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三波新、放浪編
気が付いたらホラーか何かのど真ん中でした それとヨウミがうざいんですが
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何の抵抗手段もとれないまま、とんでもない場所に飛ばされた。
そこは、明らかに俺が住んでいた世界と違っていた。
「ん……。ん、んん? なんだここっ!」
俺の周りを取り巻く世界は、天井も床も壁もすべて石造りの部屋。
眠ってたベンチも、目の前にある机も石造り。
窓もなく、真っ暗……のはずなんだが、なぜか仄かに部屋全体の広さなどが把握できた。
「うっ……何だこの臭い……。どこかに生ごみがあるのか?」
真っ先に俺に入ってきた情報は、目を開けてすぐに感じた薄暗さ。
その次に感じ取れたのが不快な臭い。
どうやらこの部屋の外から漂ってきているようだ。
暗がりの中、壁の一か所に、木で作られた扉があるのは見えた。
「とにかく……ここから出ないと……と?」
テーブルに手をかけた時に初めて気が付いた。
文字が刻まれている。
「これを使い、己の知恵と勇気で地上に向かえ……? どれだよ」
そう言えば窓一つない。
寝入るまでに浴びてた暖かい日差しがどこにもない。
何を使うべきなのか分らんが、外に出てこの暗闇と臭いから一刻も早く解放されたい。
が、そうは問屋が卸さなかった。
ギギィ、ときしむ音を抑えながら、木の扉をゆっくりと開ける。
全く考えてなかった。
部屋の外には、部屋よりもさらに強い異臭が漂っているということを。
「うっ」
鼻を抑えた程度では、その臭いの侵入を止めることはできなかった。
が、それで体の動きが止まるわけじゃない。
「ここ……ほんと、どこだよ」
テーブルに刻まれたあの文字は日本語だから、日本国内のどこかだろう。
臭いよりも先に周囲の様子は目に入ってたが、その瞬間はそれどころじゃなかった。
気持ちを落ち着かせて周りを見る。
廊下も石造りで窓はない。
それでも部屋よりもわずかに明るさを感じたのは、壁に等間隔に掛けられたトーチ? それに灯された火のおかげ。
扉を開けたら左右に廊下が伸びている。
右を見ると、その先が真っ暗で見えないほど長い。
左には、突き当りには扉が外された部屋があるのが分かる。
さっきの部屋は直方体。
この廊下も、長い直方体。
と言うことは、自然に出来上がった物じゃなく、誰かの手によって作られた物。
そうでなかったとしても、寝てた石造りの長いすに、座ると丁度いい位置にあるテーブルがあったということは、だ。
誰かの手によってセッティングされた物。
つまり、建築物と思われるこの場所は、誰かの所有物である、ということだ。
その人にとっての俺は、間違いなく不法侵入。
そんなつもりはないですよ、と、その人に意思表示は出さないと。
要するに、勝手に入ってごめんなさい、と言わなきゃならない。
テーブルに刻まれた文章には、そんな侵入者が来ることを前提としてる意図が見えなくもないが。
とにかく、相手にはそんなつもりがあったとしても、こっちには悪意はないことくらいは示しておきたい。
ということで、左の突き当りの部屋を目指す。
けど、薄暗いこの廊下は、どうしてもお化け屋敷とか肝試しを連想してしまう。
あんな風に脅かされるのも勘弁してほしい。
映画や小説だって、ホラー物は苦手なんだ。
なるべく音を立てずに抜き足差し足忍び足でその部屋に向かってみた。
が、その足が止まった。
目に見えない力によって止められた、というのではなくて、足がすくんだ。
扉がないから、部屋の中の一部は見える。
何となく白っぽくて細く長いものが、その床に落ちている。
