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三波新、定住編
ある日森の中卵に出会った その9
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グダグダな話し合いがあったが、まず冒険者達の屋外活動範囲に到着し、そこでおにぎりの店全員集合させることにした。
移動速度が速い、ということで、マッキーにヨウミ達を呼びに行かせた。
かかる日数は五日くらいと仮定したんだっけか。
それが一日くらいで済んだものだから、留守番組は仰天。
マッキーに軽く説明を頼んでおいたから、事情はある程度分かっていたはずだが……。
「えぇぇぇ!?」
「ひぃぃぃ!」
モーナーとクリマーの絶叫はまだいいとして。
「た、助けてぇぇ!」
ヨウミのこれはないだろう。
仲間入りを希望するンーゴ本人を前にして、だ。
つくづく巨大ミミズといった印象は否めないが。
「アンシンシロ。ヒト、クワナイ」
「へ? あ、はい……」
明るいところで見ると、口らしきものはあるが、目と耳と鼻が見当たらない。
表情がない分不気味さが増す。
けど、口調は穏やかなんだよな。
感情はあるとは思うんだが。
ちなみにンーゴは、地面から二メートルくらい体を出している。
残りは地中に沈めたまま。
一体全長何メートルあるのやら。
「それにしても……なんか一気に人員が増えたな。互いに自己紹介が必要かな」
「自己紹介もいいけど……アラタが紹介した方が良くない?」
何だよヨウミ、その突拍子もない意見は。
「だってアラタはリーダーだもんね。その自覚もあるもんね」
「んだなぁ。一人一人から説明聞いてもよ、結局誰がリーダーかって分かんねぇもんな。まぁ今までの事見てりゃアラタのあんちゃんはみんなから頼られてらあってのは分かるけどよお」
一番長くいた奴と、一番の新参者からの意見が一致しちまった。
まぁいいけどよ。
「まずこっちの二人。モグラの獣人族、でいいんだよな? ミアーノ。それと、見た奴みんなが驚きの声を上げるワーム種? のンーゴ。この二人は古くからの友人……でいいのか?」
その通り、と二人は首を縦に振る。
「卵を戻しに行った際、想像を超える力を借りた。ミアーノはおにぎり四個、ンーゴは六個、一食ごとに作ってやることを条件に……まぁ給料代わりだな。で仲間になってくれた。みんな、よろしくしてやってくれ」
「よろしゅうな」
「オニギリ、イママデ、クッタナカデ、イチバンウマイ。スキ」
この二人を見る全員の命は、俺のおにぎりにかかってる。
みたいな言い方やめてくれ。
「で、ミアーノ、ンーゴ。こっちは俺のおにぎりの店を手伝ってくれるメンバー……まぁ仲間ってことでな」
「オレモ、ナカマイリ」
「けっこういたんだな」
「俺と同じ人間のヨウミ・エイス」
「よ、よろしくね」
ワームにはまだ慣れてなさそうだ。
「ヨウミはこの中で一番の古株」
「その言い方、なんかイヤな感じ」
気のせいだ。
「仲間になった順番とはちと違うが、次に知り合ったプリズムスライムのライムと天馬のテンちゃん。で、ヨウミの次に仲間になったダークエルフのマッキー。この三人はもう分かるよな?」
「あぁ。改めてよろしゅうな」
「ヨロシク」
「うん。よろしくね」
「うん。でもンーゴを乗せて飛ぶのは難しいなー」
だろうな。
「ヨロシクナー」
口調がンーゴに似てきたな、ライム。
「で、この村に来て最初に仲間になった、巨人族の血を引くモーナー。ライムとテンちゃんはモーナーに続いて仲間になった」
「よろしくなあ。けどお、俺よりでかいのはあ、初めて見るなあ」
「二人との物理的な距離が一番近かったかもな」
「そうなんか。へぇ、穴掘ってるんか。おもしろそうだの。あとで見させてや」
「オレハ、ムリダナ」
あぁ。無理かもな。
「で、ドッペルゲンガー種のクリマー。ここに来る前は弟と一緒の生活をしてた。今は村の宿で仕事してる」
「ふーん。よろしくなあ」
「ヨロシク」
「は、はい……。よろしくお願いします……」
意外と礼儀正しいんだよな、クリマー。
その態度は一番好感が持てるんだが。
それにしても……大所帯になったな。
「あとはすむ場所なんだが」
「それと、その卵はどうするの?」
忘れてた。
まだ説明してなかったな。
「ミアーノとンーゴのお陰で、生みの親と対面できた。ほっといても生まれるそうだ。温めなくてもいいんだと。ミアーノの通訳のお陰でそんな話を聞くことができた」
「じゃあ親は……」
「俺らに託すってことだな。生みの親の顔を知らないってのは不憫だが」
「しょーがねーべ。そういう習性なんだもんよ。子供だって生みの親は、卵から出てきた時にそばにいたもんだって思うべや」
托卵、とは違うか。
カッコウ、とも違うか。
刷り込み……でもないのか?
まぁ、みんなが丸く収まるっつんなら、その方がいいんだろうが、何か釈然としない。
「みんな、それでさぁ、アラタってばぁ」
ん?
