのかよ。
「その両者の前世ではあの子が加害者になってて、その罪を償いたいって。それで転生を望んだのよね」
「え? ってことは加害者だったその生の記憶は……」
「当然ないわね。だから罪を償うという意味では悪くはないんだけど……」
ややこしすぎる。
頭痛くなってきた。
「でもとりあえず、その生で弱い立場の人の話を優先して聞くことにしてる。そんな人生を送った人には私の方にも理由がある場合があるからね」
世界を数多く作ったこいつ。
全ての世界の住人のことを全員の事情をすべて知ってるのか?
だとしたら、その記憶力、化け物レベルだぞ?
いや、化け物よりもすごい神なんだろうけど。
「あはは、全員のことは知らないよ。ただ、縁のことは覚えてなきゃね」
「縁?」
「んと、今回の場合は、あの子といじめっ子たちみたいな、来世にも繋がる縁。繋がってる縁や繋がりそうな縁は覚えておかないといけないよね。でも切れて消えてしまう縁もある」
来世からは決して繋がることのない縁か。
それはそれで少し寂しい気がするが。
「でも新たに生まれる縁もあるのよね。何の兆しもなく」
「どういうことだ?」
「例えば、またあの子を例に出すけど、エキドナと出会ったでしょ? 女性の上半身の裸と、下半身は大蛇の魔物よ」
なんだよこいつ。
俺らのこと見てたのか?
だったらあいつのこと、もっと気配りしてやれよ。
「あの大蛇、転生前は『将来この世界を支配する魔王の教育係やってみたい』なんて言ってたからね。だから彼女には転移じゃなくて転生させたんだけど」
「教育係になるためには、教育する内容を身に着けてもらわなきゃそんな役目は出来ないということか」
「それもあるし、彼女の転生前の知識や知恵すべてがあの世界で役に立つわけじゃなかったし、そんなものがあの子の役に立つわけでもなかったから」
無駄なものを持ってること自体ややこしい事態を引き起こしかねない、ということか。
そういう配慮はしっかりしてたんだな。
「それに彼女のあの子、今まですれ違ったことすらない無縁の関係だったのよね。こうして新しい縁も生まれるってわけ」
「人と人との巡り合わせを司る女神なな、ってわけか」
「そうよ? すごいでしょ」
ああ、すごいことを人間の想像を超える長い年月を続けてきたのは十分わかった。
だがドヤ顔は余計だ、うん。
「それと、世界で繰り広げられる物語は一つだけじゃないってことも覚えておく必要があるのよね」
またややこしいことを言い出した。
神様の思考に追いついて行けそうにない。
「いくつもドラマがある、みたいなこと言いそうだな」
「みたいなこと、じゃないわよ。起こす予定、起こしてはならない事、そういうことも覚えておかなきゃいけないの」
全知全能の神とはよく言ったものだが、何でも知ってるってのは俺らが住んでいる世界のことじゃなくて、自分で創ったすべての世界の因果関係か?
ななってば、俺が思ってるよりかなり配慮できるやつだったのか?
「例えばあの子はこれから魔王になろうとするでしょ? で、新たに、魔王を倒す勇者になりたいって子が面接に来たとする。その世界に勇者希望者を転生とか転移させたらどうなると思う?」
そんなことを聞かれてもだな。
魔王になる前なんだから魔王討伐しようにも討伐する対象がいない。
空回りの勇者ってことか?
「あいつが魔王になるまでに、勇者になるための修行が出来る……かな?」
「南ってば忘れん坊さん? あ、お坊さんだからあながち間違っちゃいないか」
誰がうまいことを言えと。
「それを言うなら甘えん坊とか慌てん坊とか、際限ねぇじゃねぇか。で、何を忘れてるってんだ」
「虐めてた子に仕返しするって言ってたでしょ。しかも前世の記憶持ってる。あの子が魔王になってから、虐めてた子を転移させて仕返しさせる。その前に無関係な勇者希望者をあの世界に送り込んだらどうなると思う?」
うわぁ……。
ななにも恨みがやってきそうだな。
「ようやく恨みを晴らせる時が来たってときに、自分の天敵がやって来て、仕返しする相手を守った上に逆にさらにこっぴどくやられる……。希望を叶えてくれるって言ってくれた女神は俺に嘘をついた、と」
「そういうこと。だからあの世界には、しばらくは勇者希望者は転移や転生はさせられないってこと」
そういうことを考える必要がある世界は……あそこ一つだけじゃないんだろうな。
待てよ? ということは逆も成り立つってことか?