「……人骨とかやめてくれよ。人の死体なんて尚更……あれ? おかしいな」
廊下に出てたら強く感じた異臭の強さは変わらない。
もしあれが死体だとしたら、異臭は次第に強くなるはずだ。
薄暗いし、見間違いか。
もしくは異臭も出なくなるほど古い死体か。
「人骨だとして、近づいたらいきなり襲ってくるってのはやめてほしいが……。あのー……すいません……」
魔物が現れて襲われる、などと、この時は全く思いもしなかった。
だから、早く持ち主に会ってお詫びしたい気持ちの方が相当強かった。
いきなり大声を出して、その人物を驚かせるのも気まずい。
小声で恐る恐る部屋に向かって声をかけた。
が、その直後、体に異変を感じた。
「……勘がいいほうじゃないし、空気読めとかよく言われたけど……」
その部屋の向こうに何かがいる。
異臭はそこから出ている。
間違いなく何かがいる。
人じゃない何かが。
それだけなら何とも感じない。
けれど、この臭いとこの暗さ。
ここで生活するにはあまりにも不快すぎる。
その不快感を感じない存在がそこにいる。
「その人にお詫びに行って、そんなこと思わないから一緒にここで暮らそうよ、なんて言われたら……」
ホラー映画でよくある展開だ。
何がいるか確かめてやる、と向こう見ずな若者が最初の犠牲者になる筋書き。
そんなヤバいところに行かなきゃいいのに、とそんな映画を見てしまった時には必ず思う。
「ということは、この館の主だとしたら、会わずに出ていくのが正解」
その人は、俺がここにいることまでは知らないだろう。
ならそっと出ていっても問題はないはず。
幸いその気配は俺には気付いてないようだ。
部屋の向こうの区域、廊下か部屋かは分からないが、そこにずっと留まっている。
回れ右。
ひょっとしたらその先にも変な奴がいるかもしれない。
先が暗くて見えない方へ、当然ゆっくり静かに歩く。
とにかく気持ちが落ち着く場所を探し求めた。
※
廊下に初めて出て、最初に見た部屋の床に、白く細く長い物を見た。
雰囲気で人骨じゃなかろうか、と思ったが、残念ながら妄想じゃなかったらしい。
廊下を進んでいく途中にもいくつか落ちていた。
廊下の壁に扉があり、中途半端に空いている隙間から中を覗くと、肋骨のようなものが落ちているのが見えた。
漂う異臭とは違う、鼻に入ってきてほしくない臭いも混ざる。
「うっ……。勘弁してくれよ……。俺、何したってんだ……」
廊下に落ちていた頭蓋骨。
それだけだったら、模型だ何だと言い聞かせることもできたが、髪の毛が何本かくっついていた。
一部、頭皮もついている。
眼球とかがない分まだ助かった。
おもらしとかしてたかもしれない。
二十代後半の男が、だ。
しかも得体のしれない物があちこちにいたようだった。
こんなビビリの性格が良かったのかもしれない。
一回たりとも遭遇どころか、その姿を見ていない。
はっきり言えば、勘は良くない。
今まで何度も宝くじを買ったことがある。
連番なら最低金額が一枚必ず当たる。
これは当たり前のことだ。
けど、それ以外は当たったことがない。
懸賞もそう。
おまけに思い込みも激しい。
─────
首になる前のことだ。
仕事上のミスではなく、いくらでも修正できる書類作成でミスを繰り返した。
もちろん同じミスじゃない。
それで上司に散々怒鳴られた。
部屋の中はもちろん、廊下、そして隣の部屋まで届くほどの声量で。
上司からようやく解放されて、再び自分の席に着く。
「ドンマイ」
向かいに座っている同僚の女性が苦笑いを浮かべながら、一言だけだったが励ましてくれた。
「あ、あぁ」
こっちも短く反応する。
少しでも長く声をかけると、また上司の怒声がとんでくるはずだったから。
社会人になっても、挨拶も相手からしてもらわないと返せないほどの人見知りな性格だ。