あ……。
人の……馬の口にも戸は立てられなかった。
「……アラタ……。お店はアラタがいなきゃやってけないの、自覚してる?」
「命があるだけでもお、大儲けって思わにゃあなあ」
「そこまでいくと、命知らず、ですよね」
「
返事に困る詰め寄り方はやめてくれ。
俺が悪かったよ。
「分かったよ。もう無茶しないから。それより、洞穴の部屋増やさないと、とは思うんだが……」
宿を利用しているモーナーと、車庫と部屋を一緒にしているテンちゃんは洞窟の中を利用しないとしても、ヨウミ、一応ライム、マッキー、クリマー、そして俺の五人で部屋は埋まっている。
だが寝室として使ったことはほとんどない。
ロビーに横たわるテンちゃんが、無理やり全員をお腹に誘ってくるからだ。
まぁそれはそれとして、だ。
さらにミアーノが加わる。
それはいいんだが……。
「ンーゴはどうしよう? 一人だけ外れるのはちょっとな」
「オレ? ナニガ?」
「ンーゴよお、お前の部屋どうしようっつー話だよ。体でけぇもんな」
「イママデドオリ、ナカデイイゾ?」
「中?」
今まで通り、中って……。
「んじゃンーゴ、おめぇ、自分で寝床作れるんだな?」
「モンダイナイ」
「んだそうだ」
だそうだ……って。
「ココ、マモノ、ソトカラヤッテコナイ。ソノソトノシタニイル。ツクッタラシラセル」
野生の動物や魔物の行動範囲外ということは理解してるようだ。
その場所にねぐらを作ることにも意味があるらしい。
危険な魔物が入り込んできた時の防衛と、そして冒険者に経験を積ませるためという話を聞いて、そいつらにさらに適度な経験を積ませるために、魔物退治の相手にちょうど良さそうな魔物を誘導させることも考えてるんだと。
「俺も手伝ったるよ。そいつらの安全を確保できりゃいいんじゃろ?」
「ああ、そうしてくれると助かる。以前泉現象が起きてな」
「なんざそりゃ? 泉?」
より強力な魔物が急に発生する現象は知らないらしい。
ミアーノもンーゴも首を傾げている。
「んー……ま、気を付けたるわ。飯の恩の分はきっちり働かんとなぁ。な? ンーゴ」
ミアーノも、それに頷くンーゴも、実に頼もしい。
俺達にはない能力を持ってそうだしな。
「それはいいんだけどさ」
「ん?」
「その卵、どうするの?」
「……そりゃ、育てるさ」
「生まれたら……その子の部屋も必要よね」
まぁそうなるな。
部屋の追加は二つ、ということで。
移動速度が速い、ということで、マッキーにヨウミ達を呼びに行かせた。
かかる日数は五日くらいと仮定したんだっけか。
それが一日くらいで済んだものだから、留守番組は仰天。
マッキーに軽く説明を頼んでおいたから、事情はある程度分かっていたはずだが……。
「えぇぇぇ!?」
「ひぃぃぃ!」
モーナーとクリマーの絶叫はまだいいとして。
「た、助けてぇぇ!」
ヨウミのこれはないだろう。
仲間入りを希望するンーゴ本人を前にして、だ。
つくづく巨大ミミズといった印象は否めないが。
「アンシンシロ。ヒト、クワナイ」
「へ? あ、はい……」
明るいところで見ると、口らしきものはあるが、目と耳と鼻が見当たらない。
表情がない分不気味さが増す。
けど、口調は穏やかなんだよな。
感情はあるとは思うんだが。
ちなみにンーゴは、地面から二メートルくらい体を出している。
残りは地中に沈めたまま。
一体全長何メートルあるのやら。
「それにしても……なんか一気に人員が増えたな。互いに自己紹介が必要かな」
「自己紹介もいいけど……アラタが紹介した方が良くない?」
何だよヨウミ、その突拍子もない意見は。
「だってアラタはリーダーだもんね。その自覚もあるもんね」
「んだなぁ。一人一人から説明聞いてもよ、結局誰がリーダーかって分かんねぇもんな。まぁ今までの事見てりゃアラタのあんちゃんはみんなから頼られてらあってのは分かるけどよお」
一番長くいた奴と、一番の新参者からの意見が一致しちまった。
まぁいいけどよ。
「まずこっちの二人。モグラの獣人族、でいいんだよな? ミアーノ。それと、見た奴みんなが驚きの声を上げるワーム種? のンーゴ。この二人は古くからの友人……でいいのか?」
その通り、と二人は首を縦に振る。
「卵を戻しに行った際、想像を超える力を借りた。ミアーノはおにぎり四個、ンーゴは六個、一食ごとに作ってやることを条件に……まぁ給料代わりだな。で仲間になってくれた。みんな、よろしくしてやってくれ」
「よろしゅうな」
「オニギリ、イママデ、クッタナカデ、イチバンウマイ。スキ」
この二人を見る全員の命は、俺のおにぎりにかかってる。
みたいな言い方やめてくれ。
「で、ミアーノ、ンーゴ。こっちは俺のおにぎりの店を手伝ってくれるメンバー……まぁ仲間ってことでな」