「じゃあ、魔王の手伝いをしたい、魔王に仕えたいって希望を持つ者は……」
「いい所に気がついたねー。そう、そういう希望者にはそこに転生、転移させることができるってこと。だから魔王が支配する世界になるだろうから、一般人になって幸せに生活したいって人にも不向きね」
あの世界、魔族希望者以外は不人気じゃねーか。
「それじゃそのうち一般人いなくなるな」
「魔族が一般人になるってことだからその心配は無用よ。それにあの子と同じ目的を持つ子と対象者なら転生、転移は問題ないし、魔物討伐だけをしたいって言う希望者も問題ないわね」
一つの世界のことなら、俺でも出来なくはなさそうだ。
だがその世界に転生したり転移したりする者はどこからやって来るのか。
当然別の世界からだろう。
そうなると、その別世界の背景や出来事も把握しなければならない。
……どんな頭をしてるんだこいつは。
俺にはとても無理。
俺が雑学が好きな理由は、それが何かの役に立ったり、誰かとの会話で話題に上がったときに、会話が盛り上がるのが面白いから好きなのだ。
あの世界とこの世界とでは……などと言う知識は、誰にどんな役に立つというのだ。
誰とも交流もせず、黙々と自分の仕事を、一方的にこぼす希望を聞き届けてこなしてきたんだろうか。
好きでしてきた仕事なんだろうが、それでもななの思いは計り知れない。
まぁこっちは、たかが人間だから当然かもしれないが。
そんな勘違いをしてしまいそうな今回の仕事。
「……のど元過ぎれば熱さを忘れるっつーけど、正直言えば忘れたいんだが、繰り返したくはないんだよな」
「何のこと?」
あ、あのことね、と言ってほしかった。
察してほしかったが、やはり言わないと伝わらないよなぁ。
と言うか、一から説明するのが面倒くさい。
「付き添ってた奴さ、最初から魔王に就きたかったらしかった」
「え?! そうだったの?!」
やっぱり分かってなかった。
「それと転移と転生のこと、俺が考える常識めいたことを説明したら相当気落ちしてたぞ?」
「何それ?」
いや、何それじゃねーだろうよ。
「俺の世界じゃ、前世の記憶を持って生まれる奴なんていやしねぇ」
たまにそんな話を聞いたりするが、本当かどうかは分からねぇ。
「それに転移するより普通に生まれた方が、人脈は作りやすい。いくら前世の記憶や知恵を持ったまま別の世界で新たに人生をやり直すっつっても、一からやり直した方がトータル的に見てマシだって感じだったぞ?」
「本人が望んだのよね。軽くは説明したげたけど、前世でいじめられて死んじゃったから来世ではその恨みを晴らしたいって。ならその記憶は持ってた方が良くない?」
恨みを晴らすって、誰かにいじめられた恨みを赤の他人で晴らすってのか?
理不尽この上ないな。
「やられたらそいつにやり返さないと意味ないだろう」
「うん。だからいじめた人達を、自分が魔王になった世界に転移か転生させろっていうお願いもされたの」
うわぁ……。
ってことは、いくら来世に期待や希望をしても、そんな奴の欲望に無理やり巻き込まれるってわけか。
業以外の何者でもないな……。
「結構そんなことを願う人の数、いるわよ? 死なばもろともとか、地獄に引きずり込んでやるとか」
人の心の闇を告白されっぱなしかよこいつ……。
よく染まらないな……。
「だから面接、面談を必要とする相手はいるけど、しなくてもいい相手もいるってわけ。面談するだけ無駄だから」
そりゃそうだ。
願い事を散々聞いて、それを全否定してすべて打ち明けたら、来世への期待が絶望に変わるわけだからな。
前世の記憶はないだろうが、もしあったら生まれた直後から絶望に浸るって、この上ない拷問だろ、それ。
「でもその前からの因縁もあってね」
まだあるのかよ。
「その両者の前世ではあの子が加害者になってて、その罪を償いたいって。それで転生を望んだのよね」
「え? ってことは加害者だったその生の記憶は……」
「当然ないわね。だから罪を償うという意味では悪くはないんだけど……」
ややこしすぎる。
頭痛くなってきた。
「でもとりあえず、その生で弱い立場の人の話を優先して聞くことにしてる。そんな人生を送った人には私の方にも理由がある場合があるからね」
世界を数多く作ったこいつ。
全ての世界の住人のことを全員の事情をすべて知ってるのか?
だとしたら、その記憶力、化け物レベルだぞ?
いや、化け物よりもすごい神なんだろうけど。
「あはは、全員のことは知らないよ。ただ、縁のことは覚えてなきゃね」
「縁?」
「んと、今回の場合は、あの子といじめっ子たちみたいな、来世にも繋がる縁。繋がってる縁や繋がりそうな縁は覚えておかないといけないよね。でも切れて消えてしまう縁もある」
来世からは決して繋がることのない縁か。
それはそれで少し寂しい気がするが。
「でも新たに生まれる縁もあるのよね。何の兆しもなく」
「どういうことだ?」
「例えば、またあの子を例に出すけど、エキドナと出会ったでしょ? 女性の上半身の裸と、下半身は大蛇の魔物よ」
なんだよこいつ。
俺らのこと見てたのか?