けどそれ以来、彼女には一日の最初に遭った時はこっちから挨拶できるようにはなった。
そんな日が続いたが、突然隣の席の同僚からこんなことを言われた。
「なぁ、アラタ。由麻さん迷惑がってるぞ?」
「え?」
由麻とは彼女の名前である。
励ましてくれたから、知り合い以上友人以下くらいの情は持ってると思ってた。
向かいを見ると彼女は……。
こっちの会話には気付かず、机に向かって仕事をしていた。
「……そうか?」
「あぁ。多分な」
その同僚と彼女とは恋仲などという噂は聞こえてこない。
噂が入らないほどのぼっちだったかもしれないが。
その日から、試しに向こうからの挨拶を待ってみた。
……朝の挨拶は、向こうが先にしてきたことはなかった。
─────
※
「何よぉ、アラタってぼっちだったのー?」
「うるせぇよ」
昔語りをさせておいて居眠りをされるほど腹立たしいことはない。
そう考えると、話の途中でツッコみが入るということは、俺の話を聞いてくれてるってことだ。
だが、そのツッコミが的確なのが、別の意味で腹立たしい。
「ぷっ! あははは!」
「話、止める」
聞きたがるのはいいが、真面目に聞けよ。
こっちは真面目に話しようとしてたのにっ。
「いや、そうじゃなくて。いつもなら『うるさい』とか『静かにしろ』とか……あとは、そうだなぁ……。きつい言い方でも『黙れ』くらいは言うよね。それが、『うるせぇ』だもん。ようやくお姉さんに心を開いてくれたかなー?」
上から目線の表情が気に食わん。
「なぁ」
「んー?」
「くだらない話より、この料理、ちょっとハマりそうだ。お代わり注文し」
「ごめん、真面目に聞くから。続き聞かせてくださいっ」
この世界は確かに俺にとっちゃ、あの現実世界より居心地がいい。
ただ、かなり調子が狂う。
こんな時には
「そうだね。話聞くより料理をじっくり味わおう!」
と、話を聞きたいと言い出した奴から言われることが多かった。
そのせいか、その方が慣れている。
逆風には遭いたくない。
けど順風はどうにも落ち着かない。
……こういうのは……天邪鬼っていうんだっけか?
そこは、明らかに俺が住んでいた世界と違っていた。
「ん……。ん、んん? なんだここっ!」
俺の周りを取り巻く世界は、天井も床も壁もすべて石造りの部屋。
眠ってたベンチも、目の前にある机も石造り。
窓もなく、真っ暗……のはずなんだが、なぜか仄かに部屋全体の広さなどが把握できた。
「うっ……何だこの臭い……。どこかに生ごみがあるのか?」
真っ先に俺に入ってきた情報は、目を開けてすぐに感じた薄暗さ。
その次に感じ取れたのが不快な臭い。
どうやらこの部屋の外から漂ってきているようだ。
暗がりの中、壁の一か所に、木で作られた扉があるのは見えた。
「とにかく……ここから出ないと……と?」
テーブルに手をかけた時に初めて気が付いた。
文字が刻まれている。
「これを使い、己の知恵と勇気で地上に向かえ……? どれだよ」
そう言えば窓一つない。
寝入るまでに浴びてた暖かい日差しがどこにもない。
何を使うべきなのか分らんが、外に出てこの暗闇と臭いから一刻も早く解放されたい。
が、そうは問屋が卸さなかった。
ギギィ、ときしむ音を抑えながら、木の扉をゆっくりと開ける。
全く考えてなかった。
部屋の外には、部屋よりもさらに強い異臭が漂っているということを。
「うっ」
鼻を抑えた程度では、その臭いの侵入を止めることはできなかった。
が、それで体の動きが止まるわけじゃない。
「ここ……ほんと、どこだよ」
テーブルに刻まれたあの文字は日本語だから、日本国内のどこかだろう。
臭いよりも先に周囲の様子は目に入ってたが、その瞬間はそれどころじゃなかった。
気持ちを落ち着かせて周りを見る。
廊下も石造りで窓はない。