「オレモ、ナカマイリ」
「けっこういたんだな」
「俺と同じ人間のヨウミ・エイス」
「よ、よろしくね」
ワームにはまだ慣れてなさそうだ。
「ヨウミはこの中で一番の古株」
「その言い方、なんかイヤな感じ」
気のせいだ。
「仲間になった順番とはちと違うが、次に知り合ったプリズムスライムのライムと天馬のテンちゃん。で、ヨウミの次に仲間になったダークエルフのマッキー。この三人はもう分かるよな?」
「あぁ。改めてよろしゅうな」
「ヨロシク」
「うん。よろしくね」
「うん。でもンーゴを乗せて飛ぶのは難しいなー」
だろうな。
「ヨロシクナー」
口調がンーゴに似てきたな、ライム。
「で、この村に来て最初に仲間になった、巨人族の血を引くモーナー。ライムとテンちゃんはモーナーに続いて仲間になった」
「よろしくなあ。けどお、俺よりでかいのはあ、初めて見るなあ」
「二人との物理的な距離が一番近かったかもな」
「そうなんか。へぇ、穴掘ってるんか。おもしろそうだの。あとで見させてや」
「オレハ、ムリダナ」
あぁ。無理かもな。
「で、ドッペルゲンガー種のクリマー。ここに来る前は弟と一緒の生活をしてた。今は村の宿で仕事してる」
「ふーん。よろしくなあ」
「ヨロシク」
「は、はい……。よろしくお願いします……」
意外と礼儀正しいんだよな、クリマー。
その態度は一番好感が持てるんだが。
それにしても……大所帯になったな。
「あとはすむ場所なんだが」
「それと、その卵はどうするの?」
忘れてた。
まだ説明してなかったな。
「ミアーノとンーゴのお陰で、生みの親と対面できた。ほっといても生まれるそうだ。温めなくてもいいんだと。ミアーノの通訳のお陰でそんな話を聞くことができた」
「じゃあ親は……」
「俺らに託すってことだな。生みの親の顔を知らないってのは不憫だが」
「しょーがねーべ。そういう習性なんだもんよ。子供だって生みの親は、卵から出てきた時にそばにいたもんだって思うべや」
托卵、とは違うか。
カッコウ、とも違うか。
刷り込み……でもないのか?
まぁ、みんなが丸く収まるっつんなら、その方がいいんだろうが、何か釈然としない。
「みんな、それでさぁ、アラタってばぁ」
ん?
あ……。
人の……馬の口にも戸は立てられなかった。
「……アラタ……。お店はアラタがいなきゃやってけないの、自覚してる?」
「命があるだけでもお、大儲けって思わにゃあなあ」
「そこまでいくと、命知らず、ですよね」
「
返事に困る詰め寄り方はやめてくれ。
俺が悪かったよ。
「分かったよ。もう無茶しないから。それより、洞穴の部屋増やさないと、とは思うんだが……」
宿を利用しているモーナーと、車庫と部屋を一緒にしているテンちゃんは洞窟の中を利用しないとしても、ヨウミ、一応ライム、マッキー、クリマー、そして俺の五人で部屋は埋まっている。
だが寝室として使ったことはほとんどない。
ロビーに横たわるテンちゃんが、無理やり全員をお腹に誘ってくるからだ。
まぁそれはそれとして、だ。
さらにミアーノが加わる。
それはいいんだが……。
「ンーゴはどうしよう? 一人だけ外れるのはちょっとな」
「オレ? ナニガ?」
「ンーゴよお、お前の部屋どうしようっつー話だよ。体でけぇもんな」
「イママデドオリ、ナカデイイゾ?」
「中?」
今まで通り、中って……。
「んじゃンーゴ、おめぇ、自分で寝床作れるんだな?」
「モンダイナイ」
「んだそうだ」
だそうだ……って。
「ココ、マモノ、ソトカラヤッテコナイ。ソノソトノシタニイル。ツクッタラシラセル」
野生の動物や魔物の行動範囲外ということは理解してるようだ。
その場所にねぐらを作ることにも意味があるらしい。
危険な魔物が入り込んできた時の防衛と、そして冒険者に経験を積ませるためという話を聞いて、そいつらにさらに適度な経験を積ませるために、魔物退治の相手にちょうど良さそうな魔物を誘導させることも考えてるんだと。
「俺も手伝ったるよ。そいつらの安全を確保できりゃいいんじゃろ?」
「ああ、そうしてくれると助かる。以前泉現象が起きてな」
「なんざそりゃ? 泉?」
より強力な魔物が急に発生する現象は知らないらしい。
ミアーノもンーゴも首を傾げている。
「んー……ま、気を付けたるわ。飯の恩の分はきっちり働かんとなぁ。な? ンーゴ」
ミアーノも、それに頷くンーゴも、実に頼もしい。
俺達にはない能力を持ってそうだしな。
「それはいいんだけどさ」
「ん?」
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まぁそうなるな。
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