だったらあいつのこと、もっと気配りしてやれよ。
「あの大蛇、転生前は『将来この世界を支配する魔王の教育係やってみたい』なんて言ってたからね。だから彼女には転移じゃなくて転生させたんだけど」
「教育係になるためには、教育する内容を身に着けてもらわなきゃそんな役目は出来ないということか」
「それもあるし、彼女の転生前の知識や知恵すべてがあの世界で役に立つわけじゃなかったし、そんなものがあの子の役に立つわけでもなかったから」
無駄なものを持ってること自体ややこしい事態を引き起こしかねない、ということか。
そういう配慮はしっかりしてたんだな。
「それに彼女のあの子、今まですれ違ったことすらない無縁の関係だったのよね。こうして新しい縁も生まれるってわけ」
「人と人との巡り合わせを司る女神なな、ってわけか」
「そうよ? すごいでしょ」
ああ、すごいことを人間の想像を超える長い年月を続けてきたのは十分わかった。
だがドヤ顔は余計だ、うん。
「それと、世界で繰り広げられる物語は一つだけじゃないってことも覚えておく必要があるのよね」
またややこしいことを言い出した。
神様の思考に追いついて行けそうにない。
「いくつもドラマがある、みたいなこと言いそうだな」
「みたいなこと、じゃないわよ。起こす予定、起こしてはならない事、そういうことも覚えておかなきゃいけないの」
全知全能の神とはよく言ったものだが、何でも知ってるってのは俺らが住んでいる世界のことじゃなくて、自分で創ったすべての世界の因果関係か?
ななってば、俺が思ってるよりかなり配慮できるやつだったのか?
「例えばあの子はこれから魔王になろうとするでしょ? で、新たに、魔王を倒す勇者になりたいって子が面接に来たとする。その世界に勇者希望者を転生とか転移させたらどうなると思う?」
そんなことを聞かれてもだな。
魔王になる前なんだから魔王討伐しようにも討伐する対象がいない。
空回りの勇者ってことか?
「あいつが魔王になるまでに、勇者になるための修行が出来る……かな?」
「南ってば忘れん坊さん? あ、お坊さんだからあながち間違っちゃいないか」
誰がうまいことを言えと。
「それを言うなら甘えん坊とか慌てん坊とか、際限ねぇじゃねぇか。で、何を忘れてるってんだ」
「虐めてた子に仕返しするって言ってたでしょ。しかも前世の記憶持ってる。あの子が魔王になってから、虐めてた子を転移させて仕返しさせる。その前に無関係な勇者希望者をあの世界に送り込んだらどうなると思う?」
うわぁ……。
ななにも恨みがやってきそうだな。
「ようやく恨みを晴らせる時が来たってときに、自分の天敵がやって来て、仕返しする相手を守った上に逆にさらにこっぴどくやられる……。希望を叶えてくれるって言ってくれた女神は俺に嘘をついた、と」
「そういうこと。だからあの世界には、しばらくは勇者希望者は転移や転生はさせられないってこと」
そういうことを考える必要がある世界は……あそこ一つだけじゃないんだろうな。
待てよ? ということは逆も成り立つってことか?
「じゃあ、魔王の手伝いをしたい、魔王に仕えたいって希望を持つ者は……」
「いい所に気がついたねー。そう、そういう希望者にはそこに転生、転移させることができるってこと。だから魔王が支配する世界になるだろうから、一般人になって幸せに生活したいって人にも不向きね」
あの世界、魔族希望者以外は不人気じゃねーか。
「それじゃそのうち一般人いなくなるな」
「魔族が一般人になるってことだからその心配は無用よ。それにあの子と同じ目的を持つ子と対象者なら転生、転移は問題ないし、魔物討伐だけをしたいって言う希望者も問題ないわね」
一つの世界のことなら、俺でも出来なくはなさそうだ。
だがその世界に転生したり転移したりする者はどこからやって来るのか。
当然別の世界からだろう。
そうなると、その別世界の背景や出来事も把握しなければならない。
……どんな頭をしてるんだこいつは。
俺にはとても無理。
俺が雑学が好きな理由は、それが何かの役に立ったり、誰かとの会話で話題に上がったときに、会話が盛り上がるのが面白いから好きなのだ。
あの世界とこの世界とでは……などと言う知識は、誰にどんな役に立つというのだ。
誰とも交流もせず、黙々と自分の仕事を、一方的にこぼす希望を聞き届けてこなしてきたんだろうか。
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まぁこっちは、たかが人間だから当然かもしれないが。
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