それでも部屋よりもわずかに明るさを感じたのは、壁に等間隔に掛けられたトーチ? それに灯された火のおかげ。
扉を開けたら左右に廊下が伸びている。
右を見ると、その先が真っ暗で見えないほど長い。
左には、突き当りには扉が外された部屋があるのが分かる。
さっきの部屋は直方体。
この廊下も、長い直方体。
と言うことは、自然に出来上がった物じゃなく、誰かの手によって作られた物。
そうでなかったとしても、寝てた石造りの長いすに、座ると丁度いい位置にあるテーブルがあったということは、だ。
誰かの手によってセッティングされた物。
つまり、建築物と思われるこの場所は、誰かの所有物である、ということだ。
その人にとっての俺は、間違いなく不法侵入。
そんなつもりはないですよ、と、その人に意思表示は出さないと。
要するに、勝手に入ってごめんなさい、と言わなきゃならない。
テーブルに刻まれた文章には、そんな侵入者が来ることを前提としてる意図が見えなくもないが。
とにかく、相手にはそんなつもりがあったとしても、こっちには悪意はないことくらいは示しておきたい。
ということで、左の突き当りの部屋を目指す。
けど、薄暗いこの廊下は、どうしてもお化け屋敷とか肝試しを連想してしまう。
あんな風に脅かされるのも勘弁してほしい。
映画や小説だって、ホラー物は苦手なんだ。
なるべく音を立てずに抜き足差し足忍び足でその部屋に向かってみた。
が、その足が止まった。
目に見えない力によって止められた、というのではなくて、足がすくんだ。
扉がないから、部屋の中の一部は見える。
何となく白っぽくて細く長いものが、その床に落ちている。
「……人骨とかやめてくれよ。人の死体なんて尚更……あれ? おかしいな」
廊下に出てたら強く感じた異臭の強さは変わらない。
もしあれが死体だとしたら、異臭は次第に強くなるはずだ。
薄暗いし、見間違いか。
もしくは異臭も出なくなるほど古い死体か。
「人骨だとして、近づいたらいきなり襲ってくるってのはやめてほしいが……。あのー……すいません……」
魔物が現れて襲われる、などと、この時は全く思いもしなかった。
だから、早く持ち主に会ってお詫びしたい気持ちの方が相当強かった。
いきなり大声を出して、その人物を驚かせるのも気まずい。
小声で恐る恐る部屋に向かって声をかけた。
が、その直後、体に異変を感じた。
「……勘がいいほうじゃないし、空気読めとかよく言われたけど……」
その部屋の向こうに何かがいる。
異臭はそこから出ている。
間違いなく何かがいる。
人じゃない何かが。
それだけなら何とも感じない。
けれど、この臭いとこの暗さ。
ここで生活するにはあまりにも不快すぎる。
その不快感を感じない存在がそこにいる。
「その人にお詫びに行って、そんなこと思わないから一緒にここで暮らそうよ、なんて言われたら……」
ホラー映画でよくある展開だ。
何がいるか確かめてやる、と向こう見ずな若者が最初の犠牲者になる筋書き。
そんなヤバいところに行かなきゃいいのに、とそんな映画を見てしまった時には必ず思う。
「ということは、この館の主だとしたら、会わずに出ていくのが正解」
その人は、俺がここにいることまでは知らないだろう。
ならそっと出ていっても問題はないはず。
幸いその気配は俺には気付いてないようだ。
部屋の向こうの区域、廊下か部屋かは分からないが、そこにずっと留まっている。
回れ右。
ひょっとしたらその先にも変な奴がいるかもしれない。
先が暗くて見えない方へ、当然ゆっくり静かに歩く。
とにかく気持ちが落ち着く場所を探し求めた。
※
廊下に初めて出て、最初に見た部屋の床に、白く細く長い物を見た。
雰囲気で人骨じゃなかろうか、と思ったが、残念ながら妄想じゃなかったらしい。
廊下を進んでいく途中にもいくつか落ちていた。
廊下の壁に扉があり、中途半端に空いている隙間から中を覗くと、肋骨のようなものが落ちているのが見えた。
漂う異臭とは違う、鼻に入ってきてほしくない臭いも混ざる。
「うっ……。勘弁してくれよ……。俺、何したってんだ……」
廊下に落ちていた頭蓋骨。
それだけだったら、模型だ何だと言い聞かせることもできたが、髪の毛が何本かくっついていた。
一部、頭皮もついている。
眼球とかがない分まだ助かった。
おもらしとかしてたかもしれない。
二十代後半の男が、だ。
しかも得体のしれない物があちこちにいたようだった。
こんなビビリの性格が良かったのかもしれない。
一回たりとも遭遇どころか、その姿を見ていない。
はっきり言えば、勘は良くない。
今まで何度も宝くじを買ったことがある。
連番なら最低金額が一枚必ず当たる。
これは当たり前のことだ。
けど、それ以外は当たったことがない。
懸賞もそう。
おまけに思い込みも激しい。
─────
首になる前のことだ。
仕事上のミスではなく、いくらでも修正できる書類作成でミスを繰り返した。
もちろん同じミスじゃない。
それで上司に散々怒鳴られた。
部屋の中はもちろん、廊下、そして隣の部屋まで届くほどの声量で。
上司からようやく解放されて、再び自分の席に着く。
「ドンマイ」
向かいに座っている同僚の女性が苦笑いを浮かべながら、一言だけだったが励ましてくれた。
「あ、あぁ」
こっちも短く反応する。
少しでも長く声をかけると、また上司の怒声がとんでくるはずだったから。
社会人になっても、挨拶も相手からしてもらわないと返せないほどの人見知りな性格だ。
けどそれ以来、彼女には一日の最初に遭った時はこっちから挨拶できるようにはなった。
そんな日が続いたが、突然隣の席の同僚からこんなことを言われた。
「なぁ、アラタ。由麻さん迷惑がってるぞ?」
「え?」
由麻とは彼女の名前である。
励ましてくれたから、知り合い以上友人以下くらいの情は持ってると思ってた。
向かいを見ると彼女は……。
こっちの会話には気付かず、机に向かって仕事をしていた。
「……そうか?」
「あぁ。多分な」
その同僚と彼女とは恋仲などという噂は聞こえてこない。
噂が入らないほどのぼっちだったかもしれないが。
その日から、試しに向こうからの挨拶を待ってみた。
……朝の挨拶は、向こうが先にしてきたことはなかった。
─────
※
「何よぉ、アラタってぼっちだったのー?」
「うるせぇよ」
昔語りをさせておいて居眠りをされるほど腹立たしいことはない。
そう考えると、話の途中でツッコみが入るということは、俺の話を聞いてくれてるってことだ。
だが、そのツッコミが的確なのが、別の意味で腹立たしい。
「ぷっ! あははは!」
「話、止める」
聞きたがるのはいいが、真面目に聞けよ。
こっちは真面目に話しようとしてたのにっ。
「いや、そうじゃなくて。いつもなら『うるさい』とか『静かにしろ』とか……あとは、そうだなぁ……。きつい言い方でも『黙れ』くらいは言うよね。それが、『うるせぇ』だもん。ようやくお姉さんに心を開いてくれたかなー?」
上から目線の表情が気に食わん。
「なぁ」
「んー?」
「くだらない話より、この料理、ちょっとハマりそうだ。お代わり注文し」
「ごめん、真面目に聞くから。続き聞かせてくださいっ」
この世界は確かに俺にとっちゃ、あの現実世界より居心地がいい。
ただ、かなり調子が狂う。
こんな時には
「そうだね。話聞くより料理をじっくり味わおう!」
と、話を聞きたいと言い出した奴から言われることが多かった。
そのせいか、その方が慣れている。